町田啓太に緊急インタビュー!ドラマ『unknown』最終回直前だからやっと話せる撮影エピソード、そして“加賀美”のこと

公開: 更新: テレ朝POST

この4月よりスタートした、高畑充希&田中圭W主演の“ラブ・サスペンス”ドラマunknown

妻・闇原こころ(高畑充希)は「じつは吸血鬼」、夫・朝田虎松(田中圭)は「じつは殺人犯の息子」――。そんなお互いに秘密を抱えた夫婦の“究極の愛”、そして、彼らのまわりで起こる“血を抜かれた連続殺人事件”の謎が描かれている。

ラブストーリー・コメディー・サスペンスとさまざまなジャンルを横断し、毎回衝撃のラストで話題の本作は、見逃し配信総再生数が1500万回を突破(ビデオリサーチ調べ、6月9日現在)。クライマックスに向け、多くの視聴者の“考察”熱も加速している。

そんなドラマ『unknown』で、こころの仕事の相棒である週刊誌カメラマン・加賀美圭介を演じているのが町田啓太。

6月13日(火)に放送される最終回を前に、物語の最大のキーマンのひとりである“犯人”加賀美を熱演する町田にロングインタビュー。

これまではインタビューで話せなかったという、「最終回直前だからこそ話せる」撮影エピソードや“加賀美”という役への想いについてなどじっくり話を聞いた。<聞き手:横川良明>

(※以下、第8話までのネタバレを含みます)

◆僕の撮影初日は、5話からでした

――まさに衝撃の第8話(6月6日放送)でしたが、町田さんはオンエアをどのような気持ちで迎えられましたか。

「視聴者のみなさんから、投票でかなり“犯人”と疑われてはいたので、真相がわかったときにどう思われるんだろうというのは少し不安要素ではありました。

ただ、ここに至るまでの過程を(演出の)瑠東(東一郎)さんや金井(紘)さん、プロデューサーの貴島(彩理)さんと丁寧にディスカッションしながらつくらせてもらっていたので、あとはもうどうにでもなれという気持ちでしたね」

――改めて1話から見直してみると、非常によく計算されながら演じていらっしゃったんだなと思いました。たとえば2話でこころから「吸血鬼って実際にいると思う?」と尋ねられるシーン。ここのリアクションが最初に観たときから意味深だなという印象はあったんですよね。

「早いですね、もうバレてたか(笑)。

やっぱり僕としては物語を面白く見てもらいたいという気持ちがあるので、最初からあまりにもわかりやすく伏線を張るのも良くないし、かと言って張らなさすぎるのも良くない。そこの塩梅をどう調整するかというのは、実際にやってみたのを監督たちに見てもらって、細かく修正していきました」

――ちょっとやりすぎたなと思ったら微調整したり。

「それぞれ違うパターンのものを撮って、どちらを使うかは編集の段階で監督が決めるというようなこともありました。

印象的だったのが、僕の撮影初日が5話だったんですよ。つまり、こころにキスをして、こころが吸血鬼であることを確信したあとのシーンを最初に撮ってるんです。

充希ちゃんとも初めましてで、ほとんどコミュニケーションもとれていない中、こころが吸血鬼だと知ってショックだったという微妙な気持ちを表現しなくちゃいけなかった。加賀美として積み重ねているものが何もない状態だったので、そこは結構大変でした。

ただ、この『unknown』は頭で考えるより、現場に行って生まれるものの方が圧倒的に大きいチームなんですね。むしろそれしかなかったかも?と思うぐらい、今回やったお芝居はほとんど現場で生まれたものでした。

そのときはまだインしたばかりで、そんなことも全然わからなかったんですけど。でもこのチームのみなさんがやっている他の作品はもちろん拝見していて、きっとそういう現場なんだろうなという予感はあったので、とにかく僕はみなさんに身を任せて、監督から『じゃあ、次はこのパターンもやってみようか』と言われたものに一つひとつ応えていったという感じです」

――先ほどの2話のシーンだと、加賀美のあの意味深なリアクションはどういう狙いがあったのでしょう。

「あの頃は、こころが吸血鬼であることにまだ確信を持っていない状態。だから、こころへの疑いというよりも、自分自身が罪を犯しているという秘密を、信用している相棒に言えないという、その葛藤から来るはぐらかしみたいな感情がありました」

◆こころに対する感情は、最初はラブではないと思っていました

――そもそも加賀美はいつ頃からこころを疑っていたとプランニングされていましたか。

「疑い自体は最初からありました。1話の冒頭でこころが直射日光を嫌がりますが、ああいう場面はきっと、これまでも加賀美はずっと見てきて。ちょっとずつ『あれ?』と引っかかることが増えてきた。一概にここだという確定的なものがあったわけではなく、徐々に徐々にという感じだったと思います」

――こころの正体を知る前の加賀美のこころに向ける感情は、仕事のパートナーとしてのものなのでしょうか。それともやはりラブはあったんでしょうか。

「最初に台本を読んだときはラブではないのかなと思っていたんです。だけど、実際に演じてみると、ラブがないと整理ができない部分も出てきて。それで、加賀美自身は気づいていないけれど、深層心理ではそうなのかもしれないと。視聴者のみなさんには絶対こころのことが好きだろうと見えるような方向でいこうと決めました。

加賀美自身もこの感情の意味をわかっていないからこそ、『どういうこと?』と惑わされながら楽しんで観ていただけるんじゃないかなって」

――3話の噴水のシーンもラブにも見えるし、真相を知った今となってはこころを試しているようにも見える。

「(にっこりと)どっちなんでしょうね」

――その直前に「いくら仲良い夫婦でも人に言えない秘密はあるってことか」と言って、こころを一瞥しますよね。あの試すような視線も、ラブの意味合いがあるのか、吸血鬼であることを疑ってのものか、解釈が分かれるところです。

「その台詞があって噴水に入るという流れになるので、加賀美としてはこころのリアクションを確かめるものだと思うんですね。ただ、深層心理的に想いを寄せている部分もあると思うので、本当にこころを心配している気持ちも混じっているだろうし。

あのあたりはまだ加賀美の中でも2つの気持ちが混ざり合っていて、塩梅がとても難しかったです。だから観てくださった方がそう受け取ってくださったなら、それが正解なのかなと思います」

――シーンによっては、ラブパターンと疑っているパターンの両方を撮っていたこともあったとか。

「そういうこともありました。今回面白かったのが、監督を務めてくださった瑠東さんと金井さんのお2人がまったく毛色が違うんですね。

例えるなら、瑠東さんは足し算。ご自身が面白いと思ったものを思い切り際立たせる大胆な演出をされる方です。逆に、金井さんは引き算。物語の筋を立たせるために不要なものは省く方です。どちらもそれぞれの面白さがあって、2人ともお互いを尊敬して尊重し合っている。

演出の違いで、回によってはコメディ要素が強かったり、ラブが強かったり。見え方がガラッと変わる不思議なドラマになったなと思います」

◆「虎さんは俺が守ります」は、最初は虎さんの手を握っていました(笑)

――こころへの疑惑がはっきりしたのが、血の味のキスです。そのシーンももちろん素敵なんですけど、そのあと、虎松が戻ってきてからのやりとりが面白いんですよね。加賀美がちょっとボケた感じになっていて。

「ちょっとどころじゃないですけどね。人生最大のボケをかましています(笑)。あれは最初は本当にわからなかったんでしょうね、なんで怒られているのかが」

――それは、あのキスに恋愛感情がなかったからですか。

「あくまで確認のためのキスだから恋愛感情はないはずなのですが、キスという手段を選んでいたり、ショックを受けたということはある意味で…という部分もあって。加賀美にとっては信頼していた相棒がやっぱり吸血鬼だったという重大な事実を知ったばかりで、すごくショックな状態なんですよね。自分がヘコんでいるときにいきなり怒られても、“え?”ってなるじゃないですか。

それと同じで、加賀美もショックが大きすぎて、虎さんがなんで怒っているのか本気でわからなかったんだと思います。……ただ、あそこは圭さんも悪いんですよ!(笑)」

――どういうことでしょうか。

「もともとあのシーンまで圭さんとはほとんど絡みがなくて。だから、現場でお会いしたときも圭さんから『あそこのシーン、楽しみにしてるから!』なんて言われたりもしていて。

で、いざ撮影当日、僕は“ノー笑いでいこう”と真剣に臨んだんですが、リハで圭さんがかなりの勢いで来られたんで、なるほどそういうシーンにしたいのかと。それで、僕も乗っかった結果、ああいう感じになったんですけど。この話をのちのち圭さんにしたら、『いやいやいや、先に仕掛けてきたのはそっちでしょ』と言われました(笑)」

――そのあと、こころと虎松のマンションの前で車を停めているシーンで、明らかに怒っている虎松に向けて、「虎さーん!」と笑顔で駆け寄る加賀美がめちゃくちゃ怖かったです(笑)。

「怖いですよね。圭さんも『怖い怖い怖い』って言ってましたもんね」

――あの田中さんのリアクションは台本にないものなんですか。

「なかったです。僕は台本通りにやったんですよ。ちゃんと台本に『虎さーん!』と書いてあったから、その通りにやっただけなのに、なぜか怖いと言われるっていう(笑)。でも、確かに加賀美は距離感がちょっとバグっているので」

――そのバグは、加賀美のパーソナリティに関わるところなんでしょうか。

「だと思います。人との距離感がわからない。そして、善悪の判断能力が欠けている。それはきっと彼自身の愛情の欠落とつながっている部分はあるだろうなと」

――虎松に対しては無邪気な親愛の情を見せますよね。あれは、虎松が自分と同じ人間だからでしょうか。

「というのもありますが、いちばんは虎さんがちゃんと自分のことを見てくれたからでしょうね。3話の交番のシーンで初めて虎さんと会って、虎さんが初対面の自分に対して優しく話しかけてくれた。あそこで、加賀美にとって虎さんはとても気になる存在になったんだと思います。

もちろんそのあと、虎さんが吸血鬼かどうかも調べたでしょうし。その上で、人間だという確信が持てたから、どんどん親しみを持つようになっていったんでしょうね。

あと、これは僕の勝手な解釈ですが、どうして吸血鬼かもしれない人と一緒にいるのか、その気持ちを知りたかったというのもある気がしています」

――6話の「虎さんは俺が守ります」も、8話まで観てから観ると、そういう意味だったのかとなりました。

「あそこはどうやるかいろいろ迷ったんですよね。段取りのときは、虎さんの手を握ってたんです、結構真剣に。そしたらちょっと怖がられた節があったんで(笑)、違うかなと思って下方修正した結果、ああいう青春チックな方向になりました」

――あと、観返して気づいたんですけど、こころを追いかける加賀美を見て、梅ばあ(今福梅/木野花)が「あんたはいいんだよ、加賀美」と妙に切迫したテンションで叫んだり、意外と梅ばあと接点があるんですよね。

「そうなんです。実はちょいちょいあるんですよ」

――梅ばあとの関係性は、どうシミュレーションしていましたか。

「めちゃくちゃ難しかったですね。実は、クランクインして数日後に、最終回で出てくる梅ばあとのあるシーンを撮っているんです。まだ僕が加賀美のベースを探っている状態だったので、そこは結構しびれましたね。

でも、(梅ばあ演じる)木野花さんが2人はどういう関係性であった方がいいのかということを前のめりに話してくださって。そこで、2人で考えを共有できたおかげで、その後のシーンがつくりやすくなりました。

2人、同じ空間にいるシーンは結構あるんですが、そんなに目線は交わさない。そういう方向性を決められたのは、最初に重要なシーンを撮ることでベースをつくれたおかげだった気がします」

◆8話は、いつも通りの加賀美であることを大事にしたかった

――そして、視聴者に戦慄を与えた8話についてですが、狂気の演技というのはともすると単調になりがちです。そこを緩急をつけながら一定の緊張感をキープするというのはとても大変なことのように見えますが、どうプランニングして臨みましたか。

「もう周りの人に任せようと思っていました。ああいうシーンは、演出、カメラ、照明、音響といった技術職のみなさんの力が大事なので、僕としてはお願いしますという気持ちで現場に入って、あとはこころの表情を見ながら、この反応だったらもっとこうした方がいいかなと調整していった感じで。だから、8話の加賀美は僕だけでなく、みなさんとの共同作業で生まれたものなんです」

――画としても、加賀美の背中を多めに撮っているところが、逆に恐怖心を掻き立てられました。

「そうなんです。不穏な空気を演出でつくってくださっていたので、僕はそんなに象徴的にやる必要がなかったんですよね」

――なるほど。過剰に演技を盛るのではなく、素材としてそこにいればよかった。

「そうです。現場のみなさんに対する安心感があったので、僕としてはとてもやりやすかったですね」

――絵本を乱暴に捨てるところはビクッとする怖さでしたが、あれは台本通りですか。

「どうだったかな。絵本をこころに渡すというところまでは台本に書いてあったと思います。ただ、渡された絵本をそのあとこころがどうすればいいかという話になって。それで、僕と金井さんとで意見が一致して、加賀美が受け取ることになったんですが、捨てたのは思いつきです(笑)。

確か段取りのときに急に捨てて、そしたらちょうどそこにビー玉の入ったお椀があって、それに当たったんですよ。しかも、絵本の表紙がちゃんと充希ちゃんに向いていて。それをみんなが『怖っ!』と言ってくださったので、じゃあ本番もそれでいこうと」

――めちゃくちゃ怖かったですよ。

「ただ、あの場では怖くするということはそんなに考えていなかったんです。むしろ金井さんからは『もっと優しく受け取って』と言われていました」

――優しくすることで怖く見えるという。

「加賀美からすると、意識して優しくしようというつもりもないと思うんです。いつも通りの加賀美なのに違和感を覚えるというのがいいんじゃないかなと考えていました」

――高畑さんとは演技プランについて何か相談し合いましたか。

「特に、よよさん(世々塚幸雄/小手伸也)が亡くなる7話以降に関してはよく話をしましたね。こころは、どのくらいのタイミングで加賀美への疑いを強めていくのか。

構図としては疑っているんだけど疑いきれない、どちらかといえば信じたくないというくらいの方が面白い。だから、こころが疑いを抱いているときほど、加賀美としてはいつも通りでいた方がいいのかなと。そのあたりの演技の足し引きは監督含めて3人で相談しながら決めていきました」

◆最終回の見どころは、伊織さんです

――最終回が気になって仕方ない視聴者も多いと思います。最後に、町田さんから最終回の見どころを教えていただけますか。

「8話まで観て、『どういうこと?』と頭の中をぐるぐる回転させて考えてくださっている方もいらっしゃると思いますが、最終回でそうした謎についてきっちり描かれているので、まずはオンエアを楽しみに待っていてほしいです。

このドラマはどういうお話なのかと言ったら、僕はやっぱり愛の物語だと思っていて。こころと虎さんもそうだし、2人と加賀美の関係もそうだし、みんなそれぞれ愛につながる展開になっていて、きっとそこは大きな見どころになると思います。

何か偉そうなことを言うつもりはないですが、現実の社会でもマイノリティと言われる方たちがいて。それこそ僕は吸血鬼はいないと思っていたんですが、その考え自体も決めつけで。僕が知らないだけで、こころのように人に言えない秘密を抱えていたり、他の人と違うことに悩んでいる人がたくさんいるかもしれない。

それをいないものとして決めつけたり、よくわからないからというだけで攻撃してしまうことって、すごく怖いことだよなと、自分自身、生活をしていて感じます。最終回を観て、そんなことを感じたり、誰かと話したりしてもらえたらうれしいですね。

あと、僕が言える最終回のポイントは、伊織さんです」

――え! 伊織さん(麻生久美子)なんですか。それはどういう意味で……?

「いろんな意味で、です(笑)。僕は、伊織さんの言葉がとても印象に残ったので、最後にそこを見どころとして伝えておきます」

※動画配信プラットフォーム「TELASA(テラサ)」では、第1話から最新話まで全話一挙配信中。「TVer」では、第1~3話&最新話の本編と、ダイジェストも配信中。

※番組情報:『unknown』最終話
2022年6月13日(火)よる9:00~9:54、テレビ朝日系24局