喫煙スペースが年々縮小され、最近では外でタバコを“座って吸う”機会もほとんどなくなった。まだ各地に喫煙所が残っているだけありがたいと言えばありがたいのだが、その喫煙所も基本的にはスタンディング形式であり、本当のくつろげる空間とは言い難い。

そんな状況下に置かれた愛煙家たちに今回は朗報がある。先日、新宿に「喫煙喫茶オールドルーキーカフェ」なるスペースがオープンしたのだが、これがまさに喫煙者にとってのオアシスなのだ……!

現在はまだこの1店舗しか存在しないが、将来的には1,000店舗を目指して全国展開する予定だという。これを利用しない手はない! ということで、さっそく現地に行ってみた。

■ドリンク持ち込み自由! 30分100円で利用できる愛煙家のオアシス

新宿駅西口からほど近い小滝橋通りに店を構える「喫煙喫茶 オールドルーキーカフェ」。“喫煙者専用のカフェスペース”を謳っており、現在は飲食物の販売は行われていないが(まもなくドリンクの自販機を設置するとのこと)、ドリンク類の持ち込みは自由となっている。

席数は計61席で、店内には「加熱式タバコ専用エリア」と「紙巻きタバコ専用エリア(加熱式タバコも可)」が用意されており、いずれも電源タップやWi-Fiを自由に使用できる。

また、換気設備が非常に強力で、紙巻きタバコ専用エリアでさえ喫煙所に付き物の“煙臭さ”はほぼ皆無。喫煙者同士でも他人の煙は気になるものだが、そんなストレスも大幅に軽減してくれる。ぶっちゃけ、これは喫煙者としてかなり嬉しい。

基本的には店員さんが店内でアレコレとサービスを提供しているわけではないので、灰皿などはセルフサービスだ。退店の際も各自がゴミを分別する仕組みだが、店内は管理が行き届いていて清潔そのもの。愛煙家同士、周りへの気遣いができているんだな〜としみじみ……。

気になる利⽤料は30分100円。1日中自由に出入りできる「1dayプラン」も1,000円で利用できる。ちなみに、月額3,000円の有料会員になれば1時間あたり50円で利用可能。1日に何度も利用したり、長時間滞在する人であればすぐに元が取れそうだ。

出入り口となる扉はオートロック式を採用。入店時に30分100円(1dayプランの場合は1,000円)の料金を電子決済することで、出入り口の「鍵」となるQRコードが発行される。30分をオーバーした場合は、退店時に延長料金を支払うことで退出できる仕組みだ。無用なコミュニケーションが発生しないところもお手軽でグッドである。

■仕掛け人が説く、タバコを「座って吸う」ことの重要性

ふらっと立ち寄れる上質な喫煙所として、または喫煙可能なコワーキングスペースとして、「喫煙喫茶オールドルーキーカフェ」は愛煙家にとって実に有意義な空間だが、一体、どういった経緯でこのようなオアシスが出現したのだろうか。

「喫煙喫茶 オールドルーキーカフェ」の仕掛け人である岡村陽久さんによると、「いつでも、どこでも、いかなるときでも、タバコを座って吸って、煙とともに何かを吐き出す場所を作りたかった」のだという。

「僕はめちゃくちゃヘビースモーカーで、1日4〜5箱のタバコを吸うのですが、タバコは絶対に座って吸いたいんですよ。立って吸うタバコと座って吸うタバコでは、リラックスできる度合いが全然違いますからね」

  • 「喫煙喫茶 オールドルーキーカフェ」の岡村陽久店長

岡村さん曰く、健康増進法の改正以降、座ってタバコを吸える喫茶店は「ほぼ全滅」したという。一部、昔ながらの喫茶店が許可を取って今も喫煙できるが、これも数はかなり限られている。

「僕はすごい量のタバコを吸うので、どこの喫茶店が喫煙できるかを把握しています。例えば、新宿では4店舗、六本木では2店舗、渋谷では4店舗しかタバコが吸える喫茶店はありません。小滝橋周辺には喫煙可能な喫茶店がないので、自分でこうして店を出すことにしました」

岡村さんの理想は、あくまで「いつでも、どこでも、いかなるときでも、タバコを座って吸って、煙とともに何かを吐き出す場所」を全国の至るところに作り出すことだ。だからこそ、すでに喫煙可能な喫茶店がある場所付近に「喫煙喫茶オールドルーキーカフェ」を出店するつもりはない。

「これまで、喫煙可能な喫茶店のおかげで座りながらタバコが吸えていたわけですから、今後も彼らの邪魔はしたくありません。むしろ、一緒になって盛り上げていきたいですね。

大事なのは『いつでも、どこでも、タバコを座って吸える環境を日本中に作ること』ですから、このビジネスモデルを真似する企業が出てくるなら、むしろ大歓迎。どこも真似しないならうちが全国に1,000店舗くらい出店しようと考えています」

利用者の反応も上々で「1回来てくれた人は、大体リピートしてくれる」と岡村さんは言う。

「会員さんたちは、『ここ、めちゃくちゃいいよ』って言ってくれます。このあたりには喫茶店も喫煙所もないので、そもそもタバコを吸える場所がなかったんですよ。10分くらい歩いて喫茶店に行っても、夏は汗だくになるし、毎日のコーヒー代も馬鹿になりません。

でも、ここならセブンイレブンも近いし、最近はコンビニのコーヒーも美味しいじゃないですか。タバコの値段も年々上がっているので、ぜひ『喫煙喫茶 オールドルーキーカフェ』でお金を節約しながら、腰を掛けてゆっくりとタバコを楽しんでほしいですね」

  • コンセントもあるので、喫煙しながら作業や打ち合わせも

タバコを愛するヘビースモーカーが満を持してオープンした「喫煙喫茶 オールドルーキーカフェ」。新宿で喫煙所難民になった際は、ぜひ一度利用してみてほしい。