世界遺産・富士山を臨む西湖のほとり、山梨・富士河口湖町に誕生したグランピング施設「dots by Dot Glamping Suite 001」。

「Dot Homes」によるラグジュアリーグランピングブランドに属する施設となり、広々とした大自然の完全プライベート空間にサウナや露天風呂、屋外の座湯シアターなどが並び、他では味わえない特別なグランピング体験が特徴という。

この新感覚のグランピング施設に、宿泊体験してきた。

ラグジュアリーなグランピングブランドが誕生

ブランドコンセプトは「creative trip」で、外の環境や過去・未来に囚われることなく、豊かな自然の中でのアクティビティやマインドフルネスによって五感を研ぎ澄まし、自分の内側に意識を向けていくような宿泊体験を提供することを目的としている。

ブランド初の施設として、山梨県富士河口湖町に開業した「dots by Dot Glamping Suite 001」は、客室は2室のみ。総敷地面積は2,000平米以上、1室の敷地面積も700平米以上と、広大なプライベート空間でステイすることができる。

富士山を臨む完全プライベート空間

場所は、河口湖駅からの周遊バス・グリーンラインで約50分。河口湖、西湖の湖畔の景色を眺めながらバスに揺られ、バス停「西湖いやししの里根場」で下車徒歩3分のところにある。

グランピング施設には車でなければアクセスが難しい場所も少なくないが、公共交通機関と徒歩で行くことができるのは嬉しい。

完全プライベート空間となっているため、チェックインもタブレット操作のみで完了。鍵は暗証番号のみとなっている。

扉を開けて、まず目に飛び込んでくるのは印象的な2つのドームテントだ。クリアなドームが、多用途に使うことができる「サンドーム」、白いドームが、寝室となる「ムーンドーム」。

通路にはウッドチップが敷き詰められており、自分の足音も心地よい。そして、周囲を遮るようなものがほとんどなく、とても空が広い。鳥のさえずりと風が木々を揺らす音だけが響きわたる。

ムーンドームには、広いベッドが2つ設置されており、広い窓からは富士山を臨むこともできる。また、このドームはエアコン完備。宿泊した日は、強い日差しのある真夏日ではあったが、とても快適に過ごすことができた。ガウンやタオル、アメニティなども用意されている。

サンドームは全面がクリアになっており、ドーム内に居ながらも自然を感じられる空間となっている。お酒などを持ち寄って語らうもよし、瞑想やヨガなどをするもよしと、自分の感性のままに使ってほしいとのこと。

カーテンで目隠しすることもできるが、宿泊エリアは外から見えることはないので、ぜひ開放的に使ってほしいスペースだ。

ドームの隣にキッチンスペースと、シャワーやトイレ、サウナがある。サウナの窓からもまるで絵画のように富士山が見えた。ロウリュも可能で、サウナ好きにはたまらないロケーションではないだろうか。早起きしての早朝サウナは格別の気持ちよさだった。

お風呂は露天風呂となっており、浴槽は2桶あるので、温水用と水風呂用に分けることができる。サウナマシンの設定やお風呂は自分で用意するため、到着したらまずはこれらの準備にとりかかるのがオススメだ。

サウナマシンは、8時間後に稼働などタイマー設定もできるので、就寝前にセットして朝起きてすぐにサウナに入る、なども可能となっていた。

お風呂の隣には"ととのいスペース"としてチェアも用意されているが、ごろ寝ができる「星見たたみ」もある。こちらに寝転がれば、眼前に広がるのは空だけ。

静かに吹き抜けていく風がサウナやお風呂で火照った体をクールダウンさせて、降るような星空を独占したような気分になれた。

夏場でも夜は冷え込むので、こちらで寝てしまわないように注意だ。

そして、このグランピング施設の中でも特徴的なのがこの「座湯シアター」。ベンチ状の浴槽にお湯を流し、そこに座ることで湯船に浸かるよりも長時間入浴しながらYouTubeやその他主な動画配信サイトを視聴可能。

星空の露天シアターで映画を観ていると、あっという間に夜も更けてしまった。

地元食材をふんだんに使ったバーベキューメニュー

グランピングでの大きな楽しみの1つが食事。こちらの施設では、大きなグリルをはじめ、コンロやケトルなどの調理用品はもちろん食材や食器もすべて一通り用意されている。

十分な広さがあるので、4人でワイワイと話しながらでも調理を進められそうだった。

夕食メニューには、地元の野菜や食材がふんだんに使われている。

バーベキュー用のお肉は、富士の麓で育った「富士桜ポーク」、ワインのぶどう粕を飼料に育った山梨の「ワインビーフ」、しっかりとした歯ごたえの山梨育ち「かいじシャモ」といった地元の食材が並び、シメのごはんは丸鶏を丸ごと使った鶏ご飯と、グランピングならではのダイナミックな料理が用意されていた。

富士桜ポークは上質な脂の甘さが口いっぱいに広がるものの、しつこくないのでペロリと食べてしまった。ワインビーフは赤身の部分のうま味が強く、しっかりとした牛肉のおいしさを感じられる。

かいじシャモも、シャモならではの野趣あふれる味わいがあり、食べ応えが抜群だった。お肉はすべて自分でグリルしていただくのだが、岩塩やハーブソルトなど、シーズニングも豊富に用意されていた。

また、シメのご飯はそのまま食べるだけではなく、茗荷と大葉を入れてお出汁をかけ、ひつまぶし風にもできる。お肉で満たされたお腹にも、サラサラと入っていった。

ドリンクも冷蔵庫に用意されているものはフリードリンクとなっており、中には山梨の地ビール「富士桜高原麦酒」もあった。

赤いラベルの「ヴァイツェン」は、驚くほどフルーティーで滑らかな飲み口で、お肉の脂もサラリとほどいて喉の奥に運んでくれる。黄色いラベルの「ピルス」は、キレのある苦みとホップの香りをしっかりと感じられるので、ソーセージなどのガツンとした味に合わせたいビールだった。

朝食のメインはホッとサンドメーカーでつくる「コンビーフと温玉のチーズホットサンド」。富士山の湧き水で作る「忍野どうふのカプレーゼ」やポタージュをいただきながら、焼きあがるのを待っていると、香ばしい匂いが鼻をくすぐる。

朝の涼しい風が吹き抜けて、その匂いをどこかに運んでいく。この場所で過ごす中で、味覚だけでなく、嗅覚やその他の感覚も、いつもと違うような気がしてきた。

"無駄"から生まれるクリエイティブな感性

食事以外でも、ぜひ体験してほしいのがドリップコーヒーだ。コーヒー豆は、インドネシア産の「トラジャ」、コロンビア産の「コロンビア」、キューバ産の「クリスタルマウンテン」の3種が用意されており、豆の違いによる味わいの違いを楽しめる。

普段はインスタントなど手軽に飲んでいるコーヒーだが、手回しのミルで豆を挽き、ドリッパーからゆっくりと落ちていくコーヒーを見ていると、不思議と心が落ち着いてくる。普段なら苛立ってしまう”待つ”という行為も、ここでは豊かな時間のひとつだと思える。

「dots by Dot Glamping Suite」は古代中国の思想である「陰陽五行」も設計思想の一つになっており、その中から”Muda is more”という体験コンセプトを立ち上げたという。

現代社会において"無駄"なものは淘汰されてしまうもの。

だが"無駄"にこそ価値があり、非日常な体験の中にある"無駄"を体験することで、人間本来の五感を刺激して、新たな感性を得られるのではないかと考えられている。

そのため、自分の感性を洗練させるために、ただ自然に飛び込んで体で感じるだけでなく、サウナやプロジェクターなどのアイテムもどんどん活用して五感を刺激することを大切にしているという。

ここでしか体験できない最高に"無駄"な時間。そんな時間の中に、自分の人生を豊かにしてくれるものが見つかるかも知れない。