JR東日本は、架線設備の工事・メンテナンス業務のDX推進について、現状の取組みを発表した。架線設備は、列車に電気を供給するトロリ線などの架線や、それらを支持する構造物等で構成される。このうち構造物には、架線自体の荷重や、架線を水平に保つための張力に耐え得る強度が必要で、設計に多くの時間を要していたという。

  • JR東日本が架線設備における工事・メンテナンス業務のDX推進について、現在の取組みを発表

現在は3Dレーザースキャナーによって取得した点群データをもとに、鉄道設備の3Dモデリング・寸法計測・レイアウト検討ができる「Railway-Eye」、タブレット上で構造物を配置し、測量結果を入力すると構造物の外観図の作成や強度計算を自動で完了する強度計算アプリ「JREDOCS(ジェイレドックス)」を導入。設計業務のDX推進により、測量の結果から図面作成や強度計算などを個々に行う従来の作業が省力化された。

メンテナンス分野では、2021年10月から「East-i」搭載のカメラとセンサーで取得したデータにより、架線設備の状態を確認する「架線設備モニタリング」を導入。地方線区を中心に、在来線38線区、約5,500km(走行区間の約74%)で導入しているという。

  • 架線設備の工事における取組み

  • 架線設備モニタリング導入区間の検査手法変遷

  • AIによる画像スクリーニングの活用イメージ

  • 架線設備モニタリング導入エリアおよび拡大予定エリア図。今後は首都圏線区(約2,000km)で導入予定としている

その結果、夜間に電力係員が高所で行う目視検査に要する時間を削減するとともに、最大で年4回の多頻度な検査を実現した。今後は首都圏線区(約2,000km)への導入をめざしている。なお、現在はオペレーターにより、カメラで取得した画像データのスクリーニングを行っているが、今年度下期からはオペレーターとAIを組み合わせた画像スクリーニングを行い、生産性向上を実現させる。