トリミングが嫌いで噛もうとする犬が3時間後→トリマーに心を許す姿に感動「犬の気持ちに寄り添ってくれる」

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「事前預かりの時から私がリードを持つと激怒り。
抱っこなんてできる状態じゃありませんでした
無理やりリードで持ち上げてテーブルの上に置いて何もせずに帰ってもらった。
トリミングの日、預かり時よりは怒らなかったけどやはりリードを持つと察知して激おこ。
ハーネス取るのも激おこバリカン近づけるだけで激おこ
でもね、なんで怒ってるかわかるよ。私、なにも痛いこと、嫌なことしないよ。
それが伝わるとお利口さん 信じてくれて、ありがとう」

トリミングを嫌がり激おこだったワンちゃんの動画を、「ドッグサロン ラバンデュラ」(滋賀県大津市)を経営するトリマーさん(@dogsalon_lavandula)がInstagramに投稿。

3時間後、怒っていたワンちゃんがトリマーさんを受け入れ、おとなしくトリミングされる姿が映し出されています。そんなワンちゃんを目にした人たちから「寄り添ってくれるトリマーさん」と感激のコメントが多数寄せられるなど話題になりました。

「近所にこんな素敵なトリマーさんがいてくれたら」

「わんちゃんの気持ちに寄り添ってくれるトリマーさん素敵です」
「こちらが信じてあげることから。超絶共感します」
「うちのシュナ、トリマーさんからこんな危険な子連れてこないで下さい。って言われてから自分でカットしてます。あなたのようなトリマーさんが近くにいれば。。。」
「我が子は里親犬で近所のトリマーさんから噛む子はお断りしてるんです。と言われた事があります。近所にこんな素敵なトリマーさんがいてくれたら本当にありがたいですね」
「犬の不安、気持ちに寄り添って、時間をかけて信頼関係を築く、沢山の犬を相手にしているなか、やりたくてもなかなか出来ることではありません」

多くの人たちの心をつかんだトリマーさんの動画。トリミングが苦手なワンちゃんを担当した時のことを、投稿したトリマーさんに聞きました。

トリミングが苦手なシニア犬 初めは体を触れるだけで怒っていたが…最後は抱っこ!

――最初はトリミングが苦手で激おこだったワンちゃん。お名前は?

「トイプードルのエイトくん。12歳の男の子です」

――今回トリマーさんのところで、エイトくんのトリミングをお願いすることになったのは。

「これまで通っていたサロンが14歳を超えるとシャンプーなし、カットになるのでシャンプーしてくれるところを探していたそうです」

――トリミングの前にカウンセリングを行ったとか。最初はなかなか触らせてくれなかったようですね。

「そうですね。カウンセリングの時から何かを察してピリピリして、ママ(飼い主)にも当たっていました。預かろうとするとかみにきて(歯がないのでケガはせず)よっぽどトリミングが嫌で、そしてとても賢い子なんだなという印象を持ちました。

事前預りの際はエイトくんにテーブルの上に乗せても何もしないことを伝えるために抱っこしようとしたのですが…リードを持つだけで突進してくるので、リードとハーネスを釣り上げなんとかテーブルに乗せられた、そんな状態でした。

テーブルへ乗せたら私はかまれないので、エイトくんはうなってかみにきましたが、ただひたすらなでるだけで何もしないことを伝えたんです。この日は5分ほどでテーブルから下ろし、その後も警戒して突進。その後すぐお迎えが来て帰宅しました」

――トリミングはどうだった?

「カウンセリングの数日後にトリミング。事前預り時よりは突進はしてこなかったです。でもやはり初めは抱っこはできずハーネスで持ち上げたりしましたが、3時間後には私を信用してくれて。触れられなかった顔周りのトリミングも全く怒らずやらせてくれました」

――確かに怒らずトリマーさんに体を委ねていましたね。

「どんな経験をしてきたのかは知りませんが、よっぽどトリミングに対して嫌な印象があるようで。私はとにかく痛いことをしないことをエイトくんへ伝えました。バリカンが体に触れるだけで怒るけど、バリカンで体をなでるだけだと痛くありません。痛いことをしてないと伝わればじっと待ってくれました。何をするにも初めだけ怒る子だったので、嫌じゃないと分かればおとなしくしてくれました」

――とってもお利口さんなエイトくん。これまでトリミングで嫌な思いをしてきたのかもしれませんね。今回リードを持つだけで怒っていたエイトくんを抱っこできたのは?

「私のトリミングのやり方が成功だったようで信頼を得たからだと思います。エイトくんに『この人のトリミングは嫌じゃない』と思ってもらえたので、抱っこもできるようになりました」

「わんこたちはこれをされると嫌な思いをしたことを思い出して必死に怒ってるだけ。かむ子を悪者にしないで」

――エイトくんのようにトリミングが苦手になる理由はなんでしょう。

「大体の子は"痛み"か"恐怖"で苦手になる子が多いです」

――飼い主さんは?

「シャンプーができなくてサロンを変更されたので、シャンプーができることは喜んでいただけました。嫌がることをお伝えするとおうちではこうだと様子を教えてくださり協力的な飼い主様です。2回目のトリミングの後に足の関節に痛みがあるように感じお伝えすると、注意して見てみるとおっしゃってくださいました。エイトくんは何度も言いますが賢い子だなと思います。信頼してもらえた後は甘えんぼさんでした♡ 抱っこもあれだけ怒ってたのに実は抱っこが好きなようで。何度も抱っこさせてくれました」

――トリマーとトレーナーの二刀流とのこと。「危険な子は連れてこないで」「噛む子はお断りしている」というトリミングサロンに断られてしまうワンちゃんたちもいるそうですが。そんな子たちは飼い主さん以外に体を触られるのが苦手だったり、以前トリミングで嫌な思いをしたりした経験があるのだと感じます。こういった子たちをトリミングする際に心がけていることなどをお聞かせください。

「トリマー歴は6年です。以前働いてたお店が高木美樹さん(※)のお店なので、他店でお断りされた『神犬』への基本的な対応を教わりました。セミナーにも行きましたし勉強はしました。勉強すれば私の判断ミスがない限りテーブルの上での作業ではかまれてけがをすることはありません。かまれてしまった時は私の判断ミスだと思ってます。

注意することはリードを必ず付けること。かむ子は床に下ろした時も必ずリードは付けておきます。後は嫌がった時にわがままだとは決めつけない。絶対に嫌な理由がその子それぞれにあります。その嫌な理由を私はしないよ、と伝われば、みんなかまなくなります。

わんこたちはみんな賢くて、これをされると嫌な思いをしたことを思い出して必死に怒っているだけです。嫌な思いをさせているのは私たちの方で、それをしなければ怒りません。怒られせてしまった原因が自分にないか、思い返してほしいです。かむ子を悪者にしないでほしいですね」

※滋賀県彦根市にあるトリミングサロン「TALL TREE.」のオーナーグルーマー。高木美樹さんは、犬に負担をかけずにかわいいスタイルを短時間で仕上げることを目的としたトリミングメソッドであるスピードトリミング®の創始者。

「Dog Salon Lavandula(ラバンデュラ)」のホームページ

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