高齢の飼い主が突然死去 行き場を失った11歳トイプードル 保護団体のスタッフは荒れた体に言葉を失った

松田 義人 松田 義人

2022年秋、東京・足立にある保護犬カフェ・PETS(以下、PETS)に1頭のシニア犬が保護されました。11歳になるトイプードルのオス・キラです。聞けば、74歳になる飼い主が突然死去し、行き場を失ったキラはPETSに引き取られることになったとのことですが、スタッフはその体を見て悲しくなりました。

飼い主が突然亡くなってしまったことは仕方ないにしても、キラの体があまりにもボロボロだったからです。

子犬から飼い始めたのなら、元飼い主が63歳のとき

キラはところどころ皮膚が荒れていました。目の上にはイボがあり、去勢もされていません。狂犬病ワクチンは何年も打っていないようでした。

飼い主は74歳で他界したわけですから、11歳のキラの年齢と合わせて考えると、子犬から飼い始めたのであれば63歳ごろと思われます。当時は、飼い主さんも元気だったでしょうし、それから11年後に亡くなるとは予測していなかったはずです。

キラの体はあまりにボロボロで、きちんと飼育されていなかったことが明らか。スタッフは肩を落としながらこんなことを教えてくれました。

高齢の里親希望者さんには譲渡を慎重に考える

「保護犬を譲ってほしい」という60歳以上の里親希望者さんはPETSにもよく訪れるとのこと。しかし、こういった場合、PETSでは譲渡にはかなり慎重です。なぜなら、その里親さんが亡くなったり、体が動かなくなった場合、そのワンコは行き場を失うからです。特に子犬は、そこから20年近く生きる場合があります。この間に里親さんに「飼えなくなる」などの事態が起こることがあまりに多いからです。PETSのスタッフが、比較的年齢が高めの里親希望者さんにこういった話をすると、ムッとした表情になり帰っていく方も多いそうです。

こういう話を理解した上で、さらに飼い主側になんらかの事態が起きた際、後見人などがきちんといるような家庭の場合は、年齢を問わず譲渡することもあります。特に高齢犬についてはこれまでに譲渡したことが何度かあったと教えてくれました。

キラの里親さん募集中!

ここまで慎重にそしてときに厳しくPETSのスタッフが、高齢者への譲渡についてより慎重に判断するのは自身の経験にもよるといいます。高齢になるスタッフの実父は、以前「犬を飼うなら子犬からじゃないと」とよく話していたとのこと。「成犬から飼うなんて信じられない」とも話し、スタッフはそれを聞くたびに疑問に思うところがあったそうです。

スタッフは「だからこそ私は成犬が好きになったのかも」と笑って話してくれますが、こういった経験があるからこそ、子犬を望む高齢の里親希望者さんが現れた場合、犬のことを第一に考えより慎重になるとのことでした。

話をキラに戻します。性格は極めて良好で、明るく人懐っこくかわいいおじいちゃんワンコです。すでに去勢も済ませており、現在、里親募集中。ぜひ我こそは、という方はPETSに問い合わせしてみてください。

元飼い主と悲しい別れを経験したキラですが、今度こそ幸せな第2の犬生へと導いてくれる方との出会いを願うばかりです。

保護犬カフェ・PETS
https://ameblo.jp/pets-adachi203/

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