『コタツがない家』吉岡秀隆“悠作”は小林薫“達男”題材の漫画を描けるのか?小池栄子“万里江”の奔走は続く

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『コタツがない家』吉岡秀隆“悠作”は小林薫“達男”題材の漫画を描けるのか?小池栄子“万里江”の奔走は続く

11月1日放送の『コタツがない家』(日本テレビ系、毎週水曜22時~)第3話は、深堀万里江(小池栄子)の夫・悠作(吉岡秀隆)がついに漫画に着手! テーマとなるのは父の山神達男(小林薫)との同居話。もちろんそう簡単にうまく事が進むわけはなくて……。

仕事を得て生き生きする達男と、漫画に向かう悠作

達男は、スムーズに建築現場でのバイトを始めた。一流商社で働いていたとなればプライドが邪魔しそうだけど、真面目に働いているし、年下の先輩警備員・熊沢徹(西堀亮マシンガンズ)とも仲良くやっている。年功序列の精神が染み付いていそうなのに、年齢が下の相手でも仕事の出来や人間性を尊敬できるのって素敵だな。なにより仕事の後のビールを喜べる人だから、労働が嫌いじゃないんだろう。

一方で、いつも仕事をせずにビールを飲んでいる人間もいる。働かない悠作と、働く達男。その間でますますいさかいが起こりそうなのは目に見えている。そんな中、悠作は漫画のネタのために必死に達男を観察。久々に情熱を取り戻したか? リサーチの様子はなんだか楽しそうだ。

悠作が新作漫画を描く“かも”、というだけで大はしゃぎする万里江の様子をみると、本当に嬉しいことなんだなと見ていてしみじみ思った。ここまで11年半待ったって、相当辛抱強い。そりゃ完全にお赤飯案件だ。しかし問題は、漫画のネタが達男との同居話だということ。本人の承諾が一番の難関だとなる。

説得の席として編集者の土門幸平(北村一輝)が用意したのは、達男の大好物・鰻の名店。数々の接待をこなしてきたであろう土門、本当にできる編集者! 説得の内容というよりも、すっかり鰻のおいしさにほだされてしまって承諾する達男もなんだかかわいい。

その後、焼鳥屋での熊沢との談笑の際に、漫画家「フカボリ遊策」のことや自身が漫画の題材になることを話していたけど、なんだかんだ本心は結構乗り気だったんじゃないだろうか。

悠作が目指す漫画の高み、ネタはどうする?

悠作は仕事をする気になり、達男は元気になり、幸せをかみしめていた万里江だったが、そう簡単にうまくいかないのが深堀家。せっかく順調に運んでいたのに、悠作は達男とのことを漫画にするのをやめたと言い出してきた。こんな裏切りってある?

悠作は「平凡な父親が漫画になって爆発的におもしろくなるなんてそんな奇跡あるわけないでしょうが!」がキレ出したけど、「〜でしょうが!」の言い方、吉岡秀隆が純として出演していた『北の国から’84夏』のラーメン屋での田中邦衛の名台詞「子供がまだ食ってる途中でしょうが!」のオマージュだろうか?

そもそも実体験漫画であれば主人公は“社会性のなさと欠落した人間性が持ち味”な悠作なわけで、“常識人で模範的”な達男はあくまで登場人物なだけなのだから、その二人の関係性を描くとなればいかようにもおもしろい話にできそうだとは思うんだけどな……。

まさかネタどうこうではなく、単純に漫画が描けなくなってしまっている? 自分に自信がなくなっている? と不安になってしまった。まぁそこには自分が目指している高みまでまだいけていないというクリエイターとしての葛藤があるんだろう。

万里江はさっそく土門に謝罪。できる大人同士のやりとり、安心する。土門、悠作が前のめりになりそうなネタを再び提案できるだろうか。それにしても土門のデスクにある漫画雑誌の名前が「マシンガン」だったけど、金子茂樹脚本のドラマは毎度マシンガンズ愛にあふれているなぁ。

順基の面接は大荒れの展開に!

一方、八塚志織(ホラン千秋)は母を連れて徳丸康彦(中川大輔)の職場へ。康彦はやんわりと会うことを断っていたので、一方的に強行突破された形だ。その場ではうまく繕っていたけど、その顔はひきつっていた。

「俺は俺のタイミングでちゃんと挨拶したかった」というけど、そのタイミングは本当にくるのか? まさか先にしかけられたことで、自分から挨拶できない男だと思われたことが嫌だった? 男のメンツが潰れたとか思ってる? 康彦も深堀家の男たちと同じ、“めんどくさい男”なのだろうか。

事実婚という選択肢だってあるから、志織と康彦は単純に法律婚にはこだわらない二人、という描き方なのかと最初は思っていたけど、志織の本心はやはり法的な結婚という形を望んでいる。年内いっぱいで返事を、と万里江が悠作に迫った手をついに使う志織。こちらのカップルの展開も気になるところだ。

そして息子の順基(作間龍斗)の問題も再び勃発。万里江が望んでいた指定校推薦の面接会場で、面接官にありえない挑発的な態度を取り続けていた。志望理由書は真面目に体裁よく「将来経営コンサルタントになりたい」と書いてあったけど、本心はそうではない。それを面接官に態度で示していた。これで「君おもしろいね〜」って評価されるのは突飛なドラマの世界だけなんよ。順基、完全に自分から面接に落ちに行っている。

「親が敷いたレールを目隠しで歩いてきたらココでした、後悔してます」って、そこまで親のこと嫌っていたっけ? 急な反抗期、どうした? 社長の息子(忘れがちだけどそうだった)あるあるの「わがまま」が発令した? この態度の裏にどんな思いがあるのだろう。次回は順基メインの話になりそうだ。

(文:綿貫大介)