ランドセル工業会は5月2日、ランドセルの購入に関する調査の結果を発表した。調査は2022年2月3日~2月5日、全国の20~69歳の男女、2023年4月に小学校に進学する児童のいる親を対象にインターネット・アンケートによる定量調査で行われた。

  • ランドセルの購入に関する調査

時代とともに変化するランドセル市場。カラーバリエーションの多様化や、軽量化、最近では耐久性に優れた素材の開発や教科書などの重さを軽減する技術など、ランドセルは年々進化しており、トレンドも変化している。

ランドセル工業会は毎年4月の入学シーズンに合わせて、小学校へ入学する児童を持つ親を対象にランドセルの購入に関する調査を実施。近年「ラン活」と言われるランドセルの購入検討プロセスに注目が集まる中、最新の2023年度のランドセルトレンドについても紹介している。

  • 購入した商品の決定理由

ランドセル購入前・購入後の両者で意識されていたのは、例年の調査と同様「子どもの好きな色かどうか」だった。「デザイン」は、検討時に丈夫さ、フィット感よりは重視されないものの、購入理由としては「色」に次いで2位となった。しかしながら「デザイン」の数値は減少しており、「軽さ」や「丈夫さ」などの機能性の項目の割合が昨年に比べ増加している。

「購入したランドセルの色」は、男児では「黒(ブラック)」が1位だったが、56.9%と6割を下回っており、昨年に引き続き減少傾向に。3位の「青(ブルー)」や4位の「緑(グリーン)」、5位の「こげ茶(ダークブラウンチョコ)」がやや増加となった。女児では、昨年の調査と比べ、「紫/薄紫(スミレ、ラベンダー等)」が、約29.6%と5.5ポイント増加で続伸。「桃(ピンク、ローズ)」「水色(スカイブルー)」「赤(レッド)」は今年減少し、「紫/薄紫」に人気が集中。「赤」は3位から4位にランクダウンしている。

  • 購入したランドセルの色

ランドセル購入の検討開始時期としては、例年同様に4月、5月の回答スコアが引き続き上昇し、「1年後」を意識しての動きが伺えるほか、夏までには大半が検討してると判明。4月が依然としてピーク傾向に。購入時期は5月が20.5%と最も多く、次に多いのが8月で14.5%と、全体的に早期化の傾向が見られた。

  • 購入したランドセルの検討開始時期と購入時期

購入金額については、全体平均が58,524円で、昨年に比べ2,000円以上上昇している。

  • 購入金額帯

ランドセルのいまを分かりやすく伝えるプロジェクト『ランドセルLABO』のトレンド担当・なごみ先生は、「今回の調査では、「ランドセルの多様化」というラン活のトレンドが顕著に現れる結果になった」とコメント。商品決定における重視点として、カラーやデザインが最も重視される傾向は、ここ数年変わらないトレンドで、次いで「軽さ」「丈夫さ」「背負いやすさ」の3つのポイントがほぼ同レベルの結果となっており、いずれか1点に秀でているものではなく「機能性」など総合的に判断される傾向が見受けられると分析している。

  • ランドセルLABO

  • ランドセルLABO トレンド担当 なごみ先生 コメント

カラーについては、男児においては「黒」が主流ではあったものの、比率は年々減少。主色で黒以外のカラーの購入が増えており、ベースカラーの選択に広がりが見られるとのこと。なごみ先生は「子どもの思考だけでなく、親の許容が柔軟になってきていることも要因」だと分析している。検討や購入の時期については年々早期化の傾向で、3月あたりから購入を検討する傾向にあり、5月のGWあたりがピークであるのが特徴だとか。夏までに大半の家庭が検討・購入を終えており、コロナによる制限があった近年に比べ、展示会や店舗に訪れる人数は著しく増加傾向にあるという。

また、全国の購入平均価格は58,524円と昨年と比較し上昇傾向にあるが、市場をみると3万円を切るような安価なモデルも増えており、選択肢は増えているとのこと。ランドセルの価格が上がっているというよりは、 価格のライナップが増える中で、選択される平均が上がっていると考えられる。