JR東日本とJR東日本環境アクセスは22日、駅に「リサイクルステーション」を設置して廃棄物の資源化と再利用を推進し、分別の向上や分別された資源物のリサイクルループの持続的な構築をめざすと発表した。「リサイクルステーション」は東京駅、大崎駅、川崎駅に設置し、有効性を検証する。

  • 「リサイクルステーション」を東京駅、大崎駅、川崎駅に設置(JR東日本提供)

JR東日本グループは、循環型経済(サーキュラーエコノミー)へ移行するため、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の施行やゼロカーボンの推進に取り組んでいる。プラスチックの再資源化に関する社会的要望が高まり、リサイクル技術も発展していることから、鉄道利用時や駅ナカで排出される廃棄物の再資源化に向け、「収集」「加工」「利用」の3つのフェーズに分け、取組みを進めていくという。

「収集」の取組みとして、分別を推進し、資源化することを目的とした「リサイクルステーション」を設置。「加工」の取組みとして、駅・列車で回収した廃プラスチックのRPF化とケミカルリサイクルによる水素化、新たなペットボトルに生まれ変わらせる「ボトル to ボトル」の水平リサイクルを推進する。「利用」の取組みとして、廃プラスチックから生み出された水素を水素ハイブリッド電車「HYBARI」で活用するほか、「リサイクルステーション」で回収したペットボトルをサントリー製品へ再利用するとのこと。

  • 循環型経済(サーキュラーエコノミー)でめざす資源の流れ (JR東日本提供)

「リサイクルステーション」は、分別できる種類が限られていた従来の駅ごみ箱を発展させ、「新聞・雑誌」「ビンカン(分割)」「ペットボトル(分割)」「廃プラスチック(新設)」「紙類・木類(新設)」の5種類に分別できる。分別を推進し、資源化することを目的に、分別しやすいピクトグラムと色の表示を採用したデザインに刷新している。

東京駅では12月5日から設置されており、認知度の向上や分別促進を検証。大崎駅では12月16日から設置され、「リサイクルステーション」の設置と合わせ、JR東日本クロスステーション ウォータービジネスカンパニーがペットボトル専用の新型「リサイクルボックス」を設置し、駅全体での資源循環にともに取り組む。川崎駅では11月7日から期間限定で設置(期間は2023年3月31日まで)。「かわさき循環プロジェクト」に参画し、川崎市内のペットボトルのリサイクルに取り組んでいる。今回はペットボトルに加え、廃プラスチックの高度利用に向けたリサイクルに取り組むとしている。

  • 「ボトル to ボトル」の取組み(JR東日本提供)

  • 水素ハイブリッド電車「HYBARI」への水素利用の具体的スキーム(JR東日本提供)

回収したペットボトルについて、「ボトル to ボトル」水平リサイクルの拡大をめざす。「リサイクルステーション」で回収したペットボトルはサントリーグループと協働し、全量を「ボトル to ボトル」水平リサイクルに回し、サントリーグループの飲料製品へ再利用される。

川崎駅をはじめとする川崎市内の南武線各駅および首都圏の列車から回収した廃プラスチックについては、昭和電工の川崎プラスチックリサイクルプラント(KPR)にて、ガス化によるケミカルリサイクルで水素などに生まれ変わる。この水素は岩谷産業から供給を受け、水素ハイブリッド電車「HYBARI」のエネルギーとして一部活用する。