武田玲奈
仮面ライダーシリーズ最新作『仮面ライダーガッチャード』のオンエアを記念して、ファンが待ちに待ったスペシャルイシューが今年も発売! 10月16日に発売された『週刊プレイボーイ』44号では「歴代仮面ライダーヒロインが大集合!!」と題し、歴代の仮面ライダー女優たちがこぞって登場し。水着グラビアの最新撮り下ろしやインタビューなど、それぞれの仮面ライダー愛がほとばしる内容となった。

その特集より歴代ヒロイン5名のインタビューを、週プレNEWSにて再掲載。今回は『仮面ライダーアマゾンズ』(シーズン1・2016年、シーズン2・2017年)で水澤美月を演じた武田玲奈さんが登場。水澤美月は食人本能を持つ人工生命体・アマゾンを研究する水澤令華の娘。シーズン1では内気な高校生だったが、シーズン2からはアマゾン駆除組織4Cに入隊。戦闘員として活躍する。今回の取材では、作品から得たものや当時の心境などを語ってくれた。

――まずは『仮面ライダーアマゾンズ』に出演された経緯を教えてください。

武田 オーディションです。『仮面ライダー』シリーズへの知識はそれほどなかったのですが、このお仕事を始めた当初から、女優の登竜門といわれるライダーのヒロインには憧れがあったんです。とはいえ、まだお芝居をはじめて間もない頃でしたし、オーディションの手応えもまったくなかったので、合格のご連絡をいただいたときはビックリしました。

――『アマゾンズ』は、Amazon Prime Video初の日本オリジナルドラマとして制作された配信作品です。人間社会に潜伏する、食人本能を有した人工生命体・アマゾンの存在を軸にしたストーリーで、人肉を食すシーンや血しぶきが飛ぶシーンなどのグロテスクな描写も多く、いわゆる子ども向けのニチアサ作品とは一線を画す内容になっていましたが、ぶっちゃけ抵抗は?

武田 まったく(キッパリ)。そもそも配信ドラマ自体がまだ珍しい時期だったので、むしろ新しい試みにワクワクしたほどでした。「Amazon」と「アマゾン」をかけているのも面白いし(笑)。実際、お子さんからの反響は少なかったように思います。 "大人の仮面ライダー"って、何だかカッコいいなーって。そんな気持ちでしたね。

武田玲奈さんが演じた水澤美月 ©️石森プロ・東映 武田玲奈さんが演じた水澤美月 ©️石森プロ・東映

――出てくるライダーたちも、ヒーローって感じじゃないですもんね。その淡々と物語が進んでいく不気味さこそが『アマゾンズ』の醍醐味と言えるような気もしますが(笑)。そんななかで武田さんが演じられた水澤美月は、アマゾン研究の推進者である水澤令華の娘。学校ではいじめに遭っている内気な女子高生でした。役作りの苦労は?

武田 苦労は特になかったです。というのも当時はなぜか、美月に限らず内気な役柄を与えられることが多かったんですよね。まだ10代だった当時の私は、あまり自分の意見をハッキリ言えるタイプではなかったので、そういう役がピッタリだったのかなと思います。ただ『アマゾンズ』はシーズン1とシーズン2で構成されているんですけど、シーズン1では、義理の兄である主人公の(水澤)悠(はるか)と令華以外の人と絡むシーンがほとんどなくて。役だけじゃなく、リアルな現場でもひとりでいることが多かったのは、ちょっぴり寂しかったですね。私だけ、戦闘シーンに参加できなかったのも、もどかしかったです(笑)。

――でも、シーズン1の5年後を描いたシーズン2では、ガラリと性格が変わりましたよね。アマゾン駆除組織・4Cの一員として戦闘にも参加。同じ役とは思えないほど、勇敢な女性へと成長しました。

武田 本当、逞しくなりましたよね。でも、だからといって意識的に役作りのやり方を変えた記憶はないです。人は大人になるにつれて自然と変わっていくものだと思っていましたから。それより、シーズン2では4Cという仲間ができたことがうれしかったです。作中ではかなり殺伐としたチームでしたが(笑)、休憩時間にみんなでジュースを買いに行ったり、お芝居に対する熱い気持ちを教わったり。現場の一体感はシーズン1以上だったと思います。

武田玲奈

――『アマゾンズ』の撮影を通して、武田さん自身が成長したところといえば?

武田 お芝居への意識じゃないでしょうか。右も左も分からないまま現場に臨んでいたので、日々学ぶことばかりでしたよ。それこそ、石田(秀範)監督にはたくさん怒られました。「下手くそ!」と何度言われたことか......(笑)。逆にうまくできたときは褒めてくださることもあったので、凹むことはなかったですけどね。田﨑(竜太)監督からは、「美月に息を吹き込めるのは武田さんだけだからね」と、役に対する責任感を教わりました。共演者のみなさんも親身になっていろいろ教えてくださったので、本当にありがたかったです。

――「下手くそ」とストレートに言われても凹まないなんて! あとでフォローがあったとしても、言われた瞬間は悔しい気持ちになりません?

武田 厳しい言葉の中にも愛がありましたし、私も自分が下手くそなのは分かっていたので。「はい! すみません!」と切り替えて、言われたことを吸収するので精一杯でした。

――堂々とされていますね。あまり緊張されないタイプですか?

武田 そうですね。『アマゾンズ』の最初の現場入りも、特に緊張はしていなかったと思います。

――そういえば、過去のインタビューで悠役の藤田富さんが「武田さんは弱音をまったく表に出さない(※)」と仰っていましたよ。過酷なシーンでも、一切キツそうな素振りを見せないと。

武田 あはは。そんなこと言ってくれていたんですね。まぁ、確かに。よっぽどのことがない限りは平気かもしれないです(笑)。

※出典:リアルサウンド映画部『藤田富&武田玲奈が語る、国民的ヒーローを演じるために必要なこと 武田「弱音を人に見せたくない」』より

――作中の中で、特に印象に残っているエピソードは?

武田 シーズン2の最終話(Last Episode「AMAZONZ」)で、悠と向き合うシーンですね。美月がシーズン2で4Cに入隊したのは、アマゾンである悠(※)と向き合うため。いざとなったら自分の手で悠を殺すつもりだったんですよね。その選択は勇気のいるものだったと思うけど、シーズン1ではすれ違いの多かった二人が、最後にお互いの成長を認め合うことができたとき、初めてちゃんと兄妹になれた気がして、演じながらも思わず涙が出そうになりました。私は一人っ子なので、お兄ちゃんがいる感覚は完全には分からないけど、強い絆が感じられたのは良かったです。

(※)悠は、アマゾン細胞に令華(ヒト)の遺伝子を与えることで生まれたアマゾン研究の実験体だった。

――では改めて、武田さんにとって『仮面ライダーアマゾンズ』とは?

武田 女優人生の初期を代表する作品、ですね。配信からもう7年も経つというのに、いまだに「『アマゾンズ』見てました」って声をかけていただくことがあるんです。共演者の方やスタッフさんとも、ずーっと関係性が続いています。こうして、いつまでも私のそばにいてくれる作品は『アマゾンズ』くらいですよ。

――いま放送中の『仮面ライダーガッチャード』には、『アマゾンズ』で共演された宮原華音さんも出演中です。

武田 そうそう! 華音とは『アマゾンズ』の前にも共演経験があって。物語上、現場が被る機会は少なかったんですが、すれ違いざまにお喋りしたり、たまにアクションを教えてもらったりと、仲良くしてもらっていたんです。それに私も、いま撮影中のドラマの現場でたまたま『アマゾンズ』のときにお世話になった記録さんとご一緒して、ちょうど思い出話に花を咲かせていたところなんです(笑)。今回、取材を受けさせていただいたことにも不思議な縁を感じますね。『仮面ライダー』シリーズ史上、かなり異色な作品ではありますが、まだ『アマゾンズ』を見たことがない方にも、この機会にぜひ見てもらいたいです。

●武田玲奈(たけだ・れな)
1997年7月27日生まれ 福島県出身
◯2014年、『Popteen』レギュラーモデルとして芸能活動をスタートし、2015年に映画『暗殺教室』で女優デビューを果たす。