3月に入り、各所でスギ花粉の飛散のピークを迎えました。日本気象協会によると、今年の花粉の飛散傾向は、北海道と九州を除く全域で「やや多め」「多め」といわれており、特に関東甲信では非常に多く飛ぶと予測されています。つらい症状を自分で和らげる方法はあるのでしょうか? 今回は、花粉症と免疫について解説します。

花粉症の症状や原因は? なぜ反応がでる?

日本において、花粉症は最も罹患率の高いアレルギー疾患とされています。東京都が2016年に行った花粉症患者に関する実態調査では、2人に1人が花粉症を発症していることが判明しました。

そもそも花粉症とは、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因で生じるアレルギー症状のことをいい、季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれています。体内に入った花粉を、異物として認識して抗体を作る“免疫反応”が過剰になり、くしゃみ、鼻水(鼻汁)、鼻づまり(鼻閉)、目のかゆみ、充血、流涙など様々な症状をもたらします。

免疫力が下がるとどうなる? 下がる原因は?

“免疫反応”が過剰になってしまうだけでなく、免疫力の低下も花粉症の原因の1つ。免疫力が低下すると、病気のリスクや環境の変化など、些細なことに身体が反応しやすくなるといわれています。背景には、睡眠不足や食生活の乱れ、運動不足などがあげられており、生活習慣の乱れが免疫力低下に繋がっているのです。

免疫力を高める方法は?

免疫力を高めるためには、規則正しい生活習慣がカギとなります。軽いジョギングやウォーキングなど無理のない運動を習慣化し、体を活性化させることが効果的といわれています。

また、バランスの良い食事を心がけることも大切です。いろいろな食べ物をバランスよく食べるという食生活が抵抗力を高めます。また、免疫細胞の約60%は腸内に集まっていることから、腸内環境を整える発酵食品や野菜などを積極的に取り入れましょう。

さらに充分な睡眠は、体をリラックスさせることで副交感神経を優位にし、免疫システムを正常に維持することに繋がります。同様な理由から、ストレスを溜め込まないように心がけるよう意識することも大切です。

甲斐沼 孟医師より

「花粉症はアレルギー反応のため、身体の免疫力を高めることで抵抗力を上げて、アレルギー反応を抑えることが期待できます。

日常的に栄養バランスの整った規則正しい食生活を送り、有酸素運動など無理なく定期的な運動習慣を持ち、快適な睡眠を確保することで身体の免疫力を向上させて、花粉症の症状を緩和する、あるいは予防する効果を発揮する可能性がありますので十分に認識しておきましょう」


花粉対策グッズなどで花粉をガードすることも1つの方法ですが、免疫ケアとして規則正しい生活習慣に改めることも、つらい花粉症の症状を少しでも和らげるための対策となります。過去10年で最多の飛散量といわれている今年の花粉シーズン。自分でできる花粉症対策を取り入れていきましょう。

監修:甲斐沼 孟(かいぬま まさや)先生

平成19年(2007年) 大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部医学科卒業
平成21年(2009年) 大阪急性期総合医療センター 外科後期臨床研修医
平成22年(2010年) 大阪労災病院 心臓血管外科後期臨床研修医
平成24年(2012年) 国立病院機構大阪医療センター 心臓血管外科医員
平成25年(2013年) 大阪大学医学部附属病院 心臓血管外科非常勤医師
平成26年(2014年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医員
令和3年(2021年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長
令和4年(2022年) 同上(現在に至る)


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