ニュース 2017.07.13. 17:43

熱中症を防ぐ!少年野球で注意すべき4つのこと

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・熱中症とは?

熱中症とは暑い環境下で生じる健康障害の総称です。高温下での運動を続けることで循環器系に異常をきたし、身体と外気温との温度調節がうまくいかないことで起こると言われています。熱中症は大きく次の4つに分類されます。

①「熱失神」

皮膚血管の拡張によって血圧が低下、脳血流が減少して起こる

②「筋けいれん」

大量に汗をかいてミネラル(ナトリウム)分を失ったところに、水分のみを補給して血液中の電解質バランスが崩れて起こる症状。ふくらはぎや、太もも、腹部などの筋肉が細かいけいれんを起こし、痛みを伴う

③「熱疲労」

大量に汗をかき、水分補給が追いつかずに脱水状態になって身体に支障をきたす

④「熱射病」

体温が上昇して中枢機能に異常をきたし、意識障害やショック症状を伴う

・熱中症になりやすい4つの危険因子

1)睡眠不足

熱中症の症状を訴える選手の多くが「前日、よく眠れなかった」もしくは「夜更かしをしてしまった」と答えます。睡眠時間を確保することは身体の成長を促すだけではなく、その日一日の疲労を回復させる意味でも大変重要なものです。ジュニア選手であれば7~8時間程度は寝るようにし、就寝直前までスマホやゲームなどで脳を刺激することは睡眠の質を下げるので避けましょう。就寝時間と起床時間をあらかじめ決めておき、時間を確保するようにすると規則正しい生活リズムをつけることができます。

2)朝食を食べなかった

睡眠不足とともによく聞かれるのが「朝食を食べなかった」ということ。朝食を抜いてしまうと就寝時からお昼頃まで半日近くエネルギー源をとらないまま過ごすことになります。エネルギー不足では脳や身体が十分に働きませんし、暑いさなかでプレーを続けると体調を崩してしまうことにつながります。暑い時期こそ栄養バランスの整った食事をとるようにしましょう。

3)肥満傾向

肥満とは単に体重が多いことではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態をさします。国際的な標準指標であるBMI(Body Mass Index:体重(kg)/身長(m)2)を用いて計算を行い、BMIの標準値22.0に対し、25.0を超えると肥満傾向にあると判定されます。運動では、筋肉を動かし体内で熱を産生しますが、肥満傾向にある選手は軽い運動でもエネルギー消費量が大きく、さらに体脂肪が熱の放散を妨げるため、体温が上昇しやすいと言われています。練習においてどの選手にも公平に練習機会を与えることが、肥満傾向の選手にとっては大きな負担になることを理解しておきましょう。

4)キャッチャーの防具

キャッチャーは防具をつけることによって熱が体内にこもりやすくなり、脱水症状を起こしやすいと考えられます。さらには体格がよく、肥満傾向にある場合はなおさら熱中症のリスクが高くなることを覚えておきましょう。こまめな水分・塩分補給、熱がこもらないように防具を着脱する、扇風機やうちわなど風を利用して皮膚の表面温度を下げる等、熱中症対策は十分に行いましょう。

著者プロフィール

アスレティックトレーナーの西村典子さん
アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
東海大学スポーツ教育センター所属、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナー。日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS, NSCA-CPT。学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。
大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。
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