「っていうか、タメ口って許可制なの!?」

例えば『恋愛ワードを入力してください+~Search WWW~』。偶然知り合ったタミ(女性)とモゴン(10歳年下の男性)がお酒を飲んでいい雰囲気になり、一晩を共にします。その後、職場で運命的に再会したとき(これも韓ドラあるある!)、タメ口で話しかけたモゴンに対して、「何歳なの?」「タメ口ね」とタミ。え、一晩共にしたいい感じの彼の年齢とタメ口が今さら気になる?

しかも字幕では「タメ口ね」と言っているところ、実際には「誰がタメ口にしようって言ったの?」と言っています。それに対してのモゴンの返事は「そう決めたけど忘れた?」。え〜、記憶が曖昧になるぐらい飲んでの甘い雰囲気の中で「タメ口にしよう」って確認取ったんだ。

  • イラスト/みつほし

なぜなのか。日本人の感覚からすると不思議が詰まったシーンですが、韓国ドラマの中では、年齢を聞く、「タメ口にしよう」と年上が許可を出すというのはあるあるな流れです。

その理由を考えると、まず年上を敬う儒教の文化が日本よりも色濃く残っているからというのがあります。なので、年齢を聞いて1つでも年上だったら敬語を使うのが当たり前となる。韓国語には日本と同じく敬語があるんですね。なので、字幕ではタメ口になっていても、実の両親に敬語で話していたり、やんちゃな不良生徒が先生に丁寧な言葉で話していたりするのです。

年齢によって相手の呼び方が変わるというのも最初に年齢を聞く大きい理由でしょう。韓ドラを見ていると「オッパ」「ヒョン」という言葉を必ず耳にすると思います。これは親しい年上の男性に向けての呼び方。「お兄さん」という意味で、女性が年上男性を呼ぶときは「オッパ」、男性が年上男性を呼ぶときは「ヒョン」となります。「お姉さん」の場合、女性が年上女性を呼ぶときは「オンニ」、男性が年上女性を呼ぶときは「ヌナ」です。

これは“親しい間柄”で呼んでいるのがポイント。呼ばれたほうは親しい弟や妹のために人肌脱ごうと張りきってくれちゃうのです。例えば『怪物』でハン・ジュウォン(ヨ・ジング)は、自分の元家庭教師であるクォン・ヒョクを普段は「クォン検事」と呼び、距離を置いています。でも、大事な頼みごとがあるときは「ヒョン」と呼び、ヒョクは「ヒョンが助けてあげるよ」とうれしそうな顔をするのです。

『キム秘書はいったい、なぜ?』でも、イ・ヨンジュン(パク・ソジュン)は付き合い始めたキム・ミソ(パク・ミニョン)に「オッパ」と呼ぶように言い、実際に呼ばれるとミソを3度見ぐらいして驚き、喜びます。女性が恋人に甘えるときの「オッパ」の破壊力よ。『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』でのソ・ジュニ(チョン・へイン)の、「ヌナ、おごって」もしかり。あぁ、「ヌナ〜♡」と甘えられたい。

でも少し残念なのが、字幕では「○○さん」と名前呼びになってしまうこと。それだと甘えた「オッパ」や「ヌナ」の破壊力が伝わらない! 早く日本でも市民権を得て、字幕もそのまま出してもらえることを切に願います。

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