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「私は浮気相手だったの?」妊娠発覚後、彼氏の「内縁の妻」に告げられた冷酷な現実
写真はイメージです(Pangaea / PIXTA)

「私は浮気相手だったの?」妊娠発覚後、彼氏の「内縁の妻」に告げられた冷酷な現実

交際中のカレの子を妊娠し、幸せを感じていた女性に突きつけられた冷酷な現実。なんとカレには、内縁の妻がいたーー。妊娠中の女性から弁護士ドットコムに、このような相談が寄せられました。

相談者は、カレに「内縁の妻」がいることは全く知りませんでした。ごく普通の独身者同士の交際をしていたはずが、妊娠がわかってから、カレから「法律婚はしていないが、ある女性と事実婚状態にある」と告げられたのです。

相談者は「自分自身は浮気相手にすぎなかった」としてショックを受けています。そこで相談者が心配しているのは、自分は「不倫」してしまったのかどうか、という点です。

知らなかったとはいえ、内縁の妻から不貞行為を理由に訴えられてしまう可能性はあるのでしょうか。また、これから子どもを出産したとして、彼と正式に結婚をすることはできるのでしょうか。有坂秀樹弁護士の解説をお届けします。

●内縁の夫婦でも「貞操義務」はある

ーーそもそも、「内縁」とはどのような関係をいうのでしょうか。

内縁と認められるためには、夫婦関係を形成する意思を持ち、精神的・経済的な協力扶助をしながら、共同生活を一定期間継続している実態が必要です。ただ同居しているだけの「同棲」とは、このような実態がある点で異なります。

そして、内縁の夫婦の間にも「貞操義務」があり、内縁の共同生活につき保護されるべき利益があります。内縁の妻がいることを知りながら肉体関係に及んだ場合には、不法行為となり慰謝料の支払義務を負います。

●判断基準は「知らなかった」ことに過失があるかどうか

ーー相談者のように「内縁の妻がいることを知らなかった」場合には、どう判断されるのでしょうか。

判断基準は「知らなかった」ことに過失があるかどうか、です。ここでいう「過失」とは、本来であれば、相手に内縁の妻があることを予測できた、また予測すべき状況であったのにもかかわらず、「知らなかった」ような場合を指します。

相談者が交際相手との交際中や肉体関係を重ねていく中で、見たり聞かされたりした言動や生活状況から、交際相手に既に共同生活実態のある内縁の妻がいることが十分に予測でき、また予測すべき状況であったかどうかがポイントになります。

仮に「内縁関係の存在を知らなかった」ことについて過失がある場合には、不法行為となり、慰謝料の支払義務があります。もちろん、交際相手と肉体関係に及んだ際に、その内縁関係が既に破綻していた場合には、慰謝料の支払い義務は負いません。

●内縁解消を待ってから結婚するのが現実的

ーー内縁の妻がいる以上、相談者が交際相手と結婚することは難しいのでしょうか。

内縁は法律婚ではありませんから、重婚とはなりません。今後、交際相手と正式に結婚をすること自体は法律上可能です。

ただ、内縁の妻がいることを知りながら内縁が解消、または破綻状態に至る前に結婚をした場合には、内縁の妻からの慰謝料請求を受けることになります。

内縁解消を待ってから結婚するのが現実的といえます。

(弁護士ドットコムライフ)

プロフィール

有坂 秀樹
有坂 秀樹(ありさか ひでき)弁護士 林・有坂・伊藤法律事務所
離婚・相続・債務整理など一般市民の法務から、不動産賃貸、契約書や利用規約作成・労務管理等の中小企業法務まで幅広く業務を手がけている。 共著に「実践 法律相談 面接技法のエッセンス」(東京大学出版会)。

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