最新記事

ミャンマー

スー・チー、人材育成のため投資呼びかけ ASEANビジネス投資サミットで

2018年11月13日(火)07時00分
大塚智彦(PanAsiaNews)

ASEANビジネス・投資サミット2018(ABIS2018)でミャンマーへの投資を訴えるスー・チー Athit Perawongmetha / REUTERS

<ロヒンギャ族への虐殺によって国際的に批判を受けたミャンマー。実質的な指導者のスーチーは、海外からの投資を呼びかけるが──>

ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外相は12日、シンガポールで開催された「ASEAN(東南アジア諸国連合)ビジネス・投資サミット2018(ABIS2018)」で基調講演し、ASEAN各国や日本など国際社会に対し「ミャンマーは(ASEAN域内の)最後のフロンティアであり、人材を養成するためにも是非さらなる投資をしてほしい」と呼びかけた。

経済関連のASEAN会議であることから基調講演では一切政治的な問題には触れることなく、現在のミャンマーが置かれている経済的な立場について「決して発展途上国という言葉は使わないが、シンガポールのように目覚ましい発展を遂げている訳ではない」と謙虚に現状を分析した。

そのうえでミャンマーの投資環境について「より簡素な手続きでより迅速に進めることが肝心である。できることとできないことをきちんと見極めてできることからやってほしい」としたうえで「投資を考えている人たちはまずミャンマーに来て自分の目でミャンマーの現状を見てほしい」と企業担当者らによるミャンマー訪問を強く求めた。

さらに海外からの投資に関しては「国内にミャンマー投資委員会(MIC)ができており、この一つの窓口だけで手続きが済むように、よりスムーズな投資に努めている」と政府を挙げて海外からの投資誘致に積極的に取り組んでいる姿勢を改めて強調した。

他国が歩いている間に走るミャンマー

スー・チー顧問は「ミャンマーがビルマとして独立するころ、当時の指導者は他の国が歩いている間に我々は走らなくてはならない、とはっぱをかけていたが、今のミャンマーもまさに同じである」として世界水準に追いつくために懸命にミャンマーが走ろうとしていることを伝えようとした。当時の指導者というのは明言こそしなかったものの実父で「ビルマ独立の父」と国民から慕われるアウンサン将軍のことが念頭にあったのは間違いないとみられている。

ミャンマーの現状についてスー・チー顧問は基本的に農業国であることから「食の安全保障はとても大きな問題として関心を寄せている」と農業分野での投資を歓迎し、さらにサービス関連分野や健康問題、そして教育の分野への投資を特に求めているとの考えを示した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=ナスダックが初の1万7000突破、エ

ワールド

アングル:瀕死のイスラエル・トルコ貿易、ガザ攻撃で

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、利回り上昇や消費者信頼感の

ビジネス

米住宅価格指数、3月は前年比6.7%上昇 前月比で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲームチェンジャーに?

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    メキシコに巨大な「緑の渦」が出現、その正体は?

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    汎用AIが特化型モデルを不要に=サム・アルトマン氏…

  • 6

    プーチンの天然ガス戦略が裏目で売り先が枯渇! 欧…

  • 7

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 8

    なぜ「クアッド」はグダグダになってしまったのか?

  • 9

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 10

    コンテナ船の衝突と橋の崩落から2カ月、米ボルティモ…

  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 7

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 8

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 9

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 10

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中