10月から放送が開始されたTVアニメ『「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」Rhyme Anima』。今回は山田三郎役・天﨑滉平、毒島メイソン理鶯役・神尾晋一郎、有栖川帝統役・野津山幸宏、観音坂独歩役・伊東健人の4人のインタビューが到着した。

  • 天﨑滉平

  • 神尾晋一郎

  • 野津山幸宏

  • 伊東健人

●ラップの録り直しも……! 制作スタッフの力の入りように興奮

――『「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」Rhyme Anima』を見た、率直な感想を教えてください。

神尾 何も考えずにワクワクして楽しめるアニメだと思います。求めていたもの、そのものです!

野津山 今まで、ドラマトラックでは見えなかった部分が表現されているのが注目ポイントだなと思います。ちゃんとラップ中に攻撃を受けているシーンとか、それぞれの持つヒプノシスマイクのスピーカーが現れるところとか。個人的には独歩のマイクが特撮ヒーローみたいで(笑)。

伊東 僕も「こんなにかっこいいの?」 って思いました(笑)。

神尾 バトルシーンは、始まりから最後まで超絶格好良かったですね。今までのドラマトラックでは音だけの表現でしたから、映像と音楽が相まってただただ感動しました。

天﨑 ラップするぞっていうときの、マイクやスピーカーが登場するシーンは本当にめちゃめちゃかっこよくて、興奮しますね。

――ヒーローが変身したり、ロボットが合体したりするお決まりのバンクシーンのような華やかさがありますよね。

天﨑 あと、「推しが動く」というのが……! 見ているみなさんも、ものすごく嬉しいと思いますが、僕自身も「三郎が動いている!」って感動がありました。アニメ第1話本編の最初に喋るのが二郎と三郎だったのも嬉しかったですね。

伊東 僕は改めてアニメを見たときに、制作に関わるみんなの本気をすごく感じました。僕らがアフレコした時より、思った以上に進化していましたから。かっこいいところはきちんとかっこよくて、笑えるところは笑える。そうした演出を含め、力の入りように興奮しましたね。新曲の量もすごいです。

――今回のアニメは、各話で新曲のラップが披露されていますね。

伊東 すごいことですよね。GOサインを出した人に拍手をしまくりたいです。我々もすごい数のレコーディングをしました。

神尾 今ラップをするのが本当に楽しくて。新曲がたくさんできる……最高じゃないですか! 新曲はどれも難しかったですが、その難易度以上に、自分自身が研鑽を積んだおかげで歌えたと思います。

天﨑 本当にいっぱい録って、楽しかったですね。ビートやリリックもそのシーンに沿ったものになっていて、アニメ用に新たに書き下ろされた曲ならではだと思います。アフレコの前後でラップを収録したんですけど、ストーリーや、キャラクターがどんな状態かというのを踏まえながら収録ができました。

伊東 僕、ラップ録り直しましたよ。3話のラップで、アフレコ前にラップを録ったけど「絵にもっと合わせたいからもうひとつのバージョンを録ろう」ってもう一度録ったんです。

――どんな録り直しを?

伊東 リリックでいうと「シンジュク…今夜もまた居残り、兎にも角にも深夜、あと掃除 麻天狼の意地! なめたため口! すみません! ……ミジンコの反撃w」なんですけど。最初は割とふつうに録っていたんですが、絵ができた後に録ったほうは、より「すみません!」って謝っているラップになっています。完成品を見て、こっちのほうが合うなあって合点がいきました。普通は録り直すことも滅多にないですから、そういうところにもスタッフさんたちの本気を感じます。

――確かに、既存の曲がたくさんあるにもかかわらず、新曲が使用されているのはすごいことです。

伊東 既存の曲は、第2話の一郎がイケブクロの街を歩くシーンで『俺が一郎』が使われましたね。

天﨑 あのシーンは大好きです。イケブクロのみんなが、一郎を大好きなんだってことが伝わってきます。

伊東 それぞれの街で彼らがどんな風に受け入れられているかが第1話でわかるよね。

――シブヤ・ディビジョンだけ、ラップをする目的がバトルではなかったですね。

野津山 やっぱりシブヤ・ディビジョンだけは戦わないっていう(笑)。シブヤ・ディビジョンだけ爆発音が鳴らないんです。

――背景に実際の街並みが描かれているところも、キャラクターたちがそれぞれの街で暮らしているリアルを実感させてくれます。

野津山 そうですね。アニメを見た後に聖地巡礼ができちゃうので、この場面はあそこだ! って色々と発見をしてもらえたらと思います。

神尾 繁華街での左馬刻様のケツ持ちな感じや銃兎の署内でのやり取り……たまらなくヨコハマ・ディビジョンです!理鶯のいる場所はヨコハマのどこかの山ですから、是非ハマの山を聖地巡礼して欲しいです!

天﨑 5話で幻太郎が「タクシーでシンジュクに行こうとしたら、着いてみたら青山墓地だった」っていう怪談を話してましたけど、ああいうエピソードは東京在住ならわかるなあと思いました(笑)。

●キャラクター同士の関係性や性格がよりアニメで鮮明に。サブキャラクターにも注目!

――現在放映されている5話までで、印象的なシーンを教えてください。

野津山 場面ではないんですが、アニメオリジナルのキャラクターたちがすごく魅力的ですよね。トム、アイリス、レックスはもちろんだし、5話で出てくる娑婆洲黒也とか。みんなすごく作り込まれていて、アニメの見所のひとつだと思います。

――みんな個性的ですよね。

野津山 オリジナルキャラクターもみんな苗字読みづらいんだ! って思いました(笑)。五斗山とか、運命塚とか……。今後もそうしたキャラが新ディビジョンとして出てくれたら面白いですよね。

――Fling Posseのお当番回である5話では意外な発見がありましたね。乱数が、お化けが苦手なんて。

野津山 ね。すごく怖がっていて、乱数かわいいなと思いました。帝統もなんだかんだ怖がっていたし。

――娑婆洲が経営するライブハウスを立て直すという、人助けがバトルのきっかけになっているのも意外な展開でした。Fling Posseは自由人のイメージがありましたが、実はあたたかい人たちなんだな、と。

野津山 そうなんです。あたたかいんですよ、シブヤ・ディビジョンは。ただ、シブヤ・ディビジョンだけじゃなくてそれぞれのディビジョンが、街をリスペクトして平和を守っていましたよね。それはアニメを通して感じました。

神尾 僕も、運命塚の活躍やレックスの「オクトパシーな歯ごたえ」って名ゼリフ……と言いたいところですが、やはり印象的だったのはヨコハマ・ディビジョンのラップシーンですね。ゴリゴリでめっちゃかっこいいなと思いました。

――4話のヨコハマ・ディビジョンのバトルシーンは、物騒な言葉がガンガン飛び出し、キャノン砲やガイコツが攻撃を仕掛けるド派手なものでしたね。

神尾 これがハマだと言わんばかりに、骸骨もドスもパトランプもミサイルもふんだんにあって、他のディビジョンとの違いを如実に見せてくれたのではないかと思います!そうかと思えば、理鶯のベースキャンプではほんわかしてて……ハマには中毒性があるなぁと改めて感じました!(笑)

――山田兄弟のシーンでは、2話のラストで夕飯について相談するシーンが微笑ましかったです。

天﨑 実は台本上だと少し違っていて、現場で石谷くんと昴さんとやってみてあのやりとりになったんです。ペスカトーレじゃなくて、パエリアという手もありました(笑)。一兄の好きなものを、三郎が先回りして言うって流れも、現場で変えた部分ですね。あと僕が印象的だったのは、2話の、倒れた一郎が監視カメラに向かって「見てるんだろ、三郎」って言う場面ですね。一郎が、弟たちのことを信じてくれているんだとわかる、嬉しいシーンでした。

――二郎と三郎がサッカーの試合について会話している場面も、二人の対照的な性格が色濃く出ていましたね。

天﨑 なんでもないやりとりができるって本当にいいなって思いました。このシーンって、なくてもストーリーは成立するじゃないですか。僕はアニメが好きなのですが、そうしたシーンまでちゃんと描いてくださるのはアニメ好きとしてもすごく嬉しいです。

――伊東さんの印象的な場面は?

伊東 独歩でいうなら、3話の、独歩が一人でバタバタやるほぼひとり芝居のようなシーンですね。部屋で変死体を見つけて、トイレに逃げ込み、ミジンコになり……。ミジンコという言葉が3話においてカギになるまでの道筋が非常に面白いですよね。最終的にいい話風になっていて……「ミジンコだって生きているんです」と独歩がいうと美々海が「あなたも苦労しているのね」って……。いや、そうか? と(笑)。ギャグと紙一重ですね。

――確かに、独歩がコメディ要素を担うのは意外でした。

伊東 僕もこういう独歩を演じるとは思っていなかったです。のたうちまわって、不条理に突っ込み、ある意味いきいきとした独歩を演じられて楽しかったですね。意外とシンジュクってツッコミがいなかったんだなって思いました。独歩以外は誰も突っ込まないんですよ。

――とぼけた一二三と、独歩のやりとりも面白かったですね。「指名手配される!」と苦悩する独歩に対し「指名されるのも意外と難しいんだぞ」って。

伊東 そういうことじゃないだろって(笑)。一二三と独歩の関係性も、アニメでより色合いが鮮明になった気がします。独歩はいい意味でかわいそうで、かつ、かわいいほうに寄って。一二三は素直で真面目だけど、ボケてる。正面切って美々海を客として受け入れるところは素直だけど、結果的にボケ倒しているなって。一二三と独歩はそれぞれに欠けたところを頼りにし合っているんだけど、頼りにしすぎているきらいがあるかもしれない。独歩はキレるとやばいキャラという位置付けをされているけれど、よく考えると一二三だってやばいんですよ。スーツを着た時、脱いだ時、女性といる時とナチュラルに三重人格で、彼なりに背負っている何かがある。そのあたりのバランスを、意外と独歩がとっていて、二人で補い合ってもパズルのピースが足りないぞってところは寂雷先生が補ってくれる。絶妙なバランスで成り立っている3人ですね。

●アフレコでも「他のディビジョンには負けないぞ」

――アフレコ現場で印象に残っていることを教えてください。 神尾 僕は自然とヨコハマ・ディビジョンのわちゃわちゃをアドリブで入れてしまう3人の図ですね!理鶯が嬉しそうに話す→難色の銃兎→それじゃあ理鶯がかわいそうだろと左馬刻、という黄金パターンの後をずっと3人でやってる気がします。

野津山 僕は誰も何も言ってないのに、自然とディビジョンごとに座ることが多くてちょっと嬉しかったです。キャストも、みんなチームとしての意識があるんだなって。

天﨑 最初の収録はキャスト全員が集まったんです。その収録は、僕としては不思議な緊張感がありましたね。今まで、12人が集まってのアフレコはなかったので、アフレコしている様子を初めて見る方もいて、「あの人は、あのキャラクターをこんな風にアフレコしてるんだ!」って、ファンみたいな気持ちになりました(笑)。

――新たな気付きがあるアフレコだったんですね。

天﨑 各ディビジョンみんな思っていたかもしれないですけど、どこかで「他のディビジョンには負けないぞ」みたいな気持ちがありました。今まで一緒にドラマトラックなどのアフレコでつくってきた絆は負けないぞ! みたいな、いい緊張感でしたね。途中からは、スタジオに入る人数が制限されてみんなで収録することが難しくなってしまったんです。それでも、最初に全員で空気感を共有できたので、離ればなれでの収録になっても息の合ったものにできたんじゃないかと思います。

伊東 4つのディビジョンに、中王区言の葉党のみなさんがいて、キャスト全員が集まると、壮観だなって。

天﨑 みんな揃ったので、「今日、ライブもできるじゃん!」って話していました。

伊東 それに1話にはまだ出てきてなかった、トム役の深川和征さん、アイリス役のLynnさん、レックス役の濱野大輝くんも見に来てくれて。今回のアニメのアフレコは、オリジナルキャラクターがたくさんいて、まさかこの人が…!というキャスティングもあり、新しい人にスタジオで出会う喜びもありましたね。

――今回のアニメから『ヒプノシスマイク』の世界に足を踏み入れた方も多いと思います。最後に、アニメで初めて『ヒプノシスマイク』に触れた方に向けて、おすすめポイントを教えてください。

神尾 素晴らしいトラック、リリックに声優がラップすることで生まれる化学反応をお楽しみ頂ければと思います。そしてアニメから入った方は、推しを作る前にまず全てのディビジョン曲を聴いていただきたいですね。

野津山 アニメのおすすめポイントは毎話登場する新曲ですね。さすがラッププロジェクトとということで、どんどん出る新曲を目で見て、耳で聞いて楽しんでもらえたら嬉しいです。

天﨑 今までたくさんのCDが出て、ゲームもコミカライズも舞台もあって……となると、アニメからじゃわかりにくいのかな? と思う方もいるかもしれないですが、アニメだけを見ても、きっと好きになってもらえると思います。キャラクターやストーリーの時系列がわかりやすくなっているので。ヒプノシスマイクの面白いところは、例えばアニメでちらっと出た伏線をドラマトラックで回収できるとか、どこから入ってもどんどん更に奥へと行きたくなるところだと思っています。だから、アニメからでも気軽な気持ちで楽しんでいただきたいですね。

伊東 アニメから見た方からすれば、シンジュク・ディビジョンはキャッチーに描かれていますが、僕はシンジュクが一番変化球なチームだと思っているんです。ドラマトラックや曲まで辿ろうとすると、物騒なリリックも出てきますし。シンジュクだけじゃなく、色んな面が各ディビジョンにはあるので、アニメを入り口にして、漫画、ゲーム、CD、舞台などで色んなかっこよさを味わっていただきたいなと思います。

●『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima

毎週金曜日24:00より、TOKYO MX、BS11、群馬テレビ、とちぎテレビ、MBS、テレビ愛知、アニマックスほかにて放送中
ABEMAにて地上波同時配信ほか各種プラットフォームにて配信中
Blu-ray&DVD12/23より全5巻にて発売開始

(C)『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima製作委員会