保育園と一言で言っても、その形態はさまざま。初めて保活を経験する方にとっては「いろいろあるけど、何が違うの?」と入り口から戸惑ってしまうケースも多いのではないかと思います。そこで今回は、認可施設・認可外施設の違いや、私立・公立といった保育園の形態の違いについて解説します。

  • 保育園の形態の違いを理解しよう(画像はイメージ)

    保育園の形態の違いを理解しよう(画像はイメージ)

保育園といってもさまざまな種類がある

保育園は大きく2つに分けられます。一つは、国が定める一定基準を満たし、都道府県知事に認可された「認可保育施設」。そして、それ以外の「認可外保育施設」です。

認可保育施設には、認可保育所、認定こども園、地域型保育事業(小規模保育、保育ママ)、事業所内保育事業などがあります。

一方、(2)の認可外施設としては、自治体独自の基準で運営している東京都認証保育所や市・区の保育室のほか、企業主導型保育事業、ベビーホテルなどが挙げられます。規模も中身もさまざまです。

  • 認可保育施設と認可外保育施設の違い

    認可保育施設と認可外保育施設の違い

公立と私立は何が違う?

そして、認可の保育施設の中には、市区町村が運営する公立の園と、社会福祉法人や株式会社などが運営する私立の園があります。

保育園の個性については、公立・私立の違いよりも、"各園ごとに異なる"というのが正確です。よって、個々のケースに当てはまらないこともありますが、傾向として「施設の広さ」「職員の年齢構成」「保護者の細やかな事情やニーズへの対応」などが、公立・私立の違いとしてよく指摘される点です。

まず公立の保育園ですが、比較的古くから設置されている場合が多く、敷地が広めで園庭のある施設が多いようです。

また、先生の年齢層も若い先生が多くなりがちな私立の園と比べると、幅広い傾向にあります。常勤の先生は、基本的に地方公務員と同じ立場ですので、役所への異動も含めて長く働き続ける方が多いことが背景にあると考えられます。

一方、保護者の事情やニーズへの対応という意味では、私立の方がきめ細やかな印象です。

特に株式会社など、最近参入した事業主体が運営する保育園の場合、さまざまな教育・芸術のプログラムを組み入れたり、延長保育を長くしたりと、運営面で努力されているケースが多々見られます。

過去の慣習にとらわれず、保護者との連絡や運営などにICTを導入するなど、保護者の負担を減らす取り組みも多いように思います。

  • 公立と私立、それぞれの違いや特徴

    公立と私立、それぞれの違いや特徴

このため、3歳以上のお子さんがいて「広い場所でたくさん遊ばせたい!」であるとか、「やっぱりベテランや中堅の先生がちゃんといてくださる園が安心!」とお考えの場合には、公立の保育園の方がフィットするかもしれません。

一方、「保護者の事情に柔軟に対応してほしい」「夕食や延長保育など夜遅くまでの保育にも対応してほしい」「保育園に通いながらちょっと習い事のようなことも一緒にさせたい」などの希望がある場合には、私立保育園の方が満足度が高い可能性があります。

いずれにしても、保育園は運営形態や運営主体の種類のみで「こういうタイプ」とは切り分けられません。あくまでも一園一園の個性がありますので、候補の保育園にはなるべく見学に行って、気になる点・重視したい点はしっかり確認しましょう。

認可保育所と認証保育所の違いは?

東京都内で保活をしていると分かりにくいと感じるのが「認可保育所」と「認証保育所」の違いかもしれません。

認可外施設の一つである「東京都認証保育所」は、認可保育所だけでは応えきれていない大都市のニーズ(産休明けから預けたい、退社が遅い人にも対応してほしい、送迎に便利な場所で預かってほしい等)に対応しようと、都独自の基準で設置・運営されています。

このため、小規模な物件で運営されているところが多い一方で、サービス面では、認可保育園より長い13時間保育と、0歳児の定員確保が義務化されています。

保育料に関しては、月220時間以下の利用をした場合、3歳未満児では月8万円、3歳以上児では月7万7,0000円を超えない料金とされ、その範囲内で、サービスの内容に応じて、料金の仕組みも金額も施設ごとに自由に設定されています。

これまで、認証保育所の保育料は高いというイメージがありましたが、最近は、多くの自治体で認証保育所の保育料を補助する制度ができ、利用しやすくなっています。お住いの自治体の制度を確認してみましょう。

また入園に際しては、認可保育所のように、自治体の定める「指数」「優先順位」を選考基準としていません。

保育を必要とするすべての人に門戸を開いているほか、園ごとの創意工夫でサービス充実に努力している園も多く、認可保育所に落選してしまった場合の候補としても、大変人気があります。

指数で入園の有利・不利が変わらないこと、また都民であれば利用できることから、お仕事がフルタイムではない方や、隣接する区の認証保育所が近くにあるという方にとって有望な候補となるでしょう。

保育園の形態を理解して、利用しやすい施設を選ぼう

このように、保育園にはさまざまな形態・種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。保育園の特徴を十分に理解し、自らの働き方や子育てに合った施設を選べると良いですね。

※本稿の内容は、調査時点の一般的な情報に基づくものであり、実際の申込時および各自治体個別の要件等を保証するものではありません。詳細かつ最新の情報は自治体にご確認下さい。