国土交通省は27日、JR北海道の経営改善に向けた取組みおよび関係者による支援・協力について公表するとともに、JR北海道に対し、経営改善に向けた取組みを着実に進めるよう監督命令を発出した。

  • JR北海道の経営改善に向けた取組みとして、新千歳空港アクセスの競争力強化(快速「エアポート」の増強)も盛り込まれた

JR北海道は地域の人口減少や他の交通手段の発達にともない厳しい経営環境に置かれ、国土交通省においては、JR北海道の事業範囲の見直しや経営自立に向けた方策について関係者とともに検討を行ってきた。国土交通省はJR北海道が国鉄改革の趣旨に則り、徹底した経営努力によって収支を改善して経営自立を図る必要があるとして、JR会社法にもとづき、JR北海道に対して経営改善に向けた取組みを着実に進めることを命じた。

監督命令では、JR北海道の経営改善に向けた取組みとして、北海道新幹線札幌延伸の効果が発現する2031年度に、JR北海道が経営自立することをめざすために収益の増加とコストの削減に取り組み、徹底した経営努力を行うものとしている。

具体的には「札幌市圏内における非鉄道部門も含めた収益の最大化」「新千歳空港アクセスの競争力の一層の強化」「インバウンド観光客を取り込む観光列車の充実」「北海道新幹線の札幌延伸に向けた対応」「JR貨物との連携による貨物列車走行線区における旅客列車の利便性の一層の向上及びコスト削減」「経営安定基金の運用方針の不断の見直しを通じた運用益確保」「JR北海道グループ全体を挙げてのコスト削減や意識改革」「地域の関係者との十分な協議を前提に、事業範囲の見直しや業務運営の一層の効率化」を挙げている。

国としては、国鉄清算事業団債務等処理法の規定にもとづき、鉄道・運輸機構を通じて支援を行うとのこと。具体的には「利用が少なく鉄道を持続的に維持する仕組みの構築が必要な線区における、鉄道施設及び車両の設備投資及び修繕に対する支援」「貨物列車走行線区における貨物列車の運行に必要な設備投資及び修繕等に対する支援」「青函トンネルの維持管理に対する支援」「経営基盤の強化に資する前向きな設備投資に対する支援」を挙げている。2019・2020年度の2年間における国の支援およびその総額は「400億円台」としており、額は今後確定するとのこと。

  • JR北海道の経営改善について(出典 : 国土交通省記者発表資料)

国土交通省の監督命令を受け、JR北海道代表取締役社長の島田修氏は「当社の経営再生に向けて『大まかな方向性』を示していただいたことを重く受け止めます」「今後は『経営再生の見通し』(案)の実現のための具体策づくりに全力をあげるとともに、『集中改革期間』における検証の仕組み・体制作りなどに関係者のご協力をいただいて取り組んでまいります」とのコメントを発表している。