南海電気鉄道はこのほど、高野山エリアへの新たな観光客等の増加と回遊性向上の取組みとして、NOTEとの協働により、高野線九度山駅・高野下駅の駅舎をリノベーションすると発表した。九度山駅にかまどで炊いたおにぎりなどを提供する「おにぎりスタンド」、高野下駅に全国的にも珍しい関西初という「駅舎ホテル」を新たな利用客の拠点として整備する。

  • 九度山駅「おにぎりスタンド」の整備イメージ(改札内)

同社は中期経営計画「共創136計画」において、「インバウンド旅客をはじめとする交流人口の拡大」を掲げ、「インバウンド需要のさらなる獲得」「訪れるべき場所の創出」に向けた各種取組みを推進している。今回、高野山麓エリアにある高野山への参詣道やトレッキングルートを歩いてもらうといった高野山観光の新たな楽しみ方・過ごし方を提案することで、高野山と同エリアへの新たな観光客の増加と回遊性向上に取り組むという。その拠点として、九度山駅と高野下駅の駅舎がリノベーションされる。

九度山駅は1924(大正13)年12月に開業。駅から徒歩圏内に真田昌幸・幸村(信繁)父子が隠れ住んでいた屋敷跡に建てられた「真田庵」や、弘法大師・空海の高野山開創に際して山麓の寺務所として建立された「慈尊院」などがある。「こうや花鉄道プロジェクト」の一環としてホームに「九度山真田花壇」もあり、「真田幸村と十勇士」のイラストが描かれている。

今回は駅とその周辺を一体的にリノベーションし、「おにぎりスタンド」を整備。ホームから見える店内にかまどを3台設置し、かまどで炊いたおにぎりなどを提供する。駅舎横の倉庫もリノベーションし、かつて南海電鉄で活躍した電車の部品や、難波駅に設置されていた路線図を内装として活用。ホームに隣接して、列車と九度山の景色を眺望できるデッキも整備される。

  • 高野下駅「駅舎ホテル」の整備イメージ(客室・2ベッドルーム)

高野下駅は1925(大正14)年7月に開業。「こうや花鉄道プロジェクト」の一環として、駅構内の2カ所に「花屏風」(花壇)、ホームに「南海思い出ミュージアム」を設置している。今回、大正建築の近代化産業遺産である駅舎をリノベーションし、全国的にも珍しく、関西初という「駅舎ホテル」を整備。歴史ある参詣道で高野山頂をめざすトレッキング拠点とする。のどかな自然に囲まれた客室から、不動谷川やホーム、列車を眺めることができ、かつて南海電鉄で活躍した電車の部品を内装として活用する。

九度山駅・高野下駅ともにリノベーションの開業時期は11月初頭を予定している。その他にも、地元住民らと協働し、両駅周辺での食事・宿泊・情報発信といった拠点機能の充実に取り組み、参詣道歩きの出発点としての賑わいの復活をめざす。