(左から)安彦良和監督、廣原ふう、潘めぐみ、武内駿輔、古谷徹、古川登志夫、内田雄馬、森口博子
機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』の公開記念舞台挨拶が5日、都内で開催され、古谷徹武内駿輔古川登志夫潘めぐみ内田雄馬廣原ふう森口博子安彦良和監督が登壇。安彦監督は、大ヒットへの感謝とともに大きな目標を掲げた。

今作は、『機動戦士ガンダム』の第15話「ククルス・ドアンの島」を映画化したもの。30分のアニメの1話を映画化することに加え、3月に行なわれた「ザクの日スペシャル会見」では、安彦監督自身が"作画崩壊"に言及するなど、公開前から話題となっていた。


主人公のアムロ・レイを演じる古谷は「まだ僕には帰れるところがあるんだ! こんなにうれしいことはない」という『機動戦士ガンダム』最終話の名言とともに、「15歳のアムロが帰ってきました! 43年経っているけれど、さらに『アムロ・レイ好きだな』と思えました。今回は素のアムロも丁寧に描いているので、より好きになっちゃうんですよね本当に感無量です」と喜びを表現。

そして感想が書き込まれたボードを見ると、「皆さんが映画をちゃんと受け止めてくれたと思うと、最高ですね。この映画はまさしく心が温かくなる作品。エンドロールも工夫があって素敵。そういったメッセージが伝わったんだと思います」と感慨深げに語った。


一方、ガンキャノンのパイロットでアムロと戦場で肩を並べるカイ・シデン役の古川は、「(古谷)徹ちゃんと僕が、ふたりでステージに立っていること自体がもう感動。この作品に参加できたことがものすごいことだなって思う」と今回の共演に感激。

さらに今作の感想を、「犠牲になるのは名もなき小さな者。ガンダムは常にそこに切り込んでいる。今回もそこをぎゅっと絞り込んでいるし、名作になったと思います」と明かした。

公開前からの話題作とあって、公開2日で来場者15万人突破、興行収入は約3億円となった『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』。


安彦監督は「標的は『トップガン』ですから(笑)。トム・クルーズを撃ち落として、やっと勝利と言えると思います」と笑いを交えて宣言しながらも、「アニメーター時代に数字で非常に辛い経験もありました。本当に良い仕事をいただきました」と感謝を込めた。

また、安彦監督は「なまじ(画が)描けるもんだから」と「爆発の作画を手伝った」そう。普段とは違い珍しく「今日はスクリーンで作品を見させてもらいました」という安彦監督は、「やっぱり作り手なので大きなスクリーンで見ると、ここはNGだったな、もっとできたなと思うところが、だいたい自分が手伝ったところ」と、自身にダメ出し。

そして「そのシーンがだいたいヤバいんですよ。エフェクト監督(桝田浩史)に悪いことしたなと思います。声優さん、スタッフのプロ根性を見せてもらった作品です」と、一緒に作品を作った関係者に感謝を語るとともに、「自分では目につむったカットばかり目について、それでも皆さん、『良い』と言ってくれて、温かい方ばかりです」と観客を見つめた。


イベントの最後には「皆さんの笑顔を見て、声を聞くととても素晴らしい作品だったなと感じています。さらにたくさんの方々に観てもらいたいと、心から思っています」と古谷が挨拶。安彦監督も、今の世の中の状況での公開タイミングについて「何かの運命」と語るなど、今作への思いを吐露した。