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私が国立環境研究所に来るまで7年間、農薬製造の民間会社に勤務していたことは以前にもこのコラムで紹介した。在社時代に特に力を入れていたのが、農作物の葉や実を食害する「ハダニ」という農業害虫を防除するための殺ダニ剤の開発だった。
会社では、これまでにない新しい作用機構をもつ殺ダニ剤が開発されていた。そして私は研究チームの中で、ハダニに対する効力試験を担当した。この製品は極めて殺ダニ活性が高く、それまでに販売されていた他社商品と比較しても、1桁低い濃度で高い防除効果が得られる優れた薬剤だった。
ところが、この薬効の高さが裏目に出て、魚類や哺乳類に対する毒性も高く、環境中の生物に対する悪影響が懸念された。そこで、なんとかこの毒性を低減できないかと、処方を変更するなど工夫を繰り返した。
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