東芝インフラシステムズは11日、東京メトロが2019年2月から運行開始する丸ノ内線新型車両2000系向けに、新たに開発したAll-SiC(炭化ケイ素)素子適用のVVVFインバータ装置・全閉式永久磁石同期電動機(全閉PMSM)・リチウムイオン二次電池「SCiB」を適用した非常走行用電源装置を組み合わせた駆動システムなどの電気品を納入したと発表した。

  • 東京メトロ丸ノ内線の新型車両2000系

同社が納入した駆動システムにより、丸ノ内線の現行車両02系と比較して約20%の消費電力量削減を見込む。なお、All-SiC素子適用のインバータ・全閉PMSM・「SCiB」を適用した非常走行用電源装置を組み合わせた駆動システムは世界初の導入事例だという。

全閉PMSMを駆動するVVVFインバータ装置には、東芝デバイス&ストレージが開発・製造したAll-SiC素子を採用。All-SiC素子は「高温での動作が可能」「スイッチングする際の損失が少なく発熱が小さい」「モータ電流をより多く流せる」などの特徴があり、これらの特徴を生かしてインバータユニットの小型化を実現している。

同時に制御ユニット、接触器の小型化を行い、VVVFインバータ装置のサイズを従来と比較して38%削減した結果、車両床下の厳しい寸法制約の中で「SCiB」を適用した非常走行用電源装置を搭載するスペースを確保した。

  • All-SiC素子適用VVVFインバータ装置

  • 全閉式永久磁石同期電動機(全閉PMSM)

  • 非常走行用電源装置

全閉PMSMは、一般的な車両に用いられる開放型誘導電動機の定格効率が約92%に対し、定格効率97%を実現する高効率な主電動機。全閉構造により内部清掃が不要となるため、メンテナンス性も向上し、さらに今回新開発の全閉PMSMにおいてはモータ電流を上げられるメリットを生かして回生性能を向上させるとともにさらなる効率向上を実現した。非常走行用電源装置は非常走行機能に加え、今後は回生吸収機能、力行アシスト機能を評価する予定で、さらなる省エネの実現をめざすとのこと。