JR東日本は8日、同社が主催するモビリティ変革コンソーシアムにおいて、「JR東日本管内のBRTにおけるバス自動運転の技術実証」を実施すると発表した。

  • 自動運転実験用車両

今回の技術実証では、JR東日本の他に先進モビリティ、愛知製鋼、SBドライブ、京セラ、京セラコミュニケーションシステム、ジェイテクト、ソフトバンク、日本信号、日本電気が参加。JR東日本管内の気仙沼線BRTにおいて、実際のBRT営業車両と同型の大型自動運転バス(日野ブルーリボンシティ)をBRT専用道で使用し、車線維持制御実験、速度制御実験、トンネル内走行実験、障害物検知実験、交互通行実験、車内モニタリング実験など、より実運用に近い形での技術実証を行う。

車線維持制御実験と速度制御実験では、BRT専用道上に設置した機器(磁気マーカ)の情報を高感度磁気センサ(MIセンサ)で読み取り、自車位置を高精度に特定することで、GNSS電波の届かないトンネルを含む専用道上を円滑に走行する実験を行う。車両のアクセルとブレーキを自動制御し、柳津~陸前横山間のBRT専用道上を最高60km/hで走行をめざすとともに、決められた位置でスムーズに停止する実験も実施する。

遠隔監視システムによる車内監視と乗客動向検知の実験では、車内にカメラを設置して走行中の乗客の席移動などを人工知能(AI)で検知し、遠隔で走行を監視するオペレーターに自動で通知する実証実験をはじめ、乗客の転倒などの事故を防止し、自動運転バスに安全に乗車してもらうための車内モニタリング機能の有用性についても検証する。

  • 遠隔監視システムのイメージ

  • 交互通行実験のイメージ

無線を用いた信号制御による各種制御実証では、車両の位置情報を無線通信で取得して自動運転バスと対向車両の一方に優先権を信号情報として通知し、車両1台分の幅のBRT専用道を交互に通行することを実証する。自動運転バスの無線通信は「700MHz帯ITS無線」「LTE」「Wi-Fi」を併用して信頼性を高め、「Wi-Fi」ではマルチホップ伝送を活用して、トンネル内を含む電波の届きにくい道路沿いにおける自動運転制御の実証を行う。

その他、QZSS(みちびき)などを活用した自動運転バスの測位実験、専用道に設置した機器による障害物検知実験なども実施。実験場所は気仙沼線BRT柳津~陸前横山間4.8kmとされ、実験予定期間は2019年11月25日から2020年2月14日まで。今回は技術実証を目的としており、一般を対象とした試乗会は開催されない。