mixiユーザー(id:3696997)

2007年04月05日10:33

5 view

【音楽】Sibelius:Tulen Synty@Vanska/Lahti SO

今年はシベリウス没後50周年ということで買ってきた一枚。シベリウスのTulen Synty、英語では The Origin of Fire、和訳すれば「火の起源」というタイトルを持つ、シベリウス初期の頃の歌曲集だ。BISが昨年末に出したシベリウス全集ボックスの中から歌曲のみを集めたものと思われる。

http://www.amazon.co.jp/dp/B000MX7SXW/

Tulen synty (The Origin of Fire), Op.32 (Revised version 1910)

Sandels, Op.28 (Revised version 1915)

Har du mod? (Have You Courage?), Op.31 No.2 (Second version, rev. 1911)

Vapautettu kuningatar (The Captive Queen), Op.48 (Version for male choir and orchestra, arr. 1910)

Jääkärien marssi (March of the Finnish Jäger Battalion), Op.91a (Version for male choir and orchestra, orch. 1918)

Koskenlaskijan morsiamet (The Rapids-Rider’s Brides), Op.33 (Version for male choir and orchestra, arr. 1943)

Rakastava (The Lover), JS160b (Version for male choir and string orchestra, 1894)

Har du mod? (Have You Courage?), Op.31 No.2 (Fourth version, rev. 1914)

Sandels, Op.28 (Original version 1898)

Tulen synty (The Origin of Fire), Op.32 (Original version 1902)

Tom Nyman, tenor
Tommi Hakala, baritone
YL Male Voice Choir, choir
Osmo Vänskä / Lahti Symphony Orchestra

アルバムタイトルとなっている火の起源は改訂版とオリジナル版の両方が収録されている。これらの歌曲は主としてカレワラ(フィンランドの民族叙事詩で19世紀に医師エリアス・リョンロートによって民間説話からまとめられたもの)を原点としてシベリウスが書いた渾身の作品群で、歌唱は男声独唱、そして男声合唱だ。クレルヴォ交響曲もこの叙事詩を出典としていて、雰囲気は似ているが、より求道的な内容。カレワラについてはWikiなどに出ているので興味ある場合には参照のこと。

誰の作品にも似ていない独創的な作品集で、光と陰、或いは表と闇を対比させたドラマティックな構成で、歌詞がフィンランド語であって理解出来ないことを加味しても感動的な一枚だ。

火の起源について、以下ライナーから少し紐解く。この作品は二つのパートに別れる。前半は男声独唱とオーケストラによるカンタータ風の緩徐な部分で、月も太陽も消え去った悲嘆を切実に歌う。後半は分厚い男声合唱が加わったオラトリオ風な部分で、絶対神ウコンが火を熾し、空を光で満たす喜びを歌い上げる。

(録音評)
BISレーベルの通常CD、抜粋版のため録音年月は2000〜2006年までばらけている。5トラック目の収録場所はヘルシンキ聖十字架教会、それ以外はラハティのシベリウス・ホールとクレジットされている。

音質は素晴らしい。何がどうと細かなことを云々する必要はない程完璧な録音ばかりである。男声独唱がすぐそこに立って歌っていて声帯や咽喉の震えまでが見える。そして下から支えるラハティSOが少し奥へ下がったステージ上に整然と並び至高の演奏を繰り広げる。BISがシベリウス録音に賭ける情熱がひしひしと伝わる超優秀録音盤だ。

シベリウス・ホールのホールトーンは柔らかく、超低域まで豊かに響く。それでいて反応はハイスピードだが残響時間は割と長い方だ。このホールは2000年に正式オープンした集成材をふんだんに使った木造ホールらしく、とても落ち着く音色だ。欧州著名ホールのような煌びやかな派手さ、米国主要ホールのような硬質で現代調の音ではないが、非常に優秀なホールだ。
0 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2007年04月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930