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2022年08月08日20:07

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『夏休みの空欄探し』似鳥鶏

小さい頃から知る事が好きだったが、勉強はほどほどだった高校二年生男子、成田頼伸が、夏休みにモスバーガーでオニポテをつまみながら文庫を読んでいると、隣席の女性二人組が暗号らしきものを解いているところに気づく。
ちらっと見た数字の羅列。
二人しかいないクイズ・パズル研究同好会会長だからなのか、割とすぐに答えが分かったものの変な人に思われそうで伝えられず、自分のレシートに解答を書いて彼女たちのテーブルに置いて店を出てきてしまった。

思いがけず彼女たちが後を追ってきて、ある会社の創業者の遺産の一部の場所を探す暗号解読に参加する事となり、クラスの人気者まで加わっての夏休みの冒険になる。

頼伸としては、クラスでは地味な部類で「何か役に立つの?」という知識を得るのを楽しむタイプで、上記の人気者、同姓の清春にコンプレックスを持っていたのが、この謎解きによって清春側にも似たものがあるという気付きも面白く、逆に、頼伸に共感するところがある私自身も、役立つからとさりげなく学べる彼を尊敬できるなと感じました。

あと、こういう物語にありがちな結末にならず、ああいう状況で幕を引いた似鳥さんの書き方にも、とても共感を覚えます。あれがベストですよね?
最後に、きっと夏休みの中高生の読書感想文に使いたがる生徒も多いと思いますが、安易に使って欲しくないなあとも考える複雑な物語です。

追記:あとがきは相変わらずなので、安心しています。
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