大阪中之島美術館の展覧会です。
地元感満載。
「土佐堀川」「中の島風景」「難波橋風景」「雪の大阪」「雨の大阪」といった絵が並びます。
写真撮影可、だった小出楢重の「街景」は、堂島ビルの高層階から堂島川を西へ見ています。
佐伯祐三も安治川の汽船や肥後橋の風景を描いています。他の絵と違ってシャープなタッチで、独特の個性を感じます。
小磯良平は阪急梅田駅をバックにやわらかなタッチでモダンな女性を描いています。おそらく現在の場所の高架になる前、地上階で今のムービングウォークあたりにあったという古い梅田駅でしょう。後ろに電車も見えます。
川瀬巴水の版画もあります。「大阪道頓堀の朝」というタイトルです。
江戸時代の大阪は水運が栄えて縦横に堀川がめぐらされていました。戦後になって次々と埋め立てられていきましたが、それ以前の大阪の風景がこういった絵からうかがえます。
広告ポスターもあります。大阪商船株式会社のポスターは、航行する船とその案内と、そして和装の女性の姿が描かれています。
瀬戸内海を運行する船の航路と見どころ案内のパンフレットもあります。
松竹座の映画のポスターもあり、文字の書体がいかにも当時の時代を感じさせます。
そして、大正〜昭和初期にモダンな空間を現出して見せた百貨店。
大丸、高島屋、三越など当時百貨店が出していたパンフレットが展示されていて、モダンなデザインにうっとりします。
そごうのエレベーターの螺鈿装飾の扉の実物も展示されています。
前衛的な写真、前衛的な絵画もあります。
しかし、それも1940年代ごろには戦時色になっていきます。
ポスターは戦意高揚、前衛絵画は時局に合わないとされて自らの表現に悩む画家。
「銃後の大阪」なんて機関誌もあったんですね。
月並みな感想ですが、やっぱり戦争は生活も、芸術も壊してしまいます。
結局私は戦争の影が差す前のモダンな時代が好きです。
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