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2022年04月30日03:08

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松本杏奈さん著「田舎からスタンフォード大学に合格した私が身につけた夢をつかむ力」感想

 松本杏奈さん著「田舎からスタンフォード大学に合格した私が身につけ
た夢をつかむ力」という本を読みました。松本さんは納得がいかない事は
徹底的に食い下がる性格だそうで、「こういうものだから」(本書より)
と既存の価値観に疑問を持たない事無かれ主義の周囲から「問題児」扱い
されてきたそうです。
 そんな彼女は、自分が自由に生きる事が出来、夢
を叶えるために相応しい環境はどこかを考えた結果、出した答えがアメリ
カの大学。偏差値・ペーパーテスト重視の日本の大学入試と違い、アメリ
カではテスト・書類・エッセイ・過去の活動・面接等を総合的に判断して
合否を決めるとの事。
 夢への第一歩を踏み出すべくアメリカの大学への入学を
決意した松本さん。しかし、必ずしも教育環境が十分ではない徳島で育ち
海外経験なし、学校の成績も今一つ、決して裕福とはいえない家庭環境、
周囲の無理解等の様々な困難が彼女の前に立ち塞がります。
 そんな絶望的な状況を彼女は、持ち前の情熱と覚悟と戦略、彼女の熱意
に心打たれた周囲の人達の助けによって、次々と困難を打破。ついにスタ
ンフォード大学という世界的に有名な大学へ入学する事ができたのです。
特に、事なかれ主義で彼女を理解しなかった大人達が、松本さんの情熱と
確固たる決意に心動かされ、彼女を応援する側になる過程が読んでて凄
く面白く、スカッとします。彼女の情熱と決意は、読んでいる人間にも、
ヒシヒシと伝わってきます。とくかく熱い。読んでいるだけで、彼女のエ
ネルギーが伝わってきて、元気と勇気が湧いてくるように感じました。
 その熱さの源は何なのか?それは私のように様々な障害に夢を潰されそ
うになっている若者に前例を示して応援してあげたい、という切実な思い
なのでした。その切実な思いがあるからこそ、ただの成功譚や受験マニュ
アル本を超越し、若者だけでなく年齢関係なく読者の胸を揺さぶるのだと
思います。
 また、この本は、松本さんの、大学で学んだ事を役立ててどういう社会
を築いていきたいのか、という決意書でもあります。アメリカの大学に進
学するという若者の夢を邪魔する人間がいるのはそう思わせる社会がある
からで、そんな社会を彼女の力で変えていくという壮大な決心。
 この本を読んでいると、彼女ならやってくれそうという予感を感じずに
はいられません。若い人向けに書かれた本ですが、松本さんの既成概念に
囚われない柔軟な思考法やものの見方は、大人にとってもハッとさせられ
勉強になると思います。
 夢や目標に向かって進みたい若者にとっては凄く背中を押してくれる本
ですし、大人にとっても忘れかけていた心の奥底に沈んだ熱いものを蘇ら
せてくれたり、既成概念に凝り固まった自分を気付かせてくれる本だと
思います。たくさんの人にこの本を読んでもらいたいです。
 
 年代は違えと、私も徳島県出身で、松本さんが感じていたような閉塞感
を若い時に感じていたし、それが嫌な事が県外に出た理由の一つだし、今
でも帰省した時に感じる事もありますが、今は、あまり悲観して
いません。
 私が若い時には想像もつかなかった人達、例えばチャットモンチーであ
ったり米津玄師さんであったり、凄くエネルギーがあり世に新しい風を吹
き込んでくれる人が出てきて、今度は松本さん。おもっしょい(阿波弁で
「面白い」の意味)人たちが次々出てきている。
 
 私はこの本を読んでいて、過去に読んだとある本を連想していました。
その本とは、京都大学で哲学などを教えていた故・瀧本哲史さんが書いた
若い人たちに「学ぶ」という事の真の意義を説いた「ミライの授業」とい
う本。
 この本の中で瀧本さんが語っていた言葉の数々が思い出されました。
「(既成概念への)違和感こそが未来に繋がる冒険の扉」「きみたちは未
来の住人。(災害や疫病、戦争などで混乱を極める現在だが)未来にはひ
とつだけいいところがある。それは未来は作る事が出来るという点だ」
「ミライは『逆風』の向こうにある」等等。まさに、松本さんは瀧本さ
んが言っていた「未来の住人」なのだと感じました。そして未来の住人の
これからも続く冒険に期待していきたいと思います。(終わり)
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