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2022年04月15日12:55

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4/12 没後50年鏑木清方展【2回目】@東京国立近代美術館

前回行った時(3月29日)の日記↓
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1981964764&owner_id=2083345

本展は、京都会場のみの展示が12作品、東京会場展示は全部で109作品あるが、その半数が期限付き展示だ。前後期で分かれているならそれに合わせて2回いけばいいが、作品によって展示期間がそれぞれ違う。期限付き展示作品を出来るだけ多く見るにはどうしたら良いか、書き出してみたら、2回目は4/12〜4/19に行くのが良いとでた。

12日ちょうど午前中に内科受診があったのでその足で行く。1時半到着。予約せず。休日よりは空いている。

前回見たものは軽く流そうと思ったが、やはり好きな絵の前では足が止まる。
窓際で本を読む女性を簾越しに描いた《秋の夜》や端午の節句の遊びを描いた《菖蒲打》など。
なかでも…
《絵双紙屋の店》画像なし
千代紙、組み立て絵、切り抜き絵を売っているお店。子供たちが、店主に取り出してもらって夢中で見ている。お小遣いで買えるのはほんの僅かだろうし、買わない子も多いだろう。でも女店主は身を屈めて子供たちに丁寧に見せている。心温まる光景。

新たな発見もあった。
《雪紛々》
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ちらつく雪に寒さで身を縮めている姿だが、足の親指に注目。右の親指の先が僅かに浮いて左の親指に重ねている。この仕草だけで、寒さが見て取れる。《ためさるゝ日》の踏み絵を踏もうとする足の先、わずかに躊躇いが見えるのと同様、足の指先のわずかな動きで、気持ちや状況を物語る素晴らしさ。


《明治時世粧》
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左が「すきや」右が「あかし」の2福。すきやは数寄屋橋、あかしは明石町。「あかし」の着物が素敵。


では、この期間の作品をご紹介。
《社頭春宵》
これは自己採点☆☆
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《朝涼》
清方の別荘金沢八景の近くで長女清子がモデル。朝露と少女の清廉さが響き合う。おさげ髪を手に持つ仕草がいい。
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そういえば、藤島武二《東洋振り》もこの頃の作で、これまで日本人は真横顔の肖像を描かなかったがこれはイタリアルネサンスの影響、と聞いたことがある。この作品も真横顔、そう言っていいのだろうか。

《讃春》
宮内庁三の丸尚蔵館所蔵である。昭和の大礼を記念して三菱財閥岩崎家から皇室に献上するために依頼されたという。5年かけて完成。
六曲一双の屏風、右隻は、皇居を背景に雙葉女学校のセーラー服着た女学生がたんぽぽの原で寛いでいる。左隻は、関東大震災からの復興を象徴する清洲橋を背景に船上生活者の母娘描いている。船のバケツに挿した一枝の桜から、右隻左隻とも春ののどかさを寿ぐ光景だが、左隻に貧しき者の暮らしを描いたのは、清方らしいなぁと思った。
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《晩涼》
遊女に身をやつした巳代(みよ)が3年前に不思議な体験をした山の向こうを見やる、という泉鏡花「きぬぎぬ川」のラストシーンを描いたもの。ただし、当時でもよほどの通でないとこの主題に気づかなかったらしい。清方さん、粋ですね。
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《京橋金沢亭》
子供の頃から親しんだ京橋金沢亭は寄席。寄席の中入り風景をさりげなく描いている。客の合間を縫ってさくさく茶を運ぶ人の姿がいい。
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《たけくらべの美登利》
こちらもまた初見ではないが、いいなぁと思う作品。大人になる直前の刹那、淡い恋心を描く。
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《薄雪》
「あやしい絵」展、「福富太郎の眼」展、と3回続けてお目にかかる絵。近松「冥途の飛脚」から。
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それにしても、鏑木清方の蒐集をきっかけにはじめた福富太郎氏の鏑木コレクションは本当にいい。
今回、もっとも息を呑んだのが、この福富太郎コレクション↓

《道成寺(山づくし)鷺娘》
清方が幼いころから足しげく通った歌舞伎に着想を得た作品。右隻が「京鹿子娘道成寺」、左隻が「鷺娘」の一場面で、どちらも恋の妄執に囚われた異界の女だ。
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清姫の亡霊が白拍子の姿で道成寺に現れ、舞いを見せる。目が完全にイッちゃってる!はらはら散りかかるのは桜の花びら。
一方、鷺娘は白無垢姿。動と静、極彩色に白、と左右見事な対比だが、こちらもチラと覗く赤い襦袢に内に秘めた想いの激しさが伺えてゾクっとする。鷺娘の目もイッちゃってるよね。はらはら降りかかるは雪。玉三郎を思い出す。
こうした恋にのたうち回る狂女・亡霊を描いたのは、上村松園では《花がたみ》《焔》が思い浮かぶが、東西甲乙つけ難さだ。
ご本人評価は☆☆

ワンランク上の☆☆☆はこちら↓
《春の夜のうらみ》
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音読みで書けば《春宵怨》、4月10日までの展示にあった、こちらも京鹿子娘道成寺。光ミュージアム所蔵の《京鹿子娘道成寺》14幅の中に同じ衣装のものがあった。


5月8日まで。数点期間を変えて展示替えがあり。

このあとはMOMATコレクションを時間と体力のある限り。気になる作品を撮ってアルバムにまとめました。こちら↓
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000120528635&owner_id=2083345


ながくなるので、その中から、1点だけ。
伊東深水《清方先生寿像》
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伊東深水は鏑木清方の愛弟子。鏑木清方は1878年生まれだからこれは73歳の肖像ですね。見事にそっくり。
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背中には鳥文斎栄之の肉筆美人画。
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机には泉鏡花全集の巻四と雑誌アトリヱ1951年3月号。

コレクション展も5月8日迄
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