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2021年12月02日13:36

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「染付 福字文 壺」

 今回は、「染付 福字文 壺」の紹介です。

 なお、この「染付 福字文 壺」につきましても、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で既に紹介しているところですので、その時の紹介文を再度次に掲載することをもちまして、この「染付 福字文 壺」の紹介とさせていただきます。





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              <古伊万里への誘い>

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*古伊万里ギャラリー249 伊万里染付福字文壺       (平成31年2月1日登載)          


写真1: 正面(仮定)
     所々に鉄分が滲み出し、飛び青磁のようになっている。


写真2: 正面から左に約120度回転させた面
     口縁の内側には窯疵が見られる。


写真3: 底面



 下手で粗雑な作りの壺である。日用品として作られたのであろう。骨董の分野では、いわゆる「生活骨董」というような部類に属するものだろうか。

 分厚い作りで、釉薬もどっぷりと掛けられ、一見、青磁染付のように見え、手取りも重い。

 ただ、胴に「福」の字が三つ描かれているところや、所々に鉄分が浮き出して飛び青磁のようになっているところが景色になっていて面白く、鑑賞にも耐え得るのではないかと思料している。

 なお、この壺の生産地については、有田産ではなさそうであるが、肥前地域内で作られたものであろうとは思っている。



生 産 地 : 肥前
製作年代: 江戸時代中期
サ イ ズ : 口径;5.9cm 胴径;11.0cm 高台径;7.5cm 高さ;11.5cm



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*古伊万里バカ日誌176 古伊万里との対話(福字文の壺)(平成31年2月1日登載)(平成31年1月筆)  

登場人物
  主 人 (田舎の平凡なご隠居さん)
  小 壺 (伊万里染付福字文壺)


・・・・・プロローグ・・・・・

 主人は、今回は、通常どおり、主人の所にやってきた古伊万里の順番に従って対話をしようと考えたようで、それに該当する古伊万里を押入れから引っ張り出してきて対話を始めた。

 
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主人: おおっ! 何か、ちょっと、訳の分からないものが登場してきたな(-_-;)  お前のことは、自信をもって、これぞ「古伊万里」として紹介できないところがあるね。

小壺: どんな所に自信がもてないんですか。

主人: まず、シャープさが足りないね。厚作りでドテッとしていて、形にも締りがないものね。一見、大陸ものではないかと思わせるよ。

小壺: でも、どうして「古伊万里」と判断したんですか。

主人: 長年「古伊万里」のコレクションをしている勘(カン)かな。素地を見ると、やはり、「古伊万里」だろうと思うわけだ。有田産にしては珍しいけれど、有田ではいろんな物を作っているから、こんな物も作っていたんではないかな〜と思うわけだよ。それに、私は、有田産の磁器に限らず、肥前地域一帯で作られた磁器を「古伊万里」と総称しているので、たとえ、お前が有田で作られた磁器ではないとしても、「古伊万里」に属するんではないかと考えているんだ。

小壺: そうですか。「まぁまぁ古伊万里には違いないだろう」という程度のものなんですね。

主人: それはそうだよ。骨董なんてそんなもんだよ。百パーセント間違いない、なんてことはないよ。誰も作っているところを見ているわけではないんだからね・・・・・。
 だから、長年「古伊万里」のコレクションをやっていても、時には、間違うことがあるね。例えば「古伊万里ギャラリー225 伊万里銹釉染付窓抜鷺文大皿」(注:このブログではこの大皿の紹介を省略します)なんだが、これなんか、現代作の物に特殊な塗料のようなものを塗って古色を出し、古い本物のように工作したのではないかと思うようになってきているよ。巧妙な工作を施されると判断を誤るね。もっとも、骨董では、そのような巧妙な工作も見抜く力も備えなければならないわけで、まだまだ修行が足りないと言われても仕方がないがね(><)

小壺: ところで、私は、「染付」となっていますが、「青磁染付」とはちがうんですか?

主人: そうなんだよね。お前には、そのこともあるんだよね。
 先程、「何か、ちょっと、訳の分からないものが登場してきたな」と言ったけど、実は、そのことも含めて言ったんだ。お前は、単なる染付ではなく、かなり青磁っぽい色をしているものね。「染付」というよりも「青磁染付」と言ってもいいくらいだものね。釉薬は、青磁のように分厚く、どっぷりと掛けられているしね。
 ただ、青磁は、素地に含まれる鉄分と釉薬に含まれる微粒な成分とが化学反応をおこした結果生まれるらしいので、素地は鉄分を含んだものが使われるから、焼き上がったものの素地は黒っぽくなることが多いんだよね。それで、よく、青磁では、「紫口鉄足」などと言われるんだ。古い青磁の特徴だね。
 でも、今では、鉄分を含まない白い素地に化学薬品を掛けて青磁を作ることが出来るようだね。その場合は、鮮やかな青磁色になるようだよ。それで、「紫口鉄足」かどうかは、古い青磁かどうかの判断の一つになるようだ。
 お前の場合は、素地は白っぽいが表面は鮮やかな青磁色ではないし、古さもあるから、最近になって化学薬品を使って作った青磁ではないことがわかるよね。それに、古い青磁の特徴の「紫口鉄足」でもないから、古い青磁でもないと言えると思うよ。以上、消去法から判断して、「青磁染付」ではなく、「染付」としたんだ。

小壺: でも、何故、青磁っぽいんでしょうか?

主人: それは、あまり良い材料を使っていないからだろうね。素地や釉薬には材質が悪かったので鉄分が含まれていたんだろう。その証拠に、所々に鉄分が浮き出ていて、飛び青磁みたいになっている所が見られるものね。
 また、丈夫な日用品を目的として作られたのか、少々乱雑に扱っても割れないように、素地も分厚く作られ、釉薬も分厚くどっぷりと掛けられているから、ちょっと見には青磁のように見えるんだろうね。



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