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2021年08月25日04:50

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読書日記Nо.1378(挑発する少女小説)

■斎藤美奈子「挑発する少女小説」2021年6月河出新書

書店の店頭で、なんだか挑発的なタイトルの本だなと、目を引いた本があり、
著者があの斎藤美奈子さんだったので、思わず手に取りました。

斎藤美奈子さんは、文芸評論家として、お名前やお顔は存じ上げていて、
書評欄などで、短い文章は読んだことがあったのですが、4年前に読んだ
「文庫解説ワンダーランド」という新書が、無類に面白くて、すっかりファンに
ファンになりました。↓

https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1961902267&owner_id=5540901

キレッキレの文体で、書かれている内容もとても、面白いのですね。

で、早速、本書の惹句を紹介します。

“赤毛のアン、若草物語、小公女、あしながおじさん……大人になって読む
翻訳少女小説は、子どもの頃には気づかなかった発見に満ちている。懐かしい
あの名作はいま、何を教えてくれるのか?”

“1.魔法使いと決別すること――バーネット『小公女』
2.男の子になりたいと思うこと――オルコット『若草物語』
3.資本主義社会で生きること――シュピーリ『ハイジ』
4.女の子らしさを肯定すること――モンゴメリ『赤毛のアン』
5.自分の部屋を持つこと――ウェブスター『あしながおじさん』
6.健康を取り戻すこと――バーネット『秘密の花園』
7.制約を乗りこえること――ワイルダー『大草原の小さな家』シリーズ
8.冒険に踏み出すこと――ケストナー『ふたりのロッテ』
9.常識を逸脱すること――リンドグレーン『長くつ下のピッピ』”

“かつて夢中で読んだ人も、まったく読んだことがない人も。
いまあらためて知る、戦う少女たちの物語。”

↑で取り上げられている9編の小説は、目次のタイトルで並んでいますが、
著者によれば、裏タイトルがあり、それは以下と、あとがきで述べています。

“1.シンデレラ物語を脱構築する「小公女」
2.異性愛至上主義に抵抗する「若草物語」
3.出稼ぎ少女に希望を与える「ハイジ」
4.生存をかけた就活小説だった「赤毛のアン」
5.社会変革への意思を秘めた「あしながおじさん」
6.肉体労働を通じて少女が少年を救う「秘密の花園」
7.父母の抑圧をラストで破る「大草原の小さな家」シリーズ
8.正攻法の冒険小説だった「ふたりのロッテ」
9.世界一強い女の子の孤独を描いた「長くつ下のピッピ」”

“このように書き並べてみると、従来の少女小説のイメージは一変します。”

“少女小説は読者を挑発しているのです。子どもだからって、女だからって、
あたしをみくびらないでよね。あんたも見くびられちゃダメよ、わかってる?”

“幾多のエピソードはそんな土台の上に乗っていて、ゆえに私たちは少女小説で
憂さを晴らし、少女小説に逃避し、少女小説に励まされたのではなかったでしょうか。”

へぇ、そうだったのかと、目からうろこがぽろぽろ落ち、キレッキレの斎藤美奈子
さんの文体に乗せられて、あっという間に読了できました。

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