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2021年04月01日11:02

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ハーラン・コーベンWINを読んだ

ハーラン・コーベンの新作Winを読んだ。NYTベストセラー1位で登場。
マイロン・ボリターとウィンザー・ホーン・ロックウッド三世のコンビではなく、
ウインが単独での主人公です。ついにウインものがでました。
ウインもHOME(2016年)以来の登場である。ただ、マイロン・ボリターはテレサと結婚してフロリダに移住しているので名前だけが何度か出てくる。

マイロンは子供の頃家族の愛情に飢えていたので憧れていた結婚をついにしたのだ。
一方のウインは家族の愛情に包まれ、金のスプーンを銜えて生まれた、生まれながらのビリオネアなのだ。だから結婚に積極的ではなく、40代の今も独身生活を謳歌していた。
そのウインの本編は非常に面白い、絶対のお薦めです。マイロンにはない、独特の別世界の感覚の超リッチなウインの世界です。

ある日突然ウインの事務所に二人のFBI捜査官が訪れてくるところからはじまる。
(その瞬間から、久しぶりのわくわくするような興奮を感じて読み始めた。ウインのカㇺバックである)
24年前に二人組のスキー帽をかぶった男がロックウッド邸に侵入して叔父オルドリッジを殺し、18歳のパトリシアを誘拐するという事件が起きていたのだ。

最近になってその犯人の一人と思われる老人が殺されているのが発見されたのだ。
その老人の家から、ロックウッド家のフェルメールの絵画とウインの名前入りの鞄が残されていたのだ。FBIは誘拐事件の犯人もしくは一味と考えたのだ。

ウインはフェルメールも鞄も自分のものに間違いないと答えた。そしてウインは事件には関係ないと答えた。
FBIは当初ウインの裏の世界との関係から、彼に疑いを持つことから、ウインも言葉少なに対応するのだ。このやり取りは面白い。
24年前誘拐された従妹パトリシアは隙を見て犯人の隠れ家から脱出して、5ヵ月後に救助されて今日に至っていた。
彼女が閉じ込められた家の周りの地中には6人の若い女性の死体が埋められていたので、連続誘拐事件として大騒ぎになり捜査が行われたが、何ら手掛かりはなく未解決に終わっていた。
そのまま24年が経過して今回事件の捜査をウインが再び始めることになったというわけなのだ。

そして誘拐事件の数か月前にフェルメールの絵画、鞄は盗まれていたことが、今になって分かったのだ。
やっと手掛かりが出てきたのだ。誘拐事件の前に盗まれた絵画、鞄これが誘拐事件とどう繋がるのだろう。
その当時、NYでは過激な「ジェーン通りの6人組」と言われるテログループがいて、9人が死亡、12人が負傷するモロゾフ火炎瓶事件等を起こしていた。
彼らが誘拐事件にも絡んでいると思われたが誘拐後グループ全員が姿を消していた。
殺された老人はフェルメールの絵画を持ち、ロックウッド家の鞄を持っていたが、何故か近くで潜んで暮らしていたのだ。しかもピカソの絵画もっているはずだったのだ。
誘拐犯が何故今頃殺されたのだ、仲間割れの結果なのだろうか。

彼らは数年前にもマンハッタン銀行で現金でなく貸金庫の宝石類を盗んでもいたのだ。
その時の防犯カメラに6人組の主犯格の顔が映っていた。金には困っていたことはないだろう。しかも手口が鮮やかすぎたのだ。
主犯格の一人は頭の禿げた老人になり、殺されていた。そのほかのメンバーはどこに潜んでいるはずだ。

そこへFBIの仕事をしていた当時の上司P・Tからウインに電話が入った。

昔密告でテログループのアジトを襲撃したとき、P・Tの上司が射殺された。しかし犯人は逃亡した。フェルメールを持っていた殺された老人のDNAが犯人と同じだと言った。

ウインの事務所の担当しているストーカー事件の関係者がウインを狙っていた。
そして6人組に身内の娘を殺されたギャングのボスも20年以上にわたって犯人を捜していたのだ。

その事件を調べるうち、事件前にロックウッド家の兄弟間で重大なスキャンダルが発生していたことが分かります。当時20代だったウインは全く気付かなかったことだった。
そのスキャンダルがこの事件に深く絡んでいるようなのだ。
ウインはそれをFBI, 警察、世間に知られないように犯人を見つけ出し、一家の恥をもみ消しをすることになるのです。
いったい誰が一連の事件の犯人なのか、誘拐犯の正体は、誰がその犯人を殺したのか、実に複雑になります。ピカソはどこにあるのだろう。

本当に面白いです。一気に読めます、読まずにはいられなくなります。
思わぬ展開に驚いているうちに、物語が進んでゆくのです。
流石、こういうのを書かせるとハーラン・コーベンは上手いです。

余談
ウインの娘エマ(Home で登場)が活躍します。
結婚する気のないウインは子供は欲しくなかったのです。生殖的な娘とはウインらしい表現をします。自分の子供がいると身勝手な、命を懸けた行動ができないからです。しかし、恋人から子供ができていたと言われ、乳がんになりウインに打ち明けた。それで守るものができた父親であることを認めたのです。

今や欧米では大人気のコーベンです。彼の全作品がベストセラーで、市場では$1000以上(初版、VF、サイン入り)は当たり前です。なぜ日本では翻訳が出ないのか不思議です。
*マイロン・ボリター(Myron Boliter)は音声に合わせました。(翻訳はボライター)

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