Ｍ-１ 準決勝
インディアンス(敗者復活) 昔ワルだった
敗者復活戦でやったのと同じで俺は何回も見てるネタけど、過去最高の出来かも。特に田渕がノリにノッていた。屋外会場から本戦ステージへの移動や急激な寒暖差からか木村が噛んだりしたものの、上手くフォローし、本戦に勝ち上がった喜びが爆発してる様子が観てる側にもバンバン伝わって来た。元々好きなコンビって事もあるが、こちらまで知らず知らず嬉しい気分になった。
しかし基本的には木村の言い間違いに田渕が突っ込むネタなので、わざと言い間違える事が判っていながら見る事になる。どうしてもシラけてしまうのは仕方がない。
敗者復活戦を勝ち上がって本戦に出場決定。昨年の借りを返すぞ！と張り切り、最高の出来の漫才ができた手応えを感じたが、89点、89点、85点、89点… と低い得点ばかりが続いて意気消沈。この時点で上位に残れないのは確実。それを自覚して開き直った辺りで礼二、松本人志90点、上沼恵美子93点が出て、『大御所には認められた』喜びを噛み締める。この乱高下は精神的に大変だったろうけど、それを顔に出すことなく呑み込んだ田渕って結構器が大きいんじゃないかな。
東京ホテイソン 回文
観てた時は結構笑ったけど、頭の片隅に何かがモヤモヤしてた。それを巨人師匠の『頭使わなくても笑えるネタやったら良かった』的なコメントが全て片付けてくれた。確かにね。
歌舞伎のキメ顔みたいなたけるのツッコミが更に強力になっていた。だけど結局はそこが笑いのピークで、尻すぼみになっちゃったかな。しかし『アンミカドラゴン新大久保に出現』とかはかなりの爆笑だったし、最後の『い〜や…』と力一杯振りかぶるだけでわざとハズすオチとかも斬新だし爆笑だったのに、この点数は無いだろう。
たけるはフリートークで普通に笑う時の笑顔が凄く良い。めちゃくちゃ緊張してたってのが意外。
ニューヨーク 爆笑エピソード３連発
掛け合いと言うより、嶋佐が長い独り語りをし、屋敷が突っ込む形が新鮮。ちょっと悪い部分をチラリと見せて、やっぱりニューヨークはこうじゃないと。
とは思ったが、笑いの数自体は少なかったかな。
以前から注目してたコンビだけど、改めて見ると屋敷のツッコミっておもしろくないな。
見取り図 ダメなマネージャー
見取り図と言えば適当に相槌を打っておいて、後から『○○って何？』と突っ込むのがお約束だが、今回はそれを封印。最後に忘れた頃にちょっとだけ活用したのがとても良かったと思う。あのスタイルは確かに面白いけど、あまり多用すると先読みできてしまう。なので今回みたいに、最後にピリッとスパイスが効かせた構成は良かった。が、ネタ自体は全体的に笑えなかった。
それよりも気になったのはネタの後。審査員からの寸評を聞いてる時に盛山が審査員達にいちいち突っ込んでたが、これは常識外れも甚だしいだろう。大御所や大先輩達から自分達の芸を評価して貰ってるのに、その言葉を遮っていちいちつまらない突っ込みを入れるのは失礼極まり無い。審査する側とされる側なのだから、両者の間には明確な上下関係がある。当然対等なはずは無く、掛け合いなど論外だ。ここは最低限の返事や相槌くらいとし、神妙に耳を傾けるのが礼儀だろう。
ここのシーンはかなり気になったので繰り返し何度も見たが、司会の今田耕司は笑いを絡めつつ非常に上手くまとめようとしていたのだが、それでもその意図に気付かず喋り続けた盛山に対し、最後はかなり本気で怒っていた様にも見えた。
前年も『テレビに出るなら顔を触る癖は直した方がいい』と塙に指摘されていたが、盛山はキャラが濃く、そのルックスは清潔とは言い難い。声もやかましいから尚更である。
おいでやすこが 変な歌
出だしだけはお馴染みのフレーズだが、そこから全く違う曲になるってボケに、小田の絶叫ツッコミが心地良い。古賀の素っ頓狂な、それでいて軽快な歌とのギャップも効いてる。
これは『お笑い』の在り方を改めて証明したんじゃなかろうか。やっぱりボケに対して相方からのツッコミがあってこそ、笑いは生まれ易いのだと再認識した。
古賀のピン芸は見た事が無いが、妙な歌自体は面白いとしても、それを延々と聞かされたところで『だからどうした？』って話になってしまう。Ｒ-１常連の小田にしたって終始叫んでるだけで、最初は面白いがすぐ満腹になる。ところが、その２人が合わさると化学変化が起きるのだ。１+１が３にも４にもなる。
だから、やはり２人で掛け合いってのがベストなんだなぁ。
『寝て起きたら行き場を失ってました』って掴みも良かったし、『火曜まで待った』は爆笑だった。
マヂカルラブリー 高級レストランのマナー
村上の『違うよ、違うよ、違うよ… 』ってツッコミがあまりにも単調過ぎてつまらなかった。ネタ全体も好きではなかったが、特にその部分が鼻についた。
オズワルド 改名
掴みから調子良くて期待してたんだけど、松っちゃんの評価が低かった。オズワルドにはローテンションでしみじみ行って欲しかったとの意見。う〜ん、解らないでもないけど、でも持ち時間(４分だっけ？)全部低空飛行ってんじゃコントラストが立たないんじゃなかろうか。尻上がりに伊藤がブチ切れて行き、所々に絶叫が入って丁度良い塩梅だと感じたけどな。
伊藤の『逆ぅ？』ってツッコミは今大会No１だわ。オズワルドのセンスはシビれる。
アキナ 気になる子を楽屋に呼びたい
優勝候補筆頭だったけど大失速。決してスベってた訳ではないんだけど、なんでかなぁ…
富澤の『女の子を楽屋に連れ込みウフフ… 的な設定自体がオジさんにはウケない』ってコメントが全てなのかな。順番的にも恵まれたんだけど。
錦鯉 パチスロ
遂に来ました錦鯉。この２人、まずはキャラが良い。バカっぽく暴走する長谷川が注目されるが、個人的に好きなのは相方の渡辺。最小限のセリフで鋭く突っ込み、ハゲ頭をピシャーンとどつきもするが、それでいて不快感が無いのは人柄だろう。非常に好きな芸人さんの１人である。
残念ながらそこまではウケなかった。順番も影響したかもしれない。場の空気は無名のオジさんコンビよりも、決勝進出組の次のネタへの期待や優勝予想の方に興味が移ってしまい、少しフワフワしてた感じもする。
順位は振るわなかったが、松っちゃんも言った通り、このキャラはブレイクするかもね。だけど長谷川はトークは全くおもしろくないから、売れたとしてもキャラだけかな。永野とかスギちゃんみたいな。やっぱり漫才師として突き進んで欲しいコンビだな。
ウエストランド
不細工なチビがブーブーがなり立てるスタイルで、正直それまでは不愉快な印象があった。けれど今回のネタは良かったな。テンポも良いし『お笑いは、人生に何も良い事が無かった者の復讐』ってフレーズとか、
『可愛くて性格の良い子…？
え…
いないよ…？』
辺りの井口の表情は秀逸。『悪口漫才師と仲良しコント師』っワードも光ったしオチも綺麗にまとまった。
ネタが面白いと印象も良くなるから不思議だ。いや、要するに以前はつまらなかったって事だろな。だから好きになれなかったんだろう。
決勝
見取り図 地元愛
要するに、俺はこのコンビ好きじゃないのかも。盛山の締まらない体型、鬱陶しい長髪、そしてカン高い声。相方のリリーも全く印象に残ってない。
マジカルラブリー つり革
今年最大の物議を呼んだネタ。野田が床に寝転がって殆ど喋らない衝撃的な展開で、大会後に『アレは漫才じゃない』と議論が巻き起こった。
アレが漫才かどうかなんて勿論俺には判らない。ただ、もしアレを漫才じゃないと言うのなら、我々が親しんでる『漫才』より、もっと面白い笑いの形態があると言ってるのと同じだ。
おいでやすこが バースデーソング
面白かったけど、ネタの基本的な構造は１本目と同じだけに既視感は避けられない。最初の『覚えられへんわ』と後半の『ジュークボックスか』で爆笑をさらったけれど、後は少し弱かったかな。今後の２人の進路が気になる。
史上最大の混戦となった今年。しかも、正統派のしゃべくり、鬼門とされる歌ネタ、そして殆どを床に寝転がって演じた前代未聞のネタと、非常にバラエティ豊かな３組の戦いとなり、審査員の得票も３-２-２と割れた激戦だったが、前回最下位、上沼恵美子と揉めて大騒ぎとなったマジカルラブリーが優勝したのは驚いた。
野田クリスタルは特に好きな芸人ではないけれど、やっぱり色々と凄い人だと思う。ナルシストの筋肉自慢みたいで気持ち悪かったけれど、あれだけの肉体を作るのは並大抵の努力じゃできない。ピン芸の時に見せる自作ゲームも、ただのオタクのレベルを遥かに超えた知識、技術、そして忍耐力だ。やっぱり勝つ者は努力してるんだなぁと改めて痛感する。
マジカルラブリー優勝おめでとう。上沼恵美子とも和解した様で良かった良かった。
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