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2021年02月19日01:29

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強制性交等罪と準強制性交等罪との違いとは?

■男性10人に性的暴行、元教諭に懲役20年 大阪地裁
(朝日新聞デジタル - 02月18日 19:03)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6417579

強制性交等罪とは刑法177条に規定されています。

(強制性交等)
第百七十七条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

強制性交等罪は、「暴行又は脅迫」を手段とする点が、準強制性交等罪と異なります。(ただし、被害者が13歳未満の場合は、「暴行は又は脅迫」がなくても強制性交等罪は成立します。)。

「暴行」とは、殴る、蹴る、叩く、押し倒す、など人の身体に対して有形力を行使することです。

「脅迫」とは「殺されなくなければやらせろ」などと言うように、人の生命、身体等に害を加えることを告知する(言う)ことです。

強制性交等罪の暴行、脅迫の程度は、被害者が完全に反抗(抵抗)できない程度までは必要でなく、被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度であればよいと解されています。

被害者の反抗が著しく困難ならしめる程度であるか否かは、被害差の年齢、精神状態、健康状態、犯行の時刻・場所・態様その他諸般の事情を考慮し、社会通念に従って判断されます。

準強制性交等罪とは刑法178条2項に規定されています。なお、同条1項は準強制わいせつ罪に関する規定です。

(準強制わいせつ及び準強制性交等)
第百七十八条
1 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

準強制性交等罪は、強制性交等罪と異なり、暴行又は脅迫ではなく

人の心神喪失若しくは抗拒不能な状態を利用すること
人を心神喪失若しくは抗拒不能状態にさせること
のいずれかを手段とする点に特徴があります。

心神喪失とは、精神の障害によって正常な判断能力を失っている状態をいいます。たとえば、被害者の【熟睡・泥酔・麻酔状態、高度な精神病】などがこれに当たります。

抗拒不能とは、心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。たとえば、恐怖、錯誤などによって行動の自由を失っている場合などがこれに当たります。

「〜乗じ」とは、(第三者によって)すでに作出された心神喪失若しくは抗拒不能の状態を利用して、という意味です。すでに泥酔状態の被害者と性交等をすることは「心神喪失に乗じ」に当たり得る典型事例です。

「〜させて」とは、自ら被害者を心神喪失若しくは抗拒不能の状態にして、という意味です。その手段に制限はありません。熟睡に対しては睡眠薬の投与、泥酔に対してはお酒を大量に摂取させるなどがあります。

また、錯誤については、医師が患者に必要な治療だと働きかけて患者を誤信させるなどがあります。

なお、当初から性交等に至る目的での暴行又は脅迫を用いて被害者を心神喪失させ若しくは抗拒不能の状態にさせた上、性交等した場合は準強制性交等罪ではなく強制性交等罪に問われます。

強制性交等罪と準強制性交等罪との違い、共通点
強制性交等罪は性交等に至る目的での暴行又は脅迫をするのに対して、準強制性交等罪は人の心神喪失若しくは抗拒不能な状態を利用すること、あるいは、人を心神喪失若しくは抗拒不能状態にさせることを手段とする点が違いとなります。

他方で、性交等(性交のほか肛門性交、口腔性交)をすることが成立要件である
罰則は「5年以上の有期懲役」である
という点は共通しています。準強制性交等罪には「準」とついていますが、強制性交等罪より罪が軽いということではありませんので注意が必要です。

準強制性交等罪と強制性交等罪とは手段が異なるだけで、罪の本質や刑の重さは何ら異なるところがありません。

「準」とついているからといって軽く考えないようにしましょう。
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