上野オークラで藤原健一監督のOP映画デビュー作「悪女の色仕掛け カモって快感!」を観る。中年男と若い兄妹の詐欺師が、芸能プロダクションの女社長を騙そうとする。しかしその芸能プロにいるミュージシャンは、中年男が仕事をもらう元大物やくざの若い妻と付き合っているらしく、やくざから調査を依頼される。これが同時進行するうち、3人はとんでもない事態に追い詰められる。
藤原監督は、「女囚さそり」「0課の女 赤い手錠」のリメイク作や、「にっぽん淫欲伝 姫狩り」「おんな浮世絵師」の時代劇などやや予算のある成人映画を撮っていたが、それでも低予算が見えて物足りなさが残った。
むしろ新東宝のデビュー作「痴漢ストーカー 狙われた美人モデル」の丁寧な演出のサスペンスの方が記憶に残る。これも社宅の出来事を丁寧に見せた「愛染恭子vs菊池えり ダブルGスポット」はラインプロデューサーだったが、もしかしたら藤原監督が演出したのではないか。
この映画も中年男はリストラ、兄妹は震災で詐欺師になったことがわかり、彼らが決して悪人でないことを見せる。3人が出会う雨の場面はよかった。さらに印象的な字幕で詐欺の進行を見せてわかりやすくしている。
女社長の行動で、最後のオチは見える。3人にとって大成功の話ではないのだが、ラストシーンの幸福感はこれまでの藤原作品にはない気持ちの良さ。そして久しぶりに出演の倖田李梨さんが重要な役を演じているのも嬉しい。楽しめる作品。
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