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2020年09月02日19:46

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妄想小説 暁烏 52

ビール 暁烏 52
 運の良い人間と運の無い人間がいるのかも知れない。3年目にして初めての営みの夜。俺はウインドサーフインで疲れ切っていた。おまけに睡眠薬と酒を飲んでいる。女房を抱いた記憶はある。小ぶりだが形の良い乳房を揉み、うなじに舌を這わせた。が、途中からの記憶が無い。乳首を吸っても揉んでも、身体を固くして反応しない女房に焦った記憶は残っているのだが・・
「3年目の浮気って言葉がありますが、僕は3年目の初夜でした。でも・・酔ってて、ちゃんとしたかどうかの記憶すらないのです」
「でも、それがきっかけでってこともあるわよね?」
 咲さんがちょっと顔を赤らめながら言う。そう言えば咲さんは何歳なのだろう?結婚してるのか?
「僕もそう思った。翌朝、顔を合わせた女房はやけにスッキリした表情で微笑んだし、どんな子が産まれると思う?何て聞くからね」
「期待が裏切られたってことですか?」
 マスターの質問に俺は困った。身体の近づきは心の近づき、表面的な話ししかしなかった女房の心が少し開き、子供の将来のことを話すようになり、必然夫婦の会話は増える。つわりが来る前にと、一緒にドライブへ行ったり旅行したりも増えた。が、夜の生活は変わらない。女房が予約したホテルへ行くと、部屋が別になっている。贅沢を嫌う女房がそこは贅沢。受け入れるホテルは、同いう関係なのかと、不思議な眼で見られる。
 それでも俺は嬉しかった。夫婦らしくなっているように思えた。セックスが目的で結婚したのではないのだから、それで良い。「女房が求めない限り身体に触れない」それは俺の意地であり、プライドでもあった。
 妊娠が解り、赤ん坊が産まれた。自分に似た子が産まれたら嫌だと思っていた俺は、赤ん坊が俺でなく女房に似ていることにほっとした。産まれた時は猿の子に見えた赤ん坊が、人間らしくなって行き、見えていなかった眼が見えるようになり、表情豊かになる過程を興味深く見守った。良き父親だったと思う。今まで以上に早起きし、赤ん坊を抱いて散歩へ出る。自己流の情操教育のつもりだった。きれいな花に感動し、朝焼けの美しさに感動して見せる。自然の美しさに触れ、感動する父親を見せることで優しい心を持ってくれるに違いない。
 女房は、俺が子供と関わるのを嫌った。自分は教師なのだ。子供は自分が育てる。余計なことをするなと言う。それでも俺は子供をかわいがる。子供が俺と遊びたがるのだ。
 子供が4歳の頃だったか、何故だか俺は血のつながりが無いように思えた。女房の腹から産まれたには違いないが、種は俺でない・・そんな直感が働いたのだ。女房の言動だったのか、子供の仕草だったのか、その直感がどうして生れたのかは知らない(続く)

コーヒークウネル日記
 台風9号は昼過ぎ風が強まり、雨を降らせました。僕の体調は予想どうり(笑)小説の書きだめが無いのに、文章が書けず、パソコンに向かっていると眩暈が・・夕方にやっと元気になりました。と思ったら、10号が続いていますね。週末あたりで、今度は九州南部に上陸オア逸れ在りとか・・困ったものです。

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