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2020年08月19日02:51

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伊藤君(仮名)の話

伊藤君は、
お母さんと一緒に
面接にやってきた。
新卒ではない。中途だ。
社長は何故か、
懇願されると
断れない人だったので、
お母さんに懇願されて、
伊藤君を入社させる
ことにした。


彼は絵を描くことは
好きだったようだが、
決して上手だった
わけではなく、
ゲームデザインを
したかったようだが、
そんな願いが
叶う筈もいなく、
事務職かな?
と思ったら、
僕の部署に配属された。
僕の部下に
なったわけである。

簡単な仕事から
やってみて、
やらせてみせて、
褒めてやる。
を実行したのだが、
やはり、
ゲームデザインに
配属されなかったことが
不満だったのか、
とにかく手が遅い。
取説や冊子の一部ページを
任せることも
躊躇される状況で、
彼はそれでも仕事を
完成させないまま、
定時で帰っていくのである。

何故か。

母親が定時に車で
事務所の下まで
迎えに来るからだった。

彼がやり残した仕事を
僕が引き継ぐことも
しばしば。
僕が抱えてる分だけでも、
残業充分容量なのに、
尻ぬぐいも
させられる格好だ。

どうにも手に余ったので、
社長に相談したら、
「君の部下なんだから、
食事にでも誘って
話をしなさい。
費用は会社で出すから。」
といわれたので、
自腹で無くて
良いのならと、
実行に移した。

彼を流川の寿司屋に
連れて行った。
穏やかに話ししたいし、
いきなり本題も
あれだろうと思って、
世間話をしたり、
仕事は楽しいかとか
聞いたりしていたら、
彼は箸を置いて、
「辞めろって言いたい
 んでしょ?」
と言って来た。

僕はキレた。

「わざわざ会社の
 金使って会食
 しているのは、
 君にもっと仕事に
 真剣に向き合って
 ほしいからだ。
 辞めろっていう
 ためだったら
 金なんか使わない。
 会社の机で出できる。」
怒鳴りこそしなかったが、
こちらが
怒っていることは
伝わった筈である。

その後、もっと仕事に
積極的になってほしい事、
仕事のけじめはつけて
帰ってほしい事
等々を伝えた。
が、彼はそれから
一か月しないで退社した。

ところが、
それからさらに一か月後、
彼のお母さんから
社長に電話があって、
彼を再就職させて欲しい
と連絡してきた。
社長が僕に「どうする?」
と聞いてきたのだが、
僕が「OKですよ」
と言うわけがない。
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