mixiユーザー(id:21587781)

2020年08月08日07:33

102 view

戦後の世界情勢を語る石原莞爾

国民は民族的な伝統精神感傷的な気分から一時は軍備撤廃を悲しく思うであろうが、軍備を撤廃した上、今度は世界の世論に、われこそ平和の先進国であるぐらいの誇りを持って対したい。

将来、国軍に向けた熱意に劣らぬものを科学、文化、産業に向上に傾けて、祖国の再建に勇住増進したならば、必ずや十年を出でずしてこの狭い国土に、この膨大な人口を抱きながら、世界の最優秀精神を持って世界の平和と進軍に寄与することになったら、どんなにか驚くであろう。こんな美しい偉大な仕事はあるまい。

かかる尊い大事情をなす事こそいわゆる天業平ひらき弘であって、神意に基くものである。われわれは領土の狭小を嘆くに当らぬ。天業民族として神様から与えられたこの国以外に領土をやたらに欲しがるには及ばない。真に充実した道義国家の完成こそ、我々の最高理想である。

今日のように世界が極度に狭くなってくると、人間の闘争心を適度に整理しなければ、現在の大勢に順応することはできない。日清戦争以来の領土に約倍数の人口を圧縮され、耕地面積に比べては世界第一の高い人口密度を有し、資源は貧弱の定評ある日本としては、新しき文明を急速に建設することは、即ち争いを要せぬ文明の建設を意味するものである。

これこそ恒久平和の基礎工作であり、将来の世界の方向を示すものというべきである。敗戦国に軍国主義、侵略主義を払拭する目標をもって完全な武装解除を要求する民主主義、平和主義の戦勝国も、自らは膨大な軍備の維持に熱中している。

戦勝国の指導者たちは戦争の勃発をあらゆる力で抑えようとするが、一歩をあやまれば惨劇たる次の戦争を起こす可能性がある。これが私の永年唱えてきた最終戦争であり、その姿は悲惨を極めるものであろう。私は裏心より、このような悲惨な戦争を経ずに垣久平和の来ることを念願している。

これが為、我々の新建設は全人類の師表となるべきものでなければならない。もしもまた悲しむべき最終戦争が勃発したとすれば、今日の原子爆弾に数百倍する威力により人口は半減され、全世界の大都市はすべて廃墟に帰するであろう。

その際、我々の主張のごとく、都市なき日本を建設していたならば、日本また無やなく戦火に見舞われるものとしても、損害は最小限に免れ、身に寸鉄を帯びず全人類から救いを求められることになるであろう。

最終戦争が東亜と欧米との両国家群の間に行われるであろうと予想した見解は、はなはだしい自惚れであり、事実上明らかに誤りであったことを認める。また人類の一員として、既に世界が最終戦争時代に入っていることを信じつつも、できればこれが回避されることを心から祈っている。

しかし同時に、現実の世界の情勢を見るにつけ、ことに共産党の勢力が激化の一途にある今日、真の平和的理想に導かれた東亜連盟運動の本質と足跡が正確に再検討せられるべき緊張の必要ありと信ずる。

11 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年08月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     

最近の日記

もっと見る