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2020年08月06日12:31

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「17歳のウィーン フロイト教授人生のレッスン」

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第二次世界大戦直前、オーストリアはナチスドイツによる併合が迫っていた。
自然に囲まれたアッター湖畔に暮らすフランツ(17歳)は、ウィーンのタバコ屋で働くことになる。
店主のオットーに教えて貰い社会に馴染んでいく日々、馴染み客のフロイト教授(ブルーノ・ガンツ)と親しくなり、悩みを打ち明けるようになる。

ブルーノ・ガンツの遺作ということもあって期待しましたが、ちょっと掴みどころのない映画です。
冒頭、緑深い湖で泳ぐフランツ、その横の木の下で男と情交に及ぶ母親、そして落雷によって男は亡くなってしまう。
それらのスターティングは一体何を意味していたのか?
ろくに前情報がないままに鑑賞したので、ヒューマン物?社会派物?少年の成長物?と
当惑しながら観ていくと…

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フランツがウィーンで働き始めると、画面は俄然動き出します。
少年は店主オットーの助けで少しずつ社会を知り、女の子と出会い、性の目覚めに悩む。
そこにナチスが侵略し、美しい石畳の古都は、次第に不穏な空気に包まれていく。
オットーはリベラルな精神の持ち主であったので、ナチスやそれに迎合する隣人たちから
にらまれることになる。

まだ戦争は始まったわけではない。
それでも石畳に軍靴の音が響き、古い建物に真っ赤なナチスの軍旗がはためき、
街の人々は次第に隣人を見張るようになり、密告や嫌がらせが始まる。
その不穏な空気の浸透の仕方の、その不気味さにゾクゾクとするほどです。
まさかオットーがあんな目に遭うとは。
そして子供だと思っていたフランツが、ラストまさかああ出るとは。

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そんな中でフランツの恋の悩みと、フロイト教授との親交は救いではあります。
名優ブルーノ・ガンツの存在感は大きく、彼が出てくるだけで少しホッとさせられます。
しかしいかんせん、精神科医フロイトの忠告は、取り立てて特別なものではない。
フランツに見た夢を書き留めよとアドバイスはするが、その分析をしてくれる訳でもない。
この映画には様々な奇妙な夢、そして死んだモグラとか動く蜘蛛などが、実に意味ありげに登場するのです。
何の伏線?と期待したのですが、それらが回収されることはありませんでした。

といった不満は残りましたが、それでも美しい画面が印象的な、個性的な映画でした。
過ちを繰り返すことなかれと、結局は言いたいのか。
原題「Der Trafikant」、原作ローベルト・ゼーターラーのベストセラー小説「キオスク」。

公式HP https://17wien.jp/
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