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2020年07月25日07:59

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日本人形の憂鬱 11

わたしは市内のバスに乗っていた。
湖のある公園に向かっていた。
リアルクラッシャー以外の唯一の趣味であるスケッチをする為である。
最近のソシャゲーはタイムポイントがある事が多い。
タイムポイントが切れるとメインの遊びが出来ない。
今日は朝からリアルクラッシャーを始めて、タイムポイントが尽きたのである。
家から三十分ほどで公園に着く。
わたしは湖のほとりでベンチに座りスケッチを始める。
鉛筆を走らせて風景が浮かび上がる。
しかし、白黒の世界は寂しいものであった。
わたしは色鉛筆を使うか迷った。
色のある世界……。
どうするか、長考していると。
「お嬢さん、綺麗に書けているね」
おじいちゃんが声をかけてくる。この公園を散歩中らしく、子犬を連れていた。
「このスケッチに色を入れた方がいいですかね?」
おじいちゃんは首を傾げて困った様子である。
自分決めろと言うのかと解釈した。
「ありがとうございます、色を入れてみますね」
おじいちゃんが去って行くと、わたしは青を手にしていた。
青い空、青い湖、青い世界……。
この世界に青が舞い降りた。
うん?
雲行きが怪しい。
ここで雨に降られたら不幸である。
とにかくバス停に向かおう。
バス停に着くと曇り空は雨の降る様子が無くなった。
スケッチの途中だが帰る事にした。
軽い憂鬱である。
不幸ではなく憂鬱が正しい表現であった。

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