mixiユーザー(id:7710403)

2020年06月28日20:17

106 view

ドラゴンブルースリー物語に見る血脈(少しショッキング動画あり)

僕の父は69歳という年齢で亡くなりました。
父との思い出を思う時、正直な気持ちで真っ先に思うことは不器用だった父の面影です。

幼少期からそうだった。
父がやることは全て失敗に終わる。
期待するだけ無駄だと分かっていました。

例えを挙げれば枚挙に暇がないのだけれども、僕が幼稚園生の時、運動会がありました。
お父さん方の参加の競技があった際のことです。
僕には記憶がないのですが、母が語るには僕は初めから父親の参加する競技を全く見ていなかったそうです。
その通りで僕の記憶には全くないのですが、当時のアルバムにはその時の写真がありました。
ビール瓶に棒を突き刺して、コロコロと転がしながら、園庭を走り抜けて競うという競技です。
不器用な父親は、競技の説明が行われた後も、何度も確認しに行っていたそうだ。
(恐らくて何らかの違いがないようにと、より確実な完全を求めたのだと思います)
そして母に聞けば、案の定父はぶっちぎりでビリだったそうです。

別の例。
小学生の僕は花火の写真が欲しかった。
花火の光に光ファイバーを挿入することで、いつでもどこでも華やかに光る花火が楽しめるオブジェを作りたかったのです。
その日の夜、花火大会がありました。
父は張り切って花火の写真を撮ってくれました。
張り切っている父を頼もしく思いながらも僕は期待はしていなかった。
父の行うことは必ず失敗に終わると幼少期の頃から思っていたから。
現像してみたら案の定ブレブレ。
花火写真は三脚を立てて露出を調整するなど難しい操作が必要なのです。

別の例。
父が仕事帰り車で事故を起こしました。
無事だった父に安堵しながらも、僕は直ぐに事故原因はどちらにあるかということが気になりました。
どうせ父の落ち度だろうと思いました。
結果、相当な割合で父の過失でした。

幾らでもあります。
別の例。
僕が小学校高学年だった頃。
当時住んでいた地元のお祭りでのこと。
家族で順番待ちをしていた僕達がいる中、ビールを飲んでいた父が突然むせて前にいる順番待ちしている老夫婦にビールを吹き掛けてしまいました。
ああ、親父がまたやってくれたよ。
平謝りする父。
クリーニング代出しますと一生懸命に謝る母。
幸いにも老夫婦はとても良い人で水に流してくれました。
かっこ悪い父がまたやった。
既に物心ついた思春期だった小学生の僕は、呆れ果てて他人事のように無視していました。

これらはほんの一部です。
それ以来、僕の心の中に不器用な父の存在が血として僕の中に存在するのだという暗示があります。
父は典型的なアスペルガー症候群だったと思います。
・空気が読めない。
・冗談が通じない。
・人の話が聞けない(これが顕著)
・同じミスを繰り返す(これが顕著)
・他人との距離感が分からない。
・物事の理解が遅い(これが最も顕著)

そして僕も同じです。
物事の理解が遅い。
父が生前の時、母が聞いたことがあるそうです。
「自分が周りより理解が遅いと思ったことはある?」
父はこう答えたそうです。
「うん……良くある」

そんな父は土日には良く寝ていました。
一日中寝ていました。
僕は父との思い出が恐ろしい程ありません。
それは父が仕事柄、単身赴任が多かったこと。
そして父と一緒に住んでいたとしても父が休日には一日中寝て過ごしていたということ。
そんな父の姿を母は随分と責めていました。
寝てばかり。
そして育児はほったらかし。

今まで、父を随分と責めるような文章を書いてきました。
でもこの年齢になって思います。
父も父なりに頑張て来たんだと。
父は恐ろしい程の不器用ながらも、自ら仕事を辞めることなく(母には辞めたいとはぼやいていたらしいが)家庭を守り切りました。
不器用なりにも、かっこ悪いながらも、家庭を守り抜きました。

そして思います。
休日寝てばかりの父は、日頃、あまりに不器用で精神的疲労が人一倍あったのだろうということ。
それ故、疲れ果て、とても何か活動的なことが出来なかったのであろうということ。

それも含めて僕も父と恐ろしく似ているので父の気持ちは良く分かります。
恐らく、僕よりも長年付き添ってきた母よりも。
何故なら、母は血が通ってなくても僕には父の血が通っているから。

不器用で上手く行かなくて。
それも幾ら気を付けても、どんなに何とかしようと思っても。
「恥ずかしい」「逃げたい」「避けたい」「傷つきたくない」
父もそう思っていたことでしょう。

でも不器用のどん底の父は逃げなかった。
ヨロヨロでも戦い抜きました。

僕達家族は、何一つ不自由することなく、今でも生活しています。

そう言う意味で父は男だったんだなと思います。
真面目だけれども酷く不器用だった父。
そんな男に付き添った母。

少し話はそれますが、「ドラゴンブルースリー物語」という映画があります。
ブルースリーの人生を描いた映画です。

ラストシーンが僕にとって印象的でした。

父の代から受け継いだ暗い影と主人公のブルースリーが立ち向かうシーン。
危機に陥る中、ブルースの息子が現れ、発奮して暗い影を退治するというシーン。

僕は当初、もし僕に息子が産まれたら、何としても父が果たせなかったこの暗い影を、退治しなくてはと思い、このシーンに思いを馳せていました。

でも今は、父こそがこの暗い影と戦っていた張本人で、現れた息子こそ僕自身だと思うと言うことです。
父は僕をそして家族を命を削りながら守ってくれたのだと思います。

不器用だった父、でも不器用な中で精一杯頑張ってくれた父には感謝です。
そしてそんな酷過ぎる不器用な父に対し、それでも寄り添い続けてくれた母にもまた感謝です。

この動画を見て(少しショッキング動画あり)
父の思いを思い、同時に僕もまた、父のように不器用な面に対して戦わなければならないのだなと思いました。

Dragon: The Bruce Lee Story (10/10) Movie CLIP - Bruce Defeats the Demon (1993) HD


3 4

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する