原初、人間は、全員ヘブライ語を話し、広い地球のごくごく一部、メソポタミア平原にしか分布していなかった。
そしてすべての国民は、たった一人の黒人の王様の下に集い、大きな町を作って生活していた。その黒人の王様がニムロデ。この町がバビロンである。
人はみな同じ言葉で意思疎通ができ、また一人の王様の下で統合し世界平和も実現。
温暖な気候と肥沃な大地、最も洗練された都市で生活し、他の場所に散らされる必要がないほど豊かであった。
人間はすべてのよい条件がそろった時「自分たちにできないことはない」ことを知った。
神が人を皆殺しにしようと思えば、人は皆殺しにされるしかない。
世界平和と人類の統合を実現した人々は、そのことにどうしても耐えられなかった。
「俺たちの運命は俺たちの手で選び取るものだ」
そこで神が、再度、人類を洪水で皆殺しにしようとしても、皆殺しにされないように、高い高い塔を建設した。
塔というより、むしろシェルターのようなものではないかとも言われている。
「これで神が洪水を起こしても俺たちはだいじょうぶだ」
「神の意思など無視して、罪など関係なく好き勝手なことができる」
そんな状況を神様は外から眺めていた。
「人間が散らされず一つの国を作っていると、彼らは私など無視して、なんでも(悪いことでも)してしまう。これはいけない」
そう思った神様は一計を案ずる。
「彼らの言語を70に分けてしまおう」
そしてある日、人々は70もの語族に分けられ、意思疎通ができなくなってしまった。
意思疎通ができないので一緒に住むことができず、ある言語を話す集団は北へ、またある言語を話す集団は南へ、自分たちの生活圏を求めて旅に出た。
バベルの塔は放棄され、ニムロデは人類唯一の王様ではなく、数ある王の一人に落ち、人類の力も分散されてしまった。
以上、聖書の記述とさまざまな注釈文から考えてみたバベルの塔の話。
人類がみな同じ言葉を話し、同じ地域に住み、一つの国家を形成する。
誰も酷寒シベリアや酷暑のジャングルに住むことなく、乾燥した温帯の平原に住み、快適な都市生活を享受する。
それって人類の理想のような気がしてならない。
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