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2020年06月19日21:35

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哺乳類型爬虫類(祖先型の単弓類)は非常に繁栄したが、彼らは高酸素濃度に適応した動物>還流式の気嚢の方がほ乳類の肺より、換気がよく、(コロナ)ウィルスに強いのでは?<コウモリ?

◎ペルム紀末の大量絶滅

石炭紀に続くのが2億9900万年前から始まる古生代最後のペルム紀である。石炭紀の間に生まれた羊膜類のなかで、この時期に目立ったのが「哺乳類型爬虫類」と呼ばれる単弓類であった。図40-1aに示したデメトロドンがその一種だったが、この仲間からあとになって、われわれ哺乳類が進化することになる。
現生の羊膜類は、哺乳類と爬虫類+鳥類に大きく分けられるが、それが単弓類と双弓類である。この2つの系統は羊膜類進化の初期である石炭紀の間に枝分かれしてそれぞれ別の進化の道をたどったと考えられる。鳥類は恐竜の内部系統から進化したものなので、鳥類を含めた双弓類が爬虫類だとすると、初期の単弓類を哺乳類型爬虫類と呼ぶのはおかしいという意見があり、最近ではこの言葉が使われない傾向がある。ここでは、哺乳類に進化する前の「祖先型の単弓類」という意味で「哺乳類型爬虫類」という言葉を使うことにする。


図40-1.側頭窓。(a) 単弓類のデメトロドンDimetrodon limbatus (哺乳類型爬虫類・ペルム紀)、(b) 双弓類のデイノニクスDeinonychus antirrhopus (獣脚類・白亜紀)。(国立科学博物館特別展・生命大躍進、2015)。

ペルム紀末になると、陸上に動物が進出して現代型の動物が出現したあとの世界では、史上最大の大量絶滅が起った。地球上の全生物種の70%、海中に限ると96%が絶滅したといわれている。カンブリア紀以来3億年にわたる古生代のほぼ全期間を生き延びた三葉虫もここでついに姿を消した。陸上でも爬虫類や両生類の2/3以上が絶滅し、昆虫も大きな影響を受けたという。この大量絶滅で3億年続いた古生代は幕を閉じた。
ぺルム紀には地球上のあらゆる大陸がパンゲアとして一つにまとまっていたが、末期になるとこの超大陸の分裂が始まった。この時に火山活動が活発になり、火山ガスに含まれる塵が太陽光をさえぎったことが、この大量絶滅の原因だったとされている。また、ペルム紀末には大気中の酸素濃度が急激に低下したので(図39-6)、これも大量絶滅の原因の1つだったかもしれない。



◎哺乳類型爬虫類の衰退と恐竜の繁栄

ペルム紀末の大量絶滅の時代を生き抜いた哺乳類の祖先がいた。彼らが生き延びてくれたおかげで、現在のわれわれ哺乳類が存在するわけだが、それが哺乳類型爬虫類と呼ばれるグループである。もともと哺乳類型爬虫類はペルム紀を通じて大繁栄をしていた。ところがペルム紀末にその多くが絶滅してしまった。第15話で、大陸移動説の証拠の一つとされたリストロサウルス(図15-1)は、わずかに生き延びた哺乳類型爬虫類の一つであった。リストロサウルスの化石は南極を含めて世界中から見つかるために、その当時の陸地はパンゲアという超大陸にまとまっていたことを示す証拠とされたわけである。ところがそのリストロサウルスも、三畳紀が進むと間もなく絶滅してしまった。
哺乳類型爬虫類に代わって陸上で繁栄を始めたのが恐竜であった。なぜ哺乳類型爬虫類がこの時期衰退したかを説明する有力な要因が、大気中の酸素濃度の低下であった。前回の図39-6に大気中の酸素分圧の割合の時代による推移を示したが、ペルム紀は酸素濃度が非常に高い時代だった。現在の酸素分圧の割合は21%であるが、それが30%以上にも達したのである。その時期、哺乳類型爬虫類は非常に繁栄したが、彼らは高酸素濃度に適応した動物だった。ところが、ペルム紀末期から酸素分圧が急速に低下し、三畳紀には15%にまでなった。このような低酸素環境で哺乳類型爬虫類はどんどん姿を消していった。
衰退する哺乳類型爬虫類に代わって繁栄を始めたのが恐竜である。恐竜は独自の呼吸法を発明したが、それが現在の鳥類に引き継がれている気嚢による呼吸である(図40-2)。




図40-2.気嚢を使った鳥類の呼吸システム.同じようなシステムは恐竜にもあった。

われわれ哺乳類やその祖先の哺乳類型爬虫類は、先が行き止まりになった袋状の肺に空気を吸い込んだり、吐き出したりする。その際に、肺を流れる血液は運んできた二酸化炭素を酸素と交換する。ところが、1つの袋に空気を吸い込んだり吐き出したりするやり方では、肺のなかの空気をいったん完全に吐き出してから新しい空気を吸い込まない限り、酸素をたくさん含んだ新鮮な空気と二酸化炭素をたくさん含んだ空気が混ざってしまう。この点で、哺乳類や哺乳類型爬虫類の呼吸システムは効率が悪いのだ。
恐竜の肺には前部と後部に気嚢という付属器官がつながっていた。新鮮な空気はまず後気嚢に取り込まれる(図40-2a)。後気嚢から新鮮な空気が肺に送り込まれると、肺のなかの古い空気は前気嚢に押し出されることになる(図40-2b)。こうした貫流型の方式だと、肺には常に新鮮な空気が留まることになる。恐竜はこのような気嚢という画期的な器官を発明し、低酸素時代に哺乳類型爬虫類に打ち勝って、繁栄することができたと考えられる。これはピーター・ウォ―ドの説であり、説得力がある。鳥類の起源についてはこのあとで触れるが、恐竜の内部系統から進化したことは確かである。彼らは気嚢を受け継いだおかげで、哺乳類は到底活動できないような低酸素環境でも平気で活動できる。

第24話に登場したインドガンは標高3000メールを越えるチベット高原で繁殖する(図24-5)。彼らは冬の間はインドで過ごし、春になるとヒマラヤ山脈の上空の標高1万メートルあたりを飛んでチベット高原にやって来る。彼らは秋になるとヒナを連れて同じコースを逆に飛んでインドに戻る。このようなことは、彼らが気嚢を使った効率的な呼吸を行なっているから可能なのだ。

かつて気嚢は、鳥類がエネルギーをたくさん消費する飛翔能力を手に入れる際に、進化させたと考えられていた。気嚢は柔らかい組織なので、化石としては残らないので、恐竜の気嚢が直接確かめられているわけではない。

≫鳥類で気嚢を収めている骨の空洞が、恐竜でも見つかることから、恐竜が気嚢をもっていたと考えられる<のである。
低酸素濃度の状況は三畳紀を通して続き、次のジュラ紀にはさらにひどくなり、12%くらいにまで低下したこともある。その間、哺乳類型爬虫類は絶滅し(一部は哺乳類として生き延びたが)、それに代わって恐竜が繁栄した。先に恐竜が気嚢を発明したと書いたが、最近になってワニやトカゲも鳥と似たような気嚢をもっているという論文が発表されている。前回、図39-4に四足動物の系統樹マンダラを示したが、これによると、ワニは現生爬虫類のなかで鳥、つまり恐竜に一番近いが、トカゲは現生爬虫類のなかで最初にほかから分かれたグループである。従ってトカゲも鳥と同じような気嚢をもっているのであれば、

哺乳類型爬虫類が分かれたあとの残りの爬虫類の共通祖先で気嚢が発明されたことになり、羊膜類のなかで、哺乳類型爬虫類の子孫であるわれわれ哺乳類だけが効率の悪い呼吸システムを使い続けていることになる。
しかし、この話が本当だとすると、気嚢の起源が恐竜の進化した時代よりもさらにさかのぼることになり、酸素濃度が低かった三畳紀よりも古かったことになり、ピーター・ウォ―ドの説は成り立たなくなってしまう。この問題は未解決であるが、ここではとりあえず、酸素濃度が低かった三畳紀に恐竜の気嚢システムで効率化がはかられたという立場で話を進めていくことにする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー以上転載ーー
https://kagakubar.com/evolution/40.html
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