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2020年05月29日04:46

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たいていの映画は“見かけ”がよければ楽しめるのに、これは“例外”でした。アンドリュー・ニコル監督「ANON アノン」(2018)。

アンドリュー・ニコルという監督の作品は、オールシネマ・オンラインに記載されている(つまり日本公開した)全作品を見ています。脚本だけの映画を加えても全部かな。なにしろ「トルーマン・ショー」の脚本家だったということで、見逃すことができないでいます。その監督の新作ですが、CSのムービー・プラスで放送されるまで存在すら気づかなかった(笑)。←Netflix契約中にも手を出さなかったわけだから、見なければよかったということですな。

物語は、すべての人間のデータが管理されている未来が舞台。刑事たちは街ゆく人々の個々のデータを瞬時に読みとれ、社会に危害を加えないよう守っています。ある日、一級刑事のサル・フリーランド(クライブ・オーウェン)が、街中で“データ・エラー”と表示される女性(アマンダ・サイフリッド)とすれ違います。彼女の経歴は存在せず“匿名”で、どうも他人の視覚を乗っ取れるらしい。

というような刑事アクションでした。あ、そのはずなんですが、他人の視覚を乗っ取るという行為が展開されても、アクションにはならないしサスペンスもないんです。この監督さん、「ドローン・オブ・ウォー」ではラスベガス郊外にあるドローン操縦基地を描き、毎日戦争に通勤する兵士を見せてくれました。「トルーマン・ショー」では、テレビ局がドラマの中で育てた人間を、24時間放送し続けるという画期的なフィクションを作り上げたわけです。

でも今回は、他人の視覚を乗っ取るという行為が、平凡な一人称カメラでしかなく、その“面白さ”が具体的に画面に出てこないので、単に“つまらない”ドラマでした。アマンダ・セイフライド(どうも名前表記が統一できない人です)も、安全な乗り物ではないわけで、こんな危険な乗り物には乗りたくない。←実際に“乗れる”なら命と引き換えてもいいかもね。でも映画の中でだと、わ、わしの望みは、もうちいと大きいのだ。

ということで、この監督さんの映画としては水準ですが、どの程度かというと「ガタガタ」や「シモネタ」と同程度。レイチェル・ロバーツが出ていると言われて、40年前に死んでるはず、なんて考える僕は、この監督の映画を全部見てるなんて“自慢”じゃなくて“恥”に思わないといけないかも。

そもそも題名の「ANON」が匿名=Anonymousだと分かっても、何一つこの映画を楽しむ足しにはならないのでした。アマンダちゃんも30代半ばになったので、脱げるときには脱いでおこうということでしょう。その心意気は買うし、こちらは大歓迎ですが、その魅力だけで映画の退屈さを忘れられるわけではない。クライブ・オーウェンのもっともらしい顔つきがなければ、もう少し楽しめたかもね。しかめっ面の俳優ばっかりが顔をそろえても、ちっとも楽しくない映画でした。

ということで、この監督の次回作が公開されても僕はパスするでしょう。
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