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2020年05月28日00:02

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007とチキ・チキ・バン・バン

 私がmixiの日記でも何度かご紹介してきたジョークに次のようなものがあります。タイタニック沈没時に、船員がどう言って各国の男性たちに救命ボートへの乗船を断念させたか、というものです(聞いたことがある人もいることでしょう)。

対アメリカ人:今ここで、乗船を断念すれば、あなたは正真正銘のヒーローになれますよ。
対イギリス人:今ここで、乗船を断念すれば、あなたは正真正銘のジェントルマンになれますよ。
対フランス人:今ここで、乗船するのは、ファッショナブルな選択でないことは明らかです。
対イタリア人:今ここで、乗船するのは、モテるイイ男の選択でないことは明らかです。
対ドイツ人:今ここで、乗船するのは、規則に反しますよ。
 こうして、あらかたの男性たちの乗船を断念させた後、最後に日本人男性のところに行って、船員はこう言ったということです:皆さん乗船されないようですよ。

 各国の国民性をなかなか鋭く突いていると思うのですが、アメリカ人が本当にヒーロー好きであることは、実感したことがあります。
 在米中のことでした。フィラデルフィアのダウンタウンのかなり大きなブロックをぐるぐると取り巻くような長蛇の行列(←もちろん、ソーシャル・ディスタンスは空けてない密集したもの)ができていたのです。いったい何事かと思ったら列の先頭はある映画館に消え、その映画館では007の映画を上映していたのです。その年の年号、映画の公開時期から判断すると、多分、上映されていたのはこちらの作品です。
https://www.youtube.com/watch?v=IwzOac8NNmo

 007のファンは日本にもある程度いるでしょうし、映画もそこそこヒットはするでしょうが、しかし、あれほどの行列にはならないことでしょう。子どもだったこともあって、とにかく圧倒されました。
 だからというわけではないですが、私は映画館では007の映画はほとんど観たことがありません(テレビでは何本か観ました)。
 一応、『ネバーセイネバーアゲン』(1983)は映画館で観たのですが、この作品は『サンダーボール作戦』(1965)のリメイクらしく、正式の?007映画とは認定されていないようです→http://www.hyou.net/ta/007.htm
 ところで、この映画007シリーズの原作の多くはイギリス人のイアン・フレミングによって書かれました。
 この人はロイター通信のジャーナリストとしてモスクワで勤務した(支局長だったということです)後、第二次世界大戦中は、自らイギリスの諜報員として活躍し(といっても地味なデスクワークだったのですが)、「ゴールデンアイ作戦」※などの指揮を執ったと云われています。相当な才人だったと思われます。
 こうした経験から、スパイものの小説やロシアが出てくる作品などを著すのは、お手の物だったのでしょう。
 そんなことを感じながら、この人のプロフィールを見ていると、一つ意外な作品を見つけました。なんと、『空とぶ自動車』という童話作品を書いていたのです。この童話は後に映画化されました(1968)。こちらの作品です。
https://www.youtube.com/watch?v=uZU4S1G0JCk

 『チキ・チキ・バン・バン』も映画館では見たことはないものの、在米時テレビで観ました(この音楽は日本ハムファイターズの応援歌になってますね。最近は松本人志が出ているSoftbankのCMのBGMにも使われてます)。
 007とチキ・チキ・バン・バンの間には、一見何の関係もないようにも見えますが、よく考えるとありました。フレミングは、無類の自動車好きだったのです。
 「ボンドカー」というそうですが、007映画では、毎度、スパイ用の特別仕様を施され、こだわりをもって描かれた名車が登場します。なかでも有名なのは、アストンマーチンDB5です。
https://www.youtube.com/watch?v=KAb0adDPAg8

 日本のトヨタ2000GTが登場したこともあります。
https://www.youtube.com/watch?v=syvutThYkXQ

 こうしたフレミングのこだわりは広くクラシックカーの分野にも及んでいたようです。『チキ・チキ・バン・バン』(1968)についてWikipediaには、こうあります:「Chitty BangBang」という車は、1920年代初頭の英国にて、当時の有名なレースカーとして実在していた。大富豪で洒落者のレーサーとして知られたルイ・ズボロウスキーが、旧型メルセデスのシャーシに航空機用の大出力エンジンを積んで作らせた特注の改造車で、当時のレース界で派手に活躍したことで知られている。この逸話を踏まえ、自動車好きでもあるフレミングが題材にしたものである。

 映画は基本的に映画館で観ることにしている自分にとっては、偶々テレビで観た作品の原作者がいずれもイアン・フレミングだったことはちょっとした発見でした。
 余談ですが、吸血鬼ドラキュラの映画で有名なクリストファー・リーは、フレミングの従弟でした(誕生日は昨日でした)。そう云えば、ドラキュラ作品も映画館では観たことがありません。

 今日はイアン・フレミングが112年前に生まれた日でした。


※ 第二次世界大戦中に連合軍が遂行した特殊作戦。当時枢軸国に接近しつつあったフランシスコ・フランコ将軍のスペインを監視し、また同盟を阻止するべく各種サボタージュを行うことを目的としていた。1943年、情勢から判断して以後スペインの枢軸国加盟は起こり得ないと判断され、作戦は終了した。
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