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2020年05月06日12:34

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『 ザ・シューター 極大射程 』


になってはいたが、なかなか観る気がおきなかった『 ザ・シューター 極大射程 』を配信で視聴した。『 ザ・シューター 』と聞いて、マーク・ウォールバーグ主演のアクション映画を思い出された方は鋭い。しかし、あちらは『 シューター 極大射程 』で「 ザ 」がついていない。こちらは同じ原作から映像化されたTVドラマシリーズでボブ・リー・スワガーが主人公ではあるが、ドラマ独自の設定で制作されており、趣きがかなり違う。第一シーズンは海兵隊を退役したスワガーが大統領暗殺事件に巻き込まれる物語で、映画『 シューター 極大射程 』(2007年)がベースになってはいるものの、スワガーに妻子がいたり、FBIのメンフィス捜査官が黒人女性だったり、スワガーをリクルートするアイザックが海兵隊時代のもと上官だったり、細かい設定が異なっている。おそらく、2時間の映画で描かれる物語を全10話に分割する必要があったからだろう。このため、様々な弊害が出ている。

 一番気になるのは、TVドラマシリーズのスワガーがとても超人には見えない点だろう。映画版では、冒頭、大統領暗殺事件に「 騙されて 」巻き込まれるが、現場をからくも脱出して以降がすごい。優秀な狙撃兵らしい見事なサバイバビリティを発揮して目の覚めるような反撃に転じるのだ。敵に行動を悟らせず、常に先手先手で攻めまくる。それこそが、ボブ・リー・スワガーの物語の真骨頂だ。TVシリーズでは、ちょっとデキる一般海兵隊員程度の活躍にしか映らない。敵との頭脳戦では騙し騙され、先手をとったり、とられたりのシーソーゲームを展開し、その過程で味方や重要な証人がどんどん殺されていくからだ。主人公のあまりの無能さ、行き当たりばったりぶりに「 これって、スワガーじゃないよね? 」という疑問がどんどん大きくなる。ろくに情報収集をせず、事前に偵察も行わずに乗り込んでいく主人公は直情径行型で、およそ、スナイパーの行動とは思えない。映画版も原作も知らない視聴者は気にならないのだろうが、とにかく、脚本が酷すぎる。敵の凄腕スナイパーとの対決もガチンコの狙撃勝負をしなかったり、スナイパーであるスワガーがやたら近接射撃で敵を倒す点もがっかりである。第二シーズンの終わりまで我慢して、映画版『 シューター 極大射程 』を久々に観てみたが、やはり、けた違いに面白い。映画版が好きでTVドラマシリーズを視聴した人は毎回毎回、「 いつ、スワガーらしい活躍をみせてくれるのか? 」と期待しつつ落胆させられるわけで、第三シーズンで制作が打ち切られたのも当然だ。

 ちなみに、日本語版字幕が酷いのもこのTVシリーズの特徴だろう。スナイパー(狙撃手)と二人一組で行動するスポッターを「 評定手 」と字幕に出すので、最初、戸惑ってしまった。スポッターは通常、日本語では「 観測手 」とするのがお約束である。また、大口径のチェーンガンの射撃は「 手榴弾なみの威力 」ではなく、「 砲撃なみの威力 」とするべきだ。タリバンが建物の窓からRPGを突き出して発射しようとするシーンで、スワガーがとっさにRPGの弾頭を狙撃して爆発させたが、字幕で「 手榴弾を直接狙ったのか? 」としたのは「グレネード(擲弾)」と「ハンドグレネード(手榴弾)」を混同していて完全な誤訳である。
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