mixiユーザー(id:7889942)

2020年04月29日18:22

90 view

さながら戦争末期 政治家も専門家も「自分たちは悪くない」

玉井 昭彦
昨日 6:55
さながら戦争末期 政治家も専門家も「自分たちは悪くない」

 新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった女優の岡江久美子さんは、発熱後、医師から「4、5日様子を見るように」と言われ、3日後に容体が急変。「PCR検査待ち」のリスクに国民の不安が広がった。「やっぱり怖い」「どうしてPCR検査が増えないのか」という不満がますます高まっているが、そんな中で「熱が出ても4日間自宅で我慢して下さいという意味じゃない」などと弁解する発言が次々と専門家から出てきているのには、ちょっと驚いてしまう。誰もが唖然呆然だろう。

「発熱しても4日以上続かなければPCR検査をしてもらえない」という諦めが、いまや国民の共通認識だ。2月17日に厚労省がルールを定め、全国の医師会にも通知されている。PCR検査受診の相談ができるのは、<風邪の症状や37・5度以上の発熱が4日以上続く方>という条件がしっかり記されているのだ。

 ところがである。専門家会議メンバーの釜萢敏氏(日本医師会常任理事)は、22日の記者会見でこう言い訳した。

「4日様子を見て下さいというメッセージと取られたのですが、そうではなくて、体調が少し悪いからといって、みなさんすぐ医療機関を受診されるわけではないので、いつもと違う症状が少なくとも4日続くのであれば、ぜひ相談していただきたい。そういうことでありました」

 日本医師会の横倉義武会長も25日の朝日新聞で「37・5度以上の熱が4日続く」という目安について、「誤解を受けるような表現だったかもしれない」と釈明した。

 専門家会議メンバーの押谷仁東北大教授に至っては、18日に行われた日本感染症学会学術講演会の特別シンポジウムで次のように自己弁護していた。

「私やクラスター対策班が参加する前に、PCR検査の目安は出されていた。これには私は関わっていない」

 いやはや、何ということか。日本のコロナ対策を牽引する専門家が、「自分は悪くない」と醜い責任のなすり合いなのである。

■ペーパードクターの暴走と失敗

 副座長の尾身茂氏(地域医療機能推進機構理事長)を筆頭に、専門家会議は3月には「1、2週間が瀬戸際」「PCR検査を抑えていることで日本が踏みとどまっている」と高らかに主張していた。しかし、感染は市中に広がり、医療現場は院内感染でパニック。救急医療までもが崩壊しつつある。

 結局、PCR検査を抑えたから実態把握できなかったのが原因なのではないか。世界標準に倣って、もっと初期の段階でPCR検査を増やすべきじゃなかったのか。

 押谷氏は「PCR検査を広げると院内感染を起こすから危険」とも言っていたが、PCRを広げないのに全国の病院で院内感染が起きているじゃないか。

 こうなった以上、いま必要なのは、言い訳ではなく、誤りをきちんと修正して、方針転換を図り、国民に正確に伝えることだろう。

 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が言う。

「医師免許を持ってはいても、臨床はやっていない“ペーパードクター”が暴走し、責任回避に走る。論外です。4日間待たなければPCR検査をしてもらえない、というのは『誤解を受けるような表現』でも何でもない。医師が保健所に電話をしても、実際にそういう運用が行われていました。どうしてすぐにバレるような嘘をつくのでしょうか。国立感染症研究所が積極的疫学調査を進めるうえで、PCR検査の基準を作った。感染研の所長が専門家会議の座長ですよ。もはや専門家会議が何を言っても信じられません。新型コロナ対策は2つしか方法がないんです。スウェーデンのように集団免疫を目指して病院と介護施設を守るか、中国のように封鎖するか。日本は病院も守らず、ロックダウンもせず、クラスター対策という中途半端な方法で失敗した。モデルが合わなかったのですから、それをはっきり認めて別の方法に移るべきなのです。きちんと修正しないと現場は変わりません。今もPCR検査をしてもらえないという状況は変わっていませんよ」

 尾身氏は22日の会見で「残念ながら3月の連休の頃、私たちの警戒がなんとなく緩んでしまい、都道府県をまたいだ人の流れにより感染が地方に拡大してしまった」とも発言していた。

 感染拡大を、国民の自粛が足りないせいにすり替えるのはやめてほしい。

「敵」の実態を分析できず、自らの戦力も認識できず
 もっとも、公文書を改ざんしても誰も責任を取らない政権なのだから、選んだ専門家が無責任体質なのもむべなるかな、である。

 安倍政権はコロナ対策においても、自粛要請しながら補償はしないドケチ政策のオンパレード。補償がなければ働かざるを得ない人は少なくない。「自粛が足りない」と言うのなら、政府は補償をセットで準備すべきだろう。

 10万円の現金給付をめぐるゴタゴタも安倍政権の無能を露呈したが、おととい(25日)放送のNHKスペシャルで、コロナ担当の西村経済再生担当相が、「できることは全てやるとの思いでやっている」と弁明していたのには愕然とした。コロナの前に失業や倒産で殺される、という悲痛な声は聞こえないふりか。

 Nスぺでは「雇用調整助成金」の問い合わせが11万件以上あるのに、実際に支給が決定したのはわずか60件しかないこと。帝国データバンクの分析によると、経済が止まった状態が続けば、11月には60万社が倒産する恐れがあることなどが報告された。

 番組には厚労省クラスター対策班の北海道大教授の西浦博氏も出演。このままでは「85万人が感染し、42万人が死亡する」と国民を脅してでも強固に「8割自粛」を主張する“8割おじさん”だが、その西浦氏の発言にも仰天だった。

 前述のように、雇用不安や大量倒産懸念が番組で示されると、「感染による死亡のシミュレーションだけでなく、経済的なインパクトのシミュレーションも含めてオールジャパンで検討していかなければいけない」と言い出したのだ。感染症の「数理モデル」に固執し暴走してきたのに、今になって「オールジャパン=経済界の協力も必要」とは唖然。クラスター対策の失敗を糊塗しようとしているのか。

■政権延命しか頭にない

 百歩譲って、感染症の専門家は経済が分からないとしても、だったら政治が経済とのバランスを調整するべきだった。それなのに、専門家に丸投げし、専門家は自分たちのやり方がうまくいっていないことに気づいても、それを省みたり、修正したりしない。

 ウイルスという「敵」の実態を分析できず、自らの戦力も認識できず、それでも「自分たちは間違っていない」と突っ込んでいく……。アメリカの国力を軽視し、戦況を分析できず、負け戦が見えても突撃を続けた太平洋戦争末期と同じである。

 政治評論家の森田実氏が言う。

「安倍内閣と戦争当時の東条英機内閣に共通するのは、口では『国民の命と健康を守る』とか『国民国家を守る』と言いながら、結局は自分の内閣を延命することしか頭になく、自分が一番かわいいということ。だから、右往左往して行き詰まっても、ごまかし、無責任に居座り続ける。東条は最後はどうしようもなくなって政権を途中で投げ出し、鈴木貫太郎がポツダム宣言を受諾しましたが、右往左往した結果、犠牲者が増えてしまった。安倍首相が危機の全体像を理解できず、小田原評定のように会議ばかりやっているのも、末期の東条に似てきました」

 未曽有のコロナ禍拡大の中で、無能なだけでなく胆力もない政治家と専門家の本性が露呈した。もはや安倍政権のコロナ対策は空中分解し、責任逃ればかりの目を背けたくなる惨状。一日も早く、マトモな政治家や専門家に交代しなければ、状況は悪化するばかりだ。(日刊ゲンダイ4月27日)
1 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年04月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930