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2020年04月08日01:09

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「皆殺し映画通信 御意見無用」本

『皆殺し映画通信 御意見無用』
<ストーリー>
 特殊翻訳家にして特殊映画評論家の柳下毅一郎の最近の日本映画44本を紹介して斬るおなじみのシリーズ。ただし毎回「こんな日本映画があったのか!」という作品が大半を占める特殊な映画評論集。
<コメント>
 天台宗に「千日回峰行」という修行がある。7年間の間に約975日間延々と歩き続けるほぼ毎日マラソン状態のような苦行であるが、柳下毅一郎はそれを映画で自分に課しているような気がする。ここで紹介されるのはまさに「見るのが苦行であるような映画」ばかりなのだ。
 うちの奥さんは一緒に見に行った映画館でよく予告編を見て「こんなもの誰が見るの」と吐きすてるように言うのだけれども、年間70〜80本映画を見る僕にしてからが「こんなもの誰が見るんだ?」と思う映画がある。柳下毅一郎はそういう映画を含めて普通の映画館では上映もされないような映画まできちんと見た上で「こんなもの何のつもりで作ったのだ?」と呈示するのである。
 いやあ、世の中にはとんでもない映画も多々あるもので、特に「地方再生」という名で町おこし、県おこしの名目で製作された映画などは特にトンデモ指数が高いようだ。なえならこの本ではもっぱらシナリオの不備が指摘されるが、そういった作品って監督の意向が強すぎることが多い。つまり、監督がここぞとばかりに趣味性というか作家性を発揮しすぎるというのが文章から伝わってくる。
 ただ、あえてそういう目で見た場合はまた別格で実はこの本で批判されている「9月の恋と出会うまで」をWOWOWで見たらなるほど、と楽しめてしまった。
 そういう意味では「そういう見方」を会得できる二度美味しい評論本。

皆殺し映画通信 御意見無用
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