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2020年04月05日08:38

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読書日記Nо.1258(カミュの「ペスト」を読んでみた)

■カミュ、宮崎嶺雄訳「ペスト」2020年3月86刷新潮文庫

中国で新型コロナウイルスが猖獗を極めていた、2月下旬ごろから、日本では
カミュの「ペスト」が、また書店でベストセラーになっているというニュース
が報道された。

この感染症で封鎖された武漢の都市の状況が、カミュが「ペスト」で描いた
アルジェリア・オラン市の状況と同じだといううわさが広まったから。

それで、休日に行く新宿の紀伊國屋書店で買い求めようとしたが、売り切れ。
それなら、図書館で借りようと思ったら、なんと図書館は3末まで臨時休館。

しかたないと思っていて、3月下旬に、仕事で行った御茶ノ水で立ち寄った
丸善には、平積みされていて、思わず手に取った。

奥付には、2020年3月20日第86刷とあるから、新潮社もあわてて増刷した
ことがわかる。初版は、1969年10月。

カミュを手に取るのは、1970年前半の学生時代、「シシューポスの神話」
を読んで以来。20前後の文学青年は、人生の不条理に気づき始めたころ
だったかなと思うが、流行っていたことも確か。

カミュの「異邦人」は読まなかったが、当流行っていた、つかこうへいの
「熱海殺人事件」で、「異邦人」のセリフがたくさん出てきて、なんとなく
馴染んでいた。

というわけで、本書。
遅ればせながら、惹句を紹介。

“発表されるや爆発的な熱狂をもって迎えられた、『異邦人』に続くカミュの
小説第二作。熱病の蔓延する封鎖された街で、人はどう振る舞うのか?”

“アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。
ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。外部と遮断された孤立状態の
なかで、必死に「悪」と闘う市民たちの姿を年代記風に淡々と描くことで、人間性を
蝕む「不条理」と直面した時に示される人間の諸相や、過ぎ去ったばかりの対ナチス
闘争での体験を寓意的に描き込み圧倒的共感を呼んだ長編。”

476頁の大部の長編で、読み終えるのに1週間かかったが、現在の新型コロナウイルス
の蔓延状況の二重写しになって、身につまされた。

感染症の拡大は、人間にとっては、不条理だが、いつか終息する。

それを願いながら、生きるしかないですね。
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