mixiユーザー(id:608019)

2020年03月23日12:52

53 view

アニメ話・虚構推理/ドロヘドロ/イド/映像研

●虚構推理・11話。今まで棄却されてきた琴子さんの嘘話が、目的である最終虚構の為に全て布石として効いてくる…という、実にめんどくさい構造が楽しい。単にこの論理構造だけでは「そううまくいくもんかね」というとこだろうけど、そこを九郎先輩と六花さんの限定的な未来決定能力で補完するワケか。いやあ、ズルだズル。上手いこと考えたもんだね。どういう結論なら揺るぎない「おもろさ」を勝ち得るかというお題で、この舞台を作った者こそ真犯人にして被害者の七瀬かりんである、ってのは確かに最強。ま、死んだ本人にとってはたまったもんじゃないだろうけれどもさ。あと、ちちのでかさがトリックの要素になるのがひどいなあと思いました。

●ドロヘドロ・11話。本筋はカイマンとニカイドウの「友達」としての概念をめぐるすれ違いであり、ガラにもなく逡巡したり諦観を見せたりするカイマンの心の動きが主題、ではあるのだが。まー何だ、丹波社長と飛鳥さんのかなりどうでもいいパイ対決の、下らなくてベタネタなりゃこその面白さがええわなあ。何だろうね、飛鳥さんの三流悪役が板についたあの堂々ぶりは。そして今回も煙さんは実にエエ感じの実業家気質。初登場時近辺の悪役っぽさから、ここまで妙な好感キャラになるとは思わなかった。いやまあ魔法使だし、血と死と暴力の人ではあるんだけどもさ。

●イド:インヴェイデッド・最終話。裏井戸さんの跳梁跋扈に対して割と直接的に殴り掛かる酒井戸・聖井戸のお二人。はっはっはもうちょっと名探偵らしく戦えないものかね諸君、とクズ悪役ムーブをカマす裏井戸さんであるが、慢心した時既にそいつは負けているワケでしてね。イドの中のイドにはめ込んでやるってのはなるほどと思いました。飛鳥井さんはまだ、今の所は救われないが…多分いつか、名探偵たちが助けに来るのだろう、ということを示唆してシメ。にしても本堂町さんはやっぱ、この仕事向いてるわ。いいキャラしてるよ。

●総評。とにもかくにも、このめんどくさい設定と展開をここまでエンタテイメントとしてお出しできてることに感心する。特に初っ端の1話2話、いきなり無茶な設定の世界に視聴者を放り込んだ上で、ト書き的なメタ解説をほぼ無しにして状況を展開させる手法の洗練具合が凄かった。いろいろ細かいところで判んないことはあるんだけど、それを置いといて「面白い」と思わせる作劇的なフックが上手いんだよね。

語るに欠かせないのが津田健次郎の存在。このキャラデザでツダケン声は少々ヘビー過ぎるのでは、と誰もが思ったんじゃないかって気がするが、現実世界の鳴瓢さんを見たりで話が進むにつれて納得してゆくワケで。そして円環電車のイドの回、イドの中のイドで妻子に別れを述べる回、この二つが白眉だよなあ。どこか悲しみや苦しみの演技テンプレから外れた生々しさはこの人の特質ではあるんだけど(さらざんまいの兄貴の死に際凄かったですね)、遺憾なく発揮されてもらい泣き度合い甚だしい。

さて。物語はちゃんと終わったけれど、イド下りのフォーマットは確立されてるしカエルちゃんは死に続けてるし新探偵聖さんの活躍はこれからだしで、いかようにも続きを作れそうになってんのがずるい。作られたらぜひ見たいと思いますよ。裏井戸さんも消滅したワケじゃないですしね。てことで面白かった。今期ここまで次回が楽しみな作品になるとは思わなかったよ。

●映像研には手を出すな!・最終話。クライマックスの劇伴が全然ダメ、おまけに修正の時間もないという事態はすげえ胃が痛い。しかしこのピンチを得た上で不満点の修正に走る浅草氏のやり方は、もはや老練のトバ口に立ってるなあ。なんだか特徴的にアレなコメットAの会場にて、浅草氏は何となく現実からの乖離を感じたりした後、改めて成果物の確認をする。大団円ではなくこれからの世界の変革を匂わせて終わる、という「UFO大戦」は、そのままこの作品の終わり方に並行している。ザショウマストゴーオン、お楽しみはこれからだ。浅草氏の妄想世界の現実侵蝕度合いは、まだまだ足りない。サンキュー照代。チカレタビー。

●総評。この題材と風合いで湯浅監督となりゃそらもう、こういうデキになるよなあという期待通りの作品。ガキの頃、劇中で言うところの「最強の世界」を思った人なら誰も響くところはあるんじゃなかろうか。私個人の方向性としてはホンマ浅草氏のそれで、いやまああそこまで筋金入りではなかったんだけれども、見てて共感するとこが多すぎて「ああこれ若い頃に見なくてよかった、抜け出せなくなる所だった」と思ってしまった。そしてそんな予想範囲を越えて心つかまれたのは金森氏のキャラよねえ。プロデューサ的なキャラってのは世に無いではないけれど、ここまでのエッジの利かせ方ってのはあまり見ないし、その上でエエキャラになってんのがいい。GAIJINさん方にド人気なのも何となく判るよ。

個人的に、作品中で一番楽しんだのはアニメ制作その「過程」の方ではある。出来上がった毎回の劇中アニメは、一線級のアニメータがガッツリ作り上げた当代一流のものであり、それ単品でたまらんものではあるんだけど(水崎氏の個人的経験を生かした動きへの執着がちゃんと生きている)、やっぱ浅草氏らの設定とともにぐいぐいと広がってゆく妄想世界のシーン、その段階のワクワク感はちょっと他に代えがたい。視聴者それぞれの裡にある理想の妄想(?)が刺激される、そのやり方が上手いんだろうなあ。

上記で述べた通り、この物語はまだ終わっていない。文化祭のロボアニメのクライマックスに比べるとちょい落ち着き気味な終わり方のアークでシメちゃったので、少々不完全燃焼なところは残る。それも含めて、映像研三名(百目鬼氏は?)の今後を期待させるところではあるんだけれど。ともあれ、堪能しましたよ。…俺やっぱあの学校で生活したいわ。アニメ続編とかは無いだろうけど、あの無秩序な学校世界で無駄に生活するゲームとか出ないもんかね。買うよ俺。
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年03月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031