mixiユーザー(id:1471688)

2020年03月09日00:11

127 view

【映画】今年必見の一本『レ・ミゼラブル』

パリ郊外に位置するモンフェルメイユの警察署。地方出身のステファン(ダミアン・ボナールさま)が犯罪防止班に新しく加わることとなった。知的で自制心のあるステファンは、未成年に対して粗暴な言動をとる気性の荒いクリス(アレクシス・マネンティさま)、警官である自分の力を信じて疑わないグワダ(ジェブリル・ゾンガさま)とともにパトロールを開始する。そんな中、ステファンたちは複数のグループが緊張関係にあることを察知するが、イッサ(イッサ・ペリガ君)という名の少年が引き起こした些細な出来事から、事態は取り返しのつかない大きな騒動へと発展してしまう。


監督・脚本を務められたラジ・リ監督は、アフリカから渡られてきた移民の二世と言うことで、実際にこの街で育った人でないと描けない熱量に溢れております。スパイク・リー監督の出世作である『ドゥ・ザ・ライト・シング』やフェルナンド・メイレレス監督の飛んでもないデビュー作『シティ・オブ・ゴッド』と同じ系列に位置する治安の極度に悪い地区をありのままに描いた映画と言う事が出来るでしょう。そして、この映画並みのホラー映画よりよっぽど怖いのであります。ホラーで最近観たのが『犬鳴村』と『ハロウィン』なのですが、あれは全然怖く無かったですが、本作品のラストには心底怯えました。情け容赦なく描いた本作は本年度のカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞したのが素直に受け取れる傑作です。

冒頭の映画のあらすじを読んでカンの良い人ならば分かったと思うのですが、警察官の三人はプロの俳優さんが演じているのですが、物語の鍵を握っているイッサと言う少年の本名がイッサ・ペリガ君と言うことからこの映画に出てくる殆どの人は素人ですが、それが故にありえない程のエネルギーを秘めているんですね。極端なことを言ってしまえば何処まで演技なのか判らないと言う怖さと迫力があるんですよ。その位本気な作品であります。

貧困と憎しみと怒りの連鎖であり、この映画にはステレオタイプな「悪人」が一人も出てこないにも係わらず、精神的にも肉体的にも暴力に満ちており観ていて息苦しくなる程でありました。今のところ都内では三か所だけの小規模な上映ではありますが。これはどこかのシネコンでやってくれないかと切に願うものであります。

ラストに示されたヴィクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル』の一節が真に痛い、今年必見の映画として強く推薦させて頂きます。


http://lesmiserables-movie.com/
4 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年03月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031